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過去ベストな「絶景」ドライブルートへ 理想はGRヤリス? キア・ピカントでアイルランドを巡る

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過去ベストな「絶景」ドライブルートへ 理想はGRヤリス? キア・ピカントでアイルランドを巡る

筆者ベストの絶景ドライブルート

ふらっと立ち寄った生協で、賞味期限の迫ったサンドイッチが割引されて売っていた。今回の自動車旅行の、良い前触れのように思えた。

【画像】過去ベストな絶景ルートへ キア・ピカント 競合クラスのホットハッチ インテRとフォーカスSTも 全142枚

グレートブリテン島の西に浮かぶ、アイルランド島。ここには、クルマ好きが夢中になるような道が、延々と続いていた。なぜ今までAUTOCARで運転してこなかったのか、疑問を抱くほど。

グレートブリテン島の北部、スコットランドにもノースコースト500という、絶景を巡るドライブルートがある。だが、アイルランドのワイルド・アトランティック・ウェイは、筆者基準でそれを凌駕する。

自分が過去に楽しんできた、長距離ドライブの中でもベストの体験だった。ランドローバー・ディフェンダーでポルトガルを目指したこともあったし、ホンダNSXで北米のルート66を横断したこともある。しかし、それらの記憶を超えた。

AUTOCARの英国編集部は、みんな小さいキア・ピカントが好きだ。自分は、その筆頭といえる。現在の英国で売られる最も安価なモデルとして、ダチア・サンデロという小さなクロスオーバーとしのぎを削っている。日本では、馴染みがないと思うが。

執筆時の英国価格は、サンデロが1万3795ポンド(約260万円)から。ピカントは、1万3665ポンド(約258万円)から。車内の広さでいえば前者が勝るが、筆者は後者を選ぶだろう。

サンデロも素晴らしいクルマだが、ピカントの方が運転は楽しい。反応は正確で機敏。ドライバーとの一体感が濃い。長距離ドライブに耐えうる、快適性や洗練性も備わる。

長距離ドライブでも不満なしのピカント

というわけで、筆者はダブリン行きのカーフェリーを待っている。既に港町まで、4時間と390kmをピカントと過ごした。まったく不満はなかった。

今回の相棒は、メタリック塗装のオプションを載せて、1万8295ポンド(約346万円)する、トップグレードのGTラインS。1.0L 3気筒ターボエンジンに、5速MTが組み合わされている。

最高出力は100ps。車重は1030kgしかないから、0-100km/h加速を9.9秒でこなす。最高速度は180km/hも出る。カタログ値の燃費は、18.9km/Lと優秀だ。

シートは座り心地が良い。タッチモニターとエアコンが付いているし、ベーシックなクルーズコントロールまで装備する。

ドイツの高級車に乗っているような人から、路上で軽視されることはあるかもしれない。フェイスリフトで凛々しくなったフロントマスクも、さほど効果はなさそうだ。

もう二回りくらい大きいクルマの方が、走行音は小さい。ラジオも、鮮明な音を聞かせてくれると思う。高速道路での緊張感も少ない。それでも、自分はピカントで満足できる。

ワイルド・アトランティック・ウェイは、世界最長の1つを誇る沿岸のドライブルートで、総長は2500kmもある。北の始まりはアイルランド島の北端、イニショウエン半島で、島の南端を回って、キンセールという町まで続く。

その先の東部にも、素晴らしい道が続いているという。ダブリンやベルファストなどを起点に、アイルランド島を1周できると、現地の友人が教えてくれた。充分な時間があれば、夢のようなドライブに浸れそうだ。

アイルランド南東部は別荘を買う理想の場所

仕事から逃れられない筆者は、今日はダブリンから西へ走り、1人でシャノンという南西部の町を目指す。2日目は、素晴らしい景色をカメラマンのジャック・ハリソンに抑えてもらう予定だ。

高速道路のアスファルトは平滑で、フランスのよう。クルーズコントロールをオンにし、渋滞知らずで淡々と走れる。英国や日本では、なかなか難しいことだと思う。

今晩泊まるシャノンへ着いた頃には、既に日は暮れていた。ワイルド・アトランティック・ウェイの北端や南端にも、夕飯時間までには到着できるだろう。

約束通り、翌日の早朝にハリソンが到着。とある新聞に、アイルランド南東部が別荘を買う理想の場所だという広告が載っていた。この地域は雨が多いから、1年を通した天気は優れないと思うが、それ以外は賛同できる。

筆者が運転した日は暖かく、風も殆どなかった。大西洋に突き出た半島を巡る。グレートブリテン島以上に美しい景色の中を、カーブが連続する道が続く。アイルランドの道も、英国のように国道と地方道に分かれているが、舗装は想像以上に良好だ。

制限速度は、片側2車線の幹線道は100km/hで、高速道路は120km/h。市街地が50km/hで、郊外の一般道では80km/h。高性能なモデルでも、ストレスが溜まる設定とはいえない。

交通量は少ないが、条件の良い区間でもストレートは長くなく、一般道のカーブはきつい。時折、トラクターも走っている。ゆっくり走る乗用車は、追い越されることに動じる様子はない。

ここを走るならトヨタGRヤリスがベスト

走り疲れたら、最高の景色でリフレッシュ。鮮やかなグリーンの大地に、ピンク色の花が散りばめられている。しかし、外来種が覆い尽くす勢いで増えているそうだ。

オーストラリアやニュージーランド、右側通行だが、アメリカのカリフォルニアなどと似た景色も点在する。勾配が続く峠道は、欧州大陸のどこか。時々、グレートブリテン島のウェールズ地方と重なる風景もある。

筆者は2日間、見事な絶景と、走り応えのある道へ圧倒され続けた。いい感じのカーブが連なり、起伏が豊かで、アスファルトは滑らか。島の南端にあるキラーニーの町や、リング・オブ・ケリーの岬まで、すべてが壮観だった。

ハリソンもクルマ好き。この道へ最適な1台を、一緒に考える。速すぎるのは良くない。スーパーカーではなく、ホットハッチが理想的。トヨタGRヤリスが最速だろう。

少し昔のホンダ・インテグラ・タイプRや、フォード・フォーカス STでも心底楽しいはず。サスペンションは柔軟に屈伸し、エンジンは意欲的に吹け上がる。

ピカントも、候補の上位に入る。ステアリングは心地良く、フロントタイヤを軸にして機敏に向きを変える。エンジンは爽快。マニュアルの感触は、量産車でピカイチだ。

アイルランド島の南西部を巡り、キラーニーへ戻る。素晴らしいホテルと食事が待っている。生演奏を楽しめるパブが、100軒はあるらしい。

仕事で訪れ、好きになってしまう場所がある。反面、もう一度訪れたいと思っても、叶わないことも少なくない。今回は、再訪の予定を決めてしまった。

キア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインS(英国仕様)のスペック

英国価格:1万8295ポンド(約346万円)
全長:3595mm
全幅:1595mm
全高:1485mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:9.9秒
燃費:18.9km/L
CO2排出量:120g/km
車両重量:1030kg
パワートレイン:直列3気筒998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:100ps/4500rpm
最大トルク:17.5kg-m/1500-4000rpm
ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • fxnhe501
    ピカントは小さい車とされているけれど、かつてヨーロッパを走っていた多くの乗用車はこれぐらいのサイズだったと思うんだよね。むしろ、当時の感覚からしたらピカントのサイズでもまだ大きい方だと思う。

    アメリカやオーストラリアみたいな地域もある上で、日本や欧州のユーザーは必要以上に大きな車をあてがわれているんじゃないかなぁ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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