5月14日、2024年NTTインディカー・シリーズは、2024年シーズン中の導入を予定していたハイブリッドシステムを搭載した新型パワーユニットを、7月5日から7月7日にかけて行われる第9戦ミド・オハイオで実装することを発表した。
インディカーは、2019年にハイブリッド機構を持つパワートレインシステムの導入を発表。以降はエンジンコンストラクターであるホンダとシボレーとともに、2023年の導入を目標に開発を進めてきたが、システム見直しによって実装は延期となっていた。
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当初の計画では、新型の2.4リッターV6ツインターボエンジンにハイブリッド機構を組み合わせたパワートレインを導入する予定だったが、従来の2.2リッターV6ツインターボエンジンにハイブリッド機構を組み合わせる方向へと計画を修正し、2023年シーズン中にも各チームとともにコースでのテストを重ねた。
テストにはこれまでに28名のドライバーが参加し、総計走行距離は2万3518マイル(3万7848.55キロメートル)に及ぶという。そして、新型パワーユニットの最終テストを6月11日(火)にミルウォーキー・マイルでおこない、7月5日から7月7日にかけて行われる第9戦ミド・オハイオで本戦に実装する。
全17戦中の第9戦からの投入ということで、2024年シーズンのちょうど折り返しを迎えるタイミングで、インディカーはハイブリッド時代を迎える。
このハイブリッドシステムは、モータージェネレーターユニット(MGU)とエネルギーストレージシステム(ESS)で構成され、両システムはエンジンとギアボックスの間にあるベルハウジング内に収まる。
ESSは、充放電スピードと総量に優れるとされる、20個の電気二重層コンデンサ(ウルトラキャパシター)で構成され、MGUがクラッチシャフトに作用して回生したエネルギーはこのESSに蓄積される。
この回生機能は、ブレーキまたはスロットル位置の検知による自動回生と、ステアリングホイール上のボタンおよびパドルによる手動回生という2パターンの方法が用意される。蓄積されたエネルギーの展開は、既存のプッシュ・トゥ・パスシステムと同様に、手動でのみ使用が可能だ。
なお、プッシュ・トゥ・パスには1回あたりの使用時間とレース中の合計使用時間に制限があるが、ハイブリッド・パワーユニットのブースト機能は、トラックの長さに基づいて、1周あたりに投入することができるエネルギー量が制限される。
両システムを組み合わせて使用すると、120馬力のブーストを得ることができ、合計出力は800馬力以上に達するという。こちらは、ハイブリッドシステムの開発が進めばさらなるパワーアップも検討されている。
また、トラック上でマシンが停止し、エンジンも止まってしまった場合には、ドライバーがハイブリッド・システムを利用することで自分でエンジンを再始動することもできるという。
インディカーのジェイ・フライ社長は「シボレー、ホンダとの強力なパートナーシップにより、この革新的なプロジェクトは2024年のグリッドに投入されることになりました」とコメントした。
「インディカー専用のハイブリッド・パワーユニットは、追加のエネルギーと新たなオーバーテイクシステムというエキサイティングな要素をもたらしてくれるはずです。ミド・オハイオで新しい時代が始まるのが待ちきれません」
5月14日から、インディアナポリス500マイルレースのプラクティスも開始となり、2024年シーズンが絶賛進行中のインディカー。第9戦ミド・オハイオまでは2カ月を切っており、ノンハイブリッド・エンジンで争われるレースは残り4戦だ。シリーズの半分がことなるパワーユニットで競われることになる2024年シーズン、そしてハイブリッドシステム導入で新時代を迎えるインディカーの新たな展開から目が離せない。
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