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苦しんだ日々を経て、復活のシーズンを送るジュリアーノ・アレジ。躍進の要因を聞く「実はシンプルなことなんだ」

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苦しんだ日々を経て、復活のシーズンを送るジュリアーノ・アレジ。躍進の要因を聞く「実はシンプルなことなんだ」

 今季のスーパーGTも残り2戦となり、タイトル争いもいよいよ大詰めとなってきたが、チャンピオン候補の中でも特に印象的な活躍を見せているのがランキング2番手の37号車Deloitte TOM'S GR Supra笹原右京、ジュリアーノ・アレジ組。というのも彼らは昨年ランキング15番手(事実上の14番手)と、GT500クラスでもほぼ最下位に沈んでいたからだ。

 ここ数年は苦戦続きだったアレジにとっても、その評価を取り戻すようなシーズンになっていると言える。来日初年度の2021年はスーパーフォーミュラ・ライツでタイトルを争い、スーパーフォーミュラでも代役出場ながら優勝を記録して見せたアレジ。しかし翌年以降スーパーフォーミュラでは苦戦が続いて昨年途中でシートを喪失し、スーパーGTでも2022年からGT500を戦うも昨年までは目立った成績を残せずにいた。

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 しかし今季のDeloitteスープラは第3戦鈴鹿と第6戦SUGOで優勝。一躍タイトルコンテンダーとなった。笹原の予選での速さ、そして決勝のレースメイクも目立っているが、アレジも優勝した2レースではチームや笹原が作ったマージンを失うことなく、安定したペースでフィニッシュまでマシンを運ぶなど、堅実な仕事ぶりを見せている。チームからも、最近のアレジはスーパー耐久での優勝やスーパーGTでの初優勝で自信と勢いをつけており、“乗れている”と評する声が聞かれる。

 今年はこれまで住んでいた御殿場から、心機一転東京に引っ越したというアレジ。「御殿場に住んでいるドライバーは全然いない。東京に引っ越して少し自分のために時間を使う時だと思ったんだ。でも、レースに向けてトレーニングをして、健康に過ごそうとしているのは変わらないよ」と語る。

 過去2シーズンはなかなか結果を出すことができず、それがスーパーフォーミュラのシートを失うことにも繋がった。ドライバーとして、自信やモチベーションを保ち続けるのは簡単なことではなかったのではないかと尋ねると、アレジはこう答えた。

「確かに簡単じゃなかった。結果がついてこなくて、本当に悔しい思いをした時期だった」

「自分のいるべきポジションにいないと感じた。ポイント圏外に終わるのが自分の実力ではない、それが自分のポジションではないと信じていたんだ。だから本当にフラストレーションを感じたけど、今年は色んなことが変わった」

「単純なことがいくつか変わっただけだけど、それがうまく機能するようになった。自分の能力やスキルも少しずつ見せられるようになって、まだドライバーとして改善が必要なところにも取り組めるようになった」

「良い学びのシーズンにはなったけど、昨年は簡単ではなかったのは確か。でも僕はモータースポーツが大好きなんだ。例えうまくいかない年があったとしても、レースは僕のパッションだ」

「うまくいかなくたって僕は頑張り続けたいし、まだやれるということを証明したい。難しいシーズンを経験して、それでも戦い続けた結果、今はチャンピオンを争える立場になった。これは良いチャンスだと思う」

 ドライバー、チーフエンジニアなどの体制は不変ながら、いきなりチャンピオン候補にまで躍進した37号車のDeloitteスープラ。「単純なことがいくつか変わっただけ」とアレジは言うが、それについてさらに詳しく尋ねた。

「良い質問だね。実は本当にシンプルなことなんだ。マシンのセットアップと、チーム監督だ」

 アレジの言うように、セットアップの改善については第3戦鈴鹿で勝利した際にも、大立健太エンジニアの口から語られていた。昨年のチャンピオンであり、今季もタイトル争いをリードする36号車au TOM'S GR Supraのセットアップがコピーできるようになったのだ。

 車体のわずかな個体差やドライバーの走らせ方など、様々な要素が絡むレースにおいて、隣のピットで採用されているセットアップを丸々コピーすれば速さを発揮できるとは限らない。その中で大立エンジニアは、スーパーフォーミュラで共に戦う笹原と話をする中で、お互いの考えのすり合わせが進むようになり、自分たちに合うような形で36号車のセットアップを使えるようになったと説明していた。

 一方でアレジは、今季から加入したミハエル・クルム監督の存在もこういった決断に大きく貢献したと話す。

「マイケルがいなければ、このような結果を出すことはできなかっただろう。今季の結果のほとんどが彼の功績と言わないといけない。彼が色んなことを変えてくれたから本当に感謝しているし、とてもハッピーだ」

「(36号車のセットアップコピーは)ずっとやりたかったことだけど、僕たちにはそれができなかった。それには驚いたけど、マイケルがその決断を下す上で助けになってくれた」

「僕たちはチームなのだから、進むべき方向性が見えているなら、それに従わない理由はない。そして僕たちはそれに従った結果、良い結果が出た。それは非常に重要な要因だったと思う」

 残り2レースで、ランキング首位の36号車との点差はわずか2点。アレジは来日4年目にして、国内トップカテゴリーでのタイトルも現実的な位置にある。キャリアの次なる目標はどのようなものを見据えているのか尋ねると、具体的な計画こそないものの、とにかくトヨタの一員として日本でレースが続けたいと語った。

「トヨタに残りたいというのは間違いない。何より日本でレースを続けたいし、ここでのレースを楽しんでいるんだ。事がうまく進み始めているから、そういう時に離れたくはない」

「正直何か特定のプランを希望しているわけではないけど、トヨタでレースを続けたいのは確かで、今の目標は今シーズンをできるだけ良いポジションで終えることだ。未来についてはまだ深くは考えていない」

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