「パフォーマンスが適切でなければ契約も意味がない」レッドブル、シーズン終了後にペレスの去就について議論へ

　レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、メキシコ人ドライバーのセルジオ・ペレスがシーズン終盤戦でパフォーマンスを改善させなければ、2025年の契約はほとんど意味をなさなくなるだろうと改めて述べた。

　レッドブルでのペレスの2024年シーズンは、期待外れなものになっている。F1第19戦アメリカGP終了後の時点で、ドライバーズランキングではチームメイトでチャンピオンシップリーダーのマックス・フェルスタッペンから204ポイントもの差をつけられ、8位という低い順位につけている。

　3度の世界チャンピオンであるフェルスタッペンは、リタイアしたオーストラリアGPを除く今年すべてのレースでペレスを上回っており、レースウイークにおけるふたりのドライバーのパフォーマンス差は、まるで大陸間の海ほどに広がることが多かった。ペレスは大きな不振に陥っており、最後に表彰台に立ったのは4月の中国GPでのことだ。そのせいもあってレッドブルはコンストラクターズ選手権で不利な状況にあり、首位のマクラーレンには40ポイント差をつけられ、3位のフェラーリとの差はわずか8ポイントに縮まっている。

　レッドブルは6月にペレスとの契約を2026年まで更新したと発表したが、チームの忍耐は明らかに限界に達しており、マルコはペレスの相対的な弱さについて声高に語っている。先週末のアメリカGPでペレスが7位に終わった後、マルコはペレスが契約上の立場において潜在的な影響から逃れることはできないと改めて示唆した。

「ペレスは契約を結んでいるかもしれないが、F1は実力社会だ」とマルコはドイツのメディア『F1-Insider』に語った。

「パフォーマンスが適切でなければ、契約も意味がない」

「シーズンの終わりに話し合いの場を持ち、レッドブルにおけるフェルスタッペンの最高のチームメイトが誰なのかを決めるつもりだ」

　ペレスの在籍期間は、21歳のリアム・ローソンの台頭によってさらに危機にさらされている。ローソンは前戦アメリカGPからRBのダニエル・リカルドの後任としてF1に復帰し、そのアメリカGPで9位に入賞するという見事な走りをしてグリッド復帰を祝った。アメリカGPの週末を前に、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、ローソンの復帰は2025年に向けた本格的なオーディションであり、レッドブル・レーシングへの昇格の可能性を評価するものだと示唆した。

　オースティンでホーナーは、チャンピオンシップの順位におけるレッドブルの立場に関して、ペレスの貢献度あるいはその欠如について率直に語った。

「フェラーリに、ふたたび今週末の彼らに祝福を」とホーナーは語った。

「彼らは非常に強かった。そして、彼らにはトップで競っているドライバーがふたりいる」

「マクラーレンも同様に、彼らのドライバーたちの間には大きな差はない。だからコンストラクターズにおいて、我々はチェコ（ペレスの愛称）の活躍を本当に必要としている」

　チームがメキシコシティのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われるペレスのホームレースに向かうなか、地元の観客からの圧倒的な応援が、地元の英雄ペレスが切実に必要としている後押しになるかもしれないという希望がある。ホーナーは楽観的な見方を示し、ペレスが優勝争いに残ってレース序盤で後れを取るのを避けるには、予選で好成績を収めることが非常に重要だと認めた。

「メキシコで彼が受けるサポートが、彼に勢いを与えてくれることを期待している」

「予選でポジションを逃すと、トップ10のなかの後ろのマシンを追い抜くのに多くの時間を失い、レースの残りの部分から離れてしまう」

　レッドブルの上層部は、パフォーマンスこそがペレスの運命を決める最終的な決定要因となることを明確にしており、ペレスはチームでの将来を確保するために時間との戦いを繰り広げている。彼が状況を好転させられなかった場合、レッドブルは難しい決断を迫られ、そのシートを埋めるために若い才能に目を向けることになるかもしれない。メキシコ人ドライバーが復活できるかどうか、あるいはレッドブルが変化を求めるかどうかはまだわからない。しかし明らかなのは、ペレスの2025年のシートが決して保証されているわけではないということだ。