速さと実用性を兼ね備えた新型車
フランクフルト・モーターショーは、現在欧州で最大規模のモーターショーだ。出展された数々のクルマの中から、必見のモデルをご紹介しよう。
まずはアウディRS7と、その姉妹車であるRS6だ。ガレージに2台を収めるなら、誰もが1台はこんな大きく実用的で速いクルマを選ぶだろう。4LのV8ツインターボを搭載し、600psを発生、最高速度は304km/hに達する。英国では2020年1月に発売予定だ。
次はBMWコンセプト4。これは次期型BMW4シリーズや、2021年に登場予定のi4のルックスをプレビューしている。BMWによればすでに85%の完成度で、おおむねこの通りの見た目で登場するだろう。内部を見ることはできないが、おそらく2Lから3Lのガソリンおよびディーゼルエンジンが搭載され、PHEVやM4も予定されている。
ポルシェは今回、EVのタイカンを発表した。ターボとターボSという名前だが、もちろんターボ付きではない。ターボSでは最大761psを発生し、0-97km/h加速は2.8秒だ。そのレスポンスは内燃機関の5倍とも言われ、ニュルブルクリンクを997型GT3と同タイムで走ることができる。
ランボのHV/期待のディフェンダー
自然吸気のV12にこだわるランボルギーニは、今回もターボ化をせず、代わりにマイルドハイブリッドを送り出した。このシアンというモデルは、アヴェンタドールSVJの6.5Lを785psにチューンし、電動モーターとの組み合わせにより819psを発生する。300万ポンド(4億円)という価格ながら、限定の63台は完売済みだ。
このフランクフルトショーで最も期待されたモデルは新型ランドローバー・ディフェンダーだ。2016年に生産を終えた先代の後継車だが、ボディ・オン・フレームをやめモノコック構造となった。先代同様に一級品のオフロード性能を持ち、200psのディーゼルから400psのPHEVまでが用意される。現在は90と110の2種類のボディだが、よりロングホイールベースの130も追加されるようだ。
今回メルセデス・ベンツは電動化に力を入れている。このビジョンEQSは2021年に発売予定の高級EVサルーンで、ジャガーの次期XJなどと競合する。2基のモーターにより477psを発生する4WDとなり、100kWhのバッテリーにより644km以上の走行が可能だ。先進の安全装備の見本ともいえるESFの発表や、スマートEQなども展示された。
フォルクスワーゲンは、ロゴを刷新するとともにID.3を発表した。VWの歴史がビートル、ゴルフに続き第3のフェーズに入ったことを意味する車名だ。これに使われるMEBプラットフォームはVWだけでなく他社にもライセンスを供与し、幅広く使われるようだ。出力は150psまたは203ps、バッテリー容量は33kWhから77kWhの3種類が用意される。
風変わりなコンセプトも
モーターショーにはしばしば風変わりなコンセプトも出展される。このアウディAI:トレイルはオフロード専用車であり、アウディの考える2030年のSUVともいえる一台だ。アウディとポルシェが共同開発したパワートレインにより435psを発生する。市販化はされないだろうが、もし2030年のSUVがこんなルックスになるなら、喜ばしいことだ。
以上がフランクフルトで必見のクルマたちだ。いつもより少ないとお感じの方は、正解だ。アストン マーティン、ブガッティ、フェラーリ、フィアット、ジープ、キア、日産、プジョー、トヨタ、ボルボ、シトロエンなどが出展を取りやめている。高額なモーターショーよりも他のことにマーケティング費用を割こうという考えだ。
これは現代のモーターショーの抱えるジレンマであり、グッドウッドをはじめとして他のイベントが取って代わりつつある。
欧州のモーターショーの中でもジュネーブ・モーターショーは活発とまでは言えないものの、まだ生き残っている。われわれも来年3月にはジュネーブで同様の動画をお届けする予定だ。
詳細は動画にてお楽しみいただきたい。
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