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止まることのないスーパー耐久ST-Qの車両開発。トヨタとスバルが第4戦での進化ポイントを説明

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止まることのないスーパー耐久ST-Qの車両開発。トヨタとスバルが第4戦での進化ポイントを説明

 7月31日に大分県のオートポリスで開催されたENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第4戦『スーパー耐久レース in オートポリス』。レース中にはトヨタ自動車が“ラウンドテーブル”と題したオンライン記者会見を行い、ST-Qクラスに参戦するORC ROOKIE GR86 CNF Concept、ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept、さらにスバルのTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptの進化ポイントが明らかにされた。

 スーパー耐久に参戦するORC ROOKIE Racingは、2022年からST-Qクラスに水素エンジンを積むORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptと、カーボンニュートラルフューエルを使用する1.4リッター3気筒ターボエンジン搭載のORC ROOKIE GR86 CNF Conceptを投入している。

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 第2戦のNAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースでは、ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptにミッショントラブルが発生してしまい、レース中に修復を余儀なくされる事態に。また、7月9~10日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催された第3戦には「車両素性の把握のため」ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptはエントリーを行わずに欠場。第4戦から再びサーキットに姿を表した。

 オンライン会見にはGAZOO Racing Companyのプレジデントを務める佐藤恒治氏のほか、GR車両開発部部長の高橋智也氏、GRパワートレイン開発部副部長の小川輝氏が出席し、まずは前戦を欠場したORC ROOKIE GR86 CNF Conceptのアップデートポイントが高橋氏から語られた。

 高橋氏は、ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptは第4戦で「大きく4つの部分を改良した」と切り出し、ひとつめとしてエンジン出力を向上させ「出力的には7kWほど」のパワーアップを実現。さらに出力向上に伴いマシンを止めるブレーキにも改良を施し、部品そのものの変更ならびに、ブレーキ制御についても見直しを図っていることを明かした。そして富士24時間でトラブルに見舞われたトランスミッションについても、「ミッションギヤの材質を変更した強度アップ品」を今回のオートポリスに持ち込んでいる。

 また、2.4リッター水平対向4気筒自然吸気エンジンを搭載する市販版のトヨタGR86と比べ、スーパー耐久に参戦するORC ROOKIE GR86 CNF Conceptは1.4リッター3気筒ターボエンジンをフロントに縦置き搭載している。このためボディは大きく変更されているのだが、今回は「剛性をさらに上げてきました」という。いずれのアップデートについても「第3戦を欠場することによってクルマの基礎データを取ることができたため、ウイークポイントをしっかりと見直すことができました」としている。

 さらに“水素カローラ”としてスーパー耐久おなじみの存在になっているORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptについては、前戦から「出力やトルクは変えていない」としながらも、航続距離を改善してきたという。

「前戦から異常燃焼に対してはある程度手を打ってきましたが、今回はそれをさらに進め、航続距離を改善しました。具体的には水素可動部の残圧をもう少し低い領域まで使い切れるようにし、水素の残圧が低くなっても、異常燃焼を起こさずに燃焼制御をできるようにトライしています」

 その燃焼制御を行った結果として、今回の第4戦オートポリスでは約10%ほどORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptの航続距離が伸びる計算でクルマを持ち込んだが、レース中の計測では予想を上回る「約14%ほど」の航続距離改善を実現したとのことだ。

 また、今回の水素はこれまでの山梨県産に加え、地産地消を目指して九州各地の水素を導入していることや、昨年のオートポリス戦では水素補給が片側のみだったが、今回はマシン両側からの水素補給に進化。さらにこれまでの水素補給では関連会社の協力が必要だったが、今回の第4戦からはトヨタ社員のなかから高圧ガス取り扱いの有資格者を探し、初めて社員が水素補給を行っている。

 さらにオンライン会見には同じくスーパー耐久ST-Qに参戦するTeam SDA Engineeringの本井雅人監督も同席し、スバルBRZをベースにカーボンニュートラル燃料を使用してレースを戦うTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptの改良ポイントについても語られた。本井監督は、今回のTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptの進化点を「大きくふたつ、小さくひとつ」とし、大きな変更点としてエアコンの改良の挙げた。

 純正のエアコンをレースでも使用しているTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptだが、第3戦でドライバーから「室内のホスピタリティが足りない」とコメントをされた。そこでチームはエアコンの改良を行い、第4戦では空気の通し方、エアコン制御を純正から変更し、今回から車速とギヤポジションによって制御を行い、「登りではエアコンを使わずに下りでエアコンを使用するようにしている」という。

 ふたつめの改良点としてはシャシーのセットアップについて。シャシーは前戦でずいぶん良くなったとしながらも、ドライバーからは「まだ気持ちアンダーステアが出る」というコメントがあるため、第4戦ではステアリング系の剛性アップを実施した。

 また、小さな改善点としてステアリングスイッチの改良が挙げられた。こちらの改良は、前戦でドライバーがハザードスイッチを押そうとしたときに、誤ってイグニッションスイッチを押してしまうというエラーがあったためだ。このため「スイッチの位置はそのままですが、ハザード自体を、ウインカースイッチを左右両方とも押すことでハザードランプ3回点滅に変更しています」という操作に改められている。

 さらにTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptはエンジンの燃費も3%ほど改良が行われてるということで、マシンから室内のエアコン、さらにはスイッチ類に至るまで、ORC ROOKIE Racingの2台同様に進化を果たしている。自動車メーカーが次世代のカーボンニュートラルのために参戦を行うスーパー耐久のST-Qクラス。次戦以降の各マシンの進化も楽しみにしたい。

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