BENTLEY FLYING SPUR
ベントレー フライングスパー
新型ベントレー フライングスパー 初試乗! クーペのコンチネンタルGTをも凌ぐ【動画レポート】
ライバルは2ドアクーペのコンチネンタルGT?
ベントレーはフライングスパーとコンチネンタルGTにかける熱量のバランスを見直したのかもしれない。
これまでベントレーは、兄弟モデルであるフライングスパーとコンチネンタルGTをおそらく同等に扱ってきた。ただし、ひとつのモデルをベースに4ドア サルーンと2ドア クーペを作り分ければ、後車に注目が集まるのは自然なこと。こうして、ベントレーの思いとは別に、フライングスパーはややもするとコンチネンタルGTの影に隠れるような存在となっていった。
こうした事態を改めるきっかけが何だったのか、私にはわからない。ただし、今年5月にイギリス・クルーで行なわれた新型フライングスパーのプレビューイベントに参加したときから、ベントレーがこのモデルにかけるただならぬ意気込みを感じていた。それをちょっと大げさにいえば、フライングスパーの開発陣はコンチネンタルGTをライバル視していて、「絶対にコンチネンタルGTよりも魅力的なフライングスパーを作り上げる」と決心していたようにさえ思えた。
華麗に仕上がる内外装の仕上がり
コンチネンタルGTよりも明らかに華麗に映る内外装の仕上がりが、まさにそうではないか。コンチネンタルGTより背が高く、クロームメッキされた垂直な棧がずらりと並んだフロントグリルはその象徴だろう。同じクロームメッキでもスポーティなメッシュ状とされたコンチネンタルGTの顔つきとは大きく表情が異なる。
ダッシュボード周りできらびやかさを増しているのはセンターディスプレイの真下に設けられた四角形のエアコン吹き出し口で、左右対称に折り返したBマークが浮き上がるようにクロームメッキを施してインテリアにモダンな雰囲気を付け加えている。大聖堂の縦に細長い窓を模したシート上の新しいステッチ“カセドラル・ウィンドウ”や光の当たる角度によって凹凸が美しく浮き上がる3Dレザーなども、コンチネンタルGTには用意されなかったオプション。モダンという意味ではロールスロイスに近づいたともいえるが、例えていえばあちらはニューヨークにありそうな無国籍な最新ホテル。それに対してベントレーはロンドンの5つ星ホテルが先ごろインテリアをモダンに改装したという印象を抱く。どちらが良い悪いではなく、鍵を握るのはイギリスに対するこだわりの強さだろう。
ベントレー初の後輪操舵“4WS”を搭載
試乗会が催されたのはモナコ公国の中心部。それも国営カジノの真正面に建つオテル・ド・パリが出発点というぜいたくさである。同業でスーパーカーへの造詣がとりわけ深いN氏を助手席に迎え、まずはモンテカルロ市内の細い道を進む。ときおりN氏から「オオタニさん、右側(助手席側)はまだ空いていますよ」とのアドバイスが飛ぶが、貴重なクルマを傷つけるわけにはいかない。幸いにも新型フライングスパーはベントレーとして初の4WSを搭載。Uターンに近いタイトコーナーも切り返しせずに通り抜けることができた。
これは走り出した直後から感じていたことだが、新型コンチネンタルGTに比べてもフライングスパーは路面からの“ゴツゴツ”とした衝撃を吸収する能力に優れていて、タウンスピードでも滑らかな乗り心地をもたらしてくれる。シャシーエンジニアのリチャード・ヘイコックスによれば、フライングスパーはコンチネンタルGTよりも最低地上高を上げることでサスペンションストロークを稼ぎ出したほか、ブッシュ類の硬度をコンチネンタルGTよりも落としたという。2ドアクーペ版を上回るホイールベースの長さもフライングスパーの快適性に貢献しているはずだ。
かつてないほど軽快に吹き上がるW12ツインターボ
そのいっぽうで私は推察していた。サスペンションストロークが長く、ブッシュも柔らかければ、ワインディングロードでのシャープなハンドリングは期待できないだろうと。そうでなくともフライングスパーのホイールベースは長く、コーナリングで鈍重な動きを見せてもおかしくない。皮肉にも、モンテカルロ市街地を抜けてオートルートに足を踏み入れて以来、6.0リッターW12ツインターボ・エンジンはかつてないほど軽快な吹き上がりを示していたので、足まわりがそれを活かし切れないなら、かえすがえすも残念。なるほど「4ドア サルーンであればワインディングロードでのハンドリングよりも快適性を重視して当然」との見方もあるだろうが、これだけ感触がいいと欲張りたくなるのも無理はない。まして、これは超高級車とはいえドライバーズカーとして知られるベントレーなのだから・・・。
そんなふうにあれこれ考えるうちに、ニースのさらに西側に位置するワインディングロードに辿り着いた。
快適かつロールも抑えられる48Vシステムの効果
始めは遅いクルマに阻まれてなかなかペースを上げられなかったが、オープンロードになってプッシュし始めれば、思いのほかフロントがよく追従してもどかしさを覚えない。ロールもよく抑えられていて、たとえば小刻みに進路を変えるようなコーナーでも小気味よく追随してくれる。この辺は48Vシステムを用いたアクティブ・アンチロールバー・システムの効果だろうか。いずれにしてもハンドリングは思いのほか軽快でレスポンスもいい。その後もさらにペースを上げていったが、ついにレスポンスの遅れを感じるシーンは皆無。それどころかタイヤのグリップ限界にさえほとんど近づけないパフォーマンスの高さを見せつけたのである。
それでも1度だけ、下りの中速コーナーにオーバースピード気味で進入したときにはフロントの接地感がかすかに薄れかけたが、スロットル・ペダルを軽く緩めるだけでタイヤは直ちにグリップを取り戻し、新型フライングスパーは安定したスタンスで狙いどおりのラインをトレースしてくれた。
コンチネンタルGTを凌ぐ進化ぶり
フライングスパーの乗り心地がコンチネンタルGTを上回っているのはある意味で当然だ。しかし、スポーティなハンドリングという面でもコンチネンタルGTに比べてまったく遜色がないことには驚いた。前出のリチャード・ヘイコックスは試乗を直前に控えた朝食の席で、「これまでは(肩をすくめながら小声で)『ボク、フライングスパーです』というイメージだったけれど、新型は(堂々と胸を張って)『私がフライングスパーだ』と主張している感じですよ」と教えてくれたが、まさにそのとおり。長らく新生ベントレーの主役を務めてきたコンチネンタルGTの株を奪いかねないほど、フライングスパーの進化ぶりはすさまじかったといえるだろう。
REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
https://www.youtube.com/watch?v=sLoLBffoceE
【SPECIFICATION】
ベントレー フライング スパー
ボディサイズ:全長5316 全幅1978 全高1484mm
ホイールベース:3194mm
トレッド:前1670 後1664mm
車両重量:2437kg
前後重量配分:53.7対46.3%
エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ
総排気量:5950cc
ボア×ストローク:84×89.5mm
圧縮比:10.5
最高出力:467kW(635ps)/6000rpm
最大トルク:900Nm/1350~4500rpm
トランスミッション:8速AT
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ステアリング:電動パワーアシスト(可変式)
ブレーキシステム:前後ベンチレーテッドディスク
ローター径:前420×40 後380×30mm
キャリパー:前後10ピストン
タイヤサイズ(リム幅):前265/40ZR21 後305/35ZR21
最高速度:333km/h
0→100km/h加速:3.8秒
CO2排出量(WLTP):337g/km
燃料消費量(WLTP):14.8L/100km
車両本体価格:2615万8000円(税込)
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