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「想定外のことが起きています」「想像以上にパワーが」「フラストレーションが溜まる」【SF Mix Voices 鈴鹿合同テスト初日】

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「想定外のことが起きています」「想像以上にパワーが」「フラストレーションが溜まる」【SF Mix Voices 鈴鹿合同テスト初日】

 2月21日、三重県の鈴鹿サーキットで2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕前唯一となる公式合同テストが行われた。ここでは全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、初日の走行を終えたドライバーたちの声をお届けする。

■太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 午前7番手/午後19番手

【タイム結果】全日本スーパーフォーミュラ選手権鈴鹿公式合同テスト 2月21日午後 セッション2

 昨年の最終戦で涙のSF初優勝を飾った太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。年末の合同テストでもクラッシュするシーンはあったものの、常に速さを見せている印象だった。

 今回のテストは1日目から雨模様となり、太田にとっては初めてとなる SFでのウエットコンディションを経験。午前のセッション1では順調に周回を重ね32周を走破。1分54秒685で7番手につけた。

 しかし、午後のセッションでは開始早々にトラブルが発生し、スプーンカーブ手前でストップ。赤旗中断となりマシンは回収されてピットまで戻ってきたものの、時間内の修復が難しい状態で、午後のセッションはほとんど走れないまま終了となった。

「ギヤボックストラブルですね。急に壊れたという感じでした」とトラブルの状況を振り返った太田。貴重な走行時間を失うこととなったが、「僕としては2回目のセッションを走れなかったことに関しては、正直そんなに(影響等は)ないと思っています」と悲観している様子はなかった。

「どちらかというと、2セッションとも牧野(任祐)選手がトップだったので、チームとしてはマシンの方向性という部分ではポジティブですし、僕にとってはSFでの完全ウエットは初めてなので、ぶつかったりせずに周回数を稼ぐということに専念している感じでした。(トラブルで)止まらなかった方が良かったなと思うけど、1セッション目もしっかり走れましたし、明日も雨なので特に大きな問題はない感じです」

 昨シーズン後半から披露している調子の良さにかなり自信を持っている様子の太田。2日目のセッションに関しても「絶対的な話で言えばドライでも試したいことはありますけど、相対的に見れば僕たちのチームが調子が良いです。昨年の最終戦とか冬のテストで(ドライコンディションで)調子が良かった僕たちからすると、明日1日雨でも良かったりするのかなと思います。全然焦ってはいないです」と終始前向きだったのが印象的だった。

■木村偉織(San-Ei Gen with B-Max) 午前19番手/午後16番手

 2023年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権チャンピオンの木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)は、タイムシート上では初日午前19番手、初日午後16番手と後方も、ノートラブルで計55周を走行し、ウエットコンディションの経験を着々と重ねた。

「SFでレインコンディションは初めてでしたので、周回を重ねることに集中して、無理せず。リスクマネジメントをしながらのテストでしたので、大きなアクシデントやトラブルもなく1日を終えることができたのは良かったですね」

「ウエットでのSFは想像以上にパワーがあるなと感じました。エンジンの制御も調整できるという点は今まで乗ってきたカテゴリーとも違うところですので、そういった部分も試しながら、経験として積み上げていくことができていると思います」

 初日は一発のタイムを追うことなく、チームとともにメニューを消化することに専念したという木村。2日目のメニューを尋ねると「天気次第ですね」と口にした。

「1日目がウエットで2日目がドライになればおいしいテストにはなると思いますが、もし明日も雨になっても今日見えた雨での課題をいかに改善するか、改めて取り組むことができるので、天候がどちらに転んでもいいように、しっかりと準備をしたいと思います」

「クルマ的にも、ドライビング的にも改善の余地はたくさんあるので、それをひとつひとつ潰していく、という感じです」と振り返る木村は、特にトラクション不足を課題としているようだ。

「純粋にトラクションが他車と比べると足りないですね。SFgoを見ても、アクセルを全開にできるポイントでのグリップ感が足りないのかなと。もっとクルマが前に進んでいくように作っていかないといけないと感じています。もともとトラクションが課題とは聞いていたので、雨でグリップがないなかだとより顕著に出るのかな、という感じですが、それに対し自分がドライビングでどう補えるのかという部分の話でもあるので、クルマも、ドライビングも改善の余地はたくさんあるという感じですね」

■福住仁嶺(Kids com Team KCMG) 午前9番手/午後10番手

 正式にメーカー移籍を経てから初めてのSFテストに臨んだ福住仁嶺(Kids com Team KCMG)。あいにくのウエットとなった初日を終え、「SF23では初めてのウエットタイヤでの走行でしたので、いろいろとデータ取りをしました。速いチームやクルマからは(タイムが)離れていますけど、初日のテストで得られたものは多いとは思うので、これからチームと話をし明日はどうしようかという感じですね」と語った。

 2セッションともにタイム順が中段だったこともあってか、ウエットでの手応えは「今のところそんなに余裕はないです」とした福住。ただ、ドライ、ウエットともに抱えている問題は同じだったということがわかったようで、「根本的に直していきたい」と、進むべき方向性は見つかったようだ。

 なお、開幕戦の天候はドライか、ウエットか、どちらが良いかと尋ねられると、「ぶっちゃけ、昨年12月の合同/ルーキーテストのような状態であればドライがいいのですけど、このまま行けるとは思ってはいませんので、どっちでもという感じですね」と口にした福住。メーカー移籍を経て迎える新シーズンに向けては、「Kids com Team KCMGの皆さんと優勝したい」と語った。

「Kids com Team KCMGの皆さんの優勝したいという気持ちも伝わりますし、特に西山悟総監督、土井隆二チーム代表兼監督というおふたりからは強くその想いが伝わってくるので、早くこのメンバーみんなで喜び合いたいという思いがあります。とにかく勝ちたい。難しく、大変だとは思いますけど、そう思います」

■ラウル・ハイマン(TGM Grand Prix) 午前16番手/午後20番手

 今回、TGM Grand Prixからレギュラーシート獲得を目指してテストに参加しているラウル・ハイマン。彼にとってウエットコンディションでのSFは初めてだったが、午前のセッション1では着々と周回を重ねていき、1分55秒758で16番手につけた。この勢いで午後のセッション2でペースを上げようとしたが、ギアボックストラブルが発生し3周で終了。不完全燃焼なかたちで1日目を終えた。

「フラストレーションが溜まる1日となった」とハイマン。「朝のセッションでは、こうして(SFの)クルマに乗ってプッシュするのは久しぶりだったからエキサイティングだった。僕にとって SFでのウエットは初めての経験で、コンディションも微妙に変化した部分もあったし、その時に履いたタイヤの状況によって、タイムも変化した。だけど、午前中での経験と結果を見る限り、午後はもっと早く走れるだろうと……うまくいけばトップ8あたりは狙えたかもしれない」と、難しいコンディションの中で手応えは感じていた様子だった。

「午後はもっと順位を上げられると思っていたけど、ギヤボックストラブルで一度もプッシュラップを刻むことができなかった。正直残念だけど、チームにミスがあったわけでは決してない。たまたま起きたトラブルであって、チームのみんなは素晴らしい仕事をしてくれている」と語るも、ハイマンにとってはレギュラーシートをかけてテストに臨んでいるだけに、1分も無駄にしたくないという気持ちが強く「フラストレーションが溜まった」と悔しさをみせた。

 いずれにしても、手応えを掴んでいるのは確かなようで、「特に今回の僕はハードに攻めていってタイムを出さないといけない。明日は良いリザルトを残さないといけないけど、今朝のポテンシャルを見る限りでは良い感じだから、あとは走りで証明するだけだ」と自信をみせていた。

■大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) 午前20番手/午後出走せず

 午前のセッション1中盤、大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)はNIPPOコーナー立ち上がりで路面の水に乗り、右側のガードレールへとクラッシュ。この影響で午後のセッション2も走ることなくテスト初日を終えることとなった。

 そんな大湯はクラッシュの前からマシンのフィーリングに頭を悩まされていたと振り返る。

「(マシンについては)朝から少し調子は悪く、頑張っても真ん中(中段)に行けるかどうかというフィーリングで、これはまずいなと。その時点ではどこから手をつければいいのかもわからなかったのですけど、そんな中でも一発はちゃんとタイムを出しに行きたいという状況でした。でも、雨がバッと降ってきたタイミングで……まぁ“船になって“しまったという感じです」

「(持ち込みセットアップを外した)というよりも、CERUMO・INGINGも僕もSF23で雨を走った経験がありませんでしたし。逆にいえば、ウエットの走りについては今までは調子が良かった方のチームですから、ここまで調子が悪くなるとは思っていなかったので、少し想定外のことが起きています」

 走り始めから抱えていた課題を解決するべく、修正をかけた大湯とCERUMO・INGINGだったが、その修正は功を奏さず。結果的にスピン、クラッシュに繋がる結果となった。

「不調だったので変えたところがあったのですけど、変えてよりダメな方向になって。いろいろと相まって、ハイドロも起きやすい状態にもなっていたので、余計に……ですね」と、大湯は肩をおとす。

 なお、身体への衝撃に関しては「まぁまぁ強い衝撃ではありました」とのことだが走行には支障はなさそうだ。2日目の走行に関してはクルマの修理が間に合えばとしている。

「(初日午後走れず)逆に時間はあったので、自分たちがなんでダメだったのかをしっかりと見ることはできたとは思います。僕自身としてはどういう方向性にすればいいかという答えはある程度見つかっています。なので、(走れなかった午後も)有意義に使えたと思います」

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みんなのコメント

1件
  • ゆうてん
    大湯は今までと違うチーム、マシン、エンジンなので、誰よりも周回を重ねないといけない立場なのに、早々にマシンを壊してデータ収集不足では話にならないんじゃないの?
    そう言うところが勝てなくて予選番長を卒業できない要因
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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