Mercedes-Benz S-Class
メルセデス・ベンツ Sクラス
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7代目Sクラスは「レベル3相当」の自動運転機能を搭載
2020年9月2日、メルセデス・ベンツの新型Sクラスが世界初公開された。型式はW222からW223へ。初代から数えて7代目へと進化したSクラスには、歴代モデル同様「いまメルセデスが持てる技術のすべて」が凝縮され投じられている。もちろん先進運転支援機能(ADAS)もその例に漏れない。新型Sクラスは「パイロット・ドライブ」と名付けたレベル3相当の自動運転機能を搭載するのである。
常に時代の最先端技術を推進してきたSクラスの最新世代が搭載する、自動運転機能の内容とは。ジャーナリスト・清水和夫がダイムラーAGの運転支援システム及びアクティブセーフティ担当ディレクターのDr.ミハエル・ハフナーにオンラインで単独インタビューを行った。
メルセデスの“ミスター・セーフティ”
その内容をレポートする前に、清水はハフナーと2018年にメルセデスの自動運転について技術的なインタビューを行ったことがあるので、そのときの話しから始めたい。
実は清水とDr.ミハエル・ハフナーとは、10年くらい前にEクラスへドライバー・アシスト・システムが導入された時からの知り合いであり、「ハフナーは事実上メルセデスの“ミスター・セーフティ”である」と理解していたという。
当時のインタビューでDr.ミハエル・ハフナーは「自動運転に関しては、当たり前のことですが、人よりも安全でなければ製品としては失格なのです。しかし、どこまで安全にすればよいのか、難しい課題があります」と述べていたそうだ。この話は自動運転のエキスパート達の共通の悩みである。
たとえば100万km走ってもミスしないシステムを作るべきなのか、あるいは1万kmに1回のミスを許すのか。それによって、自動運転に求める技術は全く違ってくる。こうした安全の基準を定めるときには、ユーザーや社会の期待を考慮する必要がある。そう清水は言う。
自動運転のための一大国家プロジェクト
Dr.ミハエル・ハフナーは「自動運転を実現するために、ドイツではペガサス(PEGASUS)と呼ばれる国家プロジェクトが2016年1月から始まっています。これはドイツ経済エネルギー省が主導し、メルセデス・ベンツを率いるダイムラー社や、BMW、フォルクスワーゲンなどの自動車メーカー、ボッシュなどのメガサプライヤーの他、大学や研究機関などがメンバーとなり、自動運転に必要なデータを収取しているのです」と説明した。つまりペガサス・プロジェクトは、一種の「データバンク」を目指したものであり、そのデータから安全の基準が作ることができるわけだ。
これまで、事故の一歩手前の「ヒヤリハット」は人間が全て判断して処理をしてきたが、自動運転ではクルマのシステムがどう対処しなければならないかを決める必要がある。「そこで、メルセデスは独自に行っている実際の交通環境のリスクをデータで収集し、これにペガサスで集めたデータを加え、あらゆるリスクに対処するシナリオを作る。その“シナリオ作り”が曖昧だと自動運転車は安全に運行できなくなります」と清水。
人間そのものを研究するメルセデス
Dr.ミハエル・ハフナーは次のように語っている。
「メルセデス・ベンツの安全哲学として長年守られてきたことは、『人はミスをする』という考え。そこで、システムを開発するときに『予見可能なミス(foreseeable misuse)』に注意するべきだと考えています。つまり、高度化した運転支援技術には、ときにドライバーが頼ってしまい、ミスユースを誘発するかもしれない。これは人間の習性を考えると十分に想定できること。さらに、人とマシンのコミュニケーション(HMI)も重要なのです」
長年、メルセデス・ベンツの安全技術をウォッチしてきた清水はその開発チームに「心理学者・社会学者、ときには神学者」も存在することを知っている。清水は言う。「メルセデス・ベンツは長い間、人間研究を続け、その上でモビリティ社会をリ・デザインするという意識が強い。こうした理念や哲学にもとづき、自動運転技術を指揮するDr.ミハエル・ハフナーが新型Sクラスの開発に情熱を注いできたことは容易に想像できます」
そしてついに2021年に市販される新型Sクラスによって、自動運転の未来の扉が開こうとしている。清水はこの日をずっと待ち望んでいたのである。
レベル3システムはドイツから導入
2020年9月2日。オンラインで再びDr.ミハエル・ハフナーと新型Sクラスの自動運転技術についてインタビューすることができた。
期待通り、新型Sクラスにはレベル3の部分的自動運転システム「パイロット・ドライブ」が備わっている。報道資料では「Conditionally automated driving」の見出しが躍る。 Dr. ミハエル・ハフナーは次のように説明している。
「新型Sクラスで、メルセデス・ベンツは自動運転に向けた新しい一歩を踏み出しました。ドライブ・パイロットにより、このラグジュアリーサルーンはある一定の条件下で自動運転を行います。渋滞もしくは交通の流れが悪い自動車専用道路において、かつ最高速度60km/hまでという前提ですが。これによりドライバーの負担が軽減するのはもちろん、例えば車内で仕事を行うなどセカンドタスクも可能になります。レベル3相当のシステムは、まずドイツから導入をスタートします」
日本市場への導入は“技術的には”可能
導入時期について清水がDr.ミハエル・ハフナーに問うと、次のような回答が得られた。
「公約どおり2021年から実施します。レベル3のシステムを運用するにはHDマップ(高精度地図)が必要になるので、施行するのはその条件が当てはまる国のみになるでしょう」
条件が当てはまる国とは? 清水は「日本とドイツではレベル3の基準に関して互いに基準調和が取れているので、ドイツでできることは日本でもできるだろう」と推察し、「レベル3のシステムを搭載することは技術的に可能だから、あとは国内市場へ導入するか否かは日本法人の判断次第でしょう」と語る。
シミュレーションは「我らの得意分野」
新型Sクラスはライダー、ミリ波レーダー、カメラ、超音波センサーなど多くの検知・測定機器を満載している。しかしいくら機械が揃っていたとしても、そのセンサーが現実世界でうまく働くかどうかは別の話になる。つまり、徹底したシミュレーションが必要となるわけだ。清水がその点について確認すると、Dr.ミハエル・ハフナーはこう答えた。
「シミュレーション技術は我々の得意とする領域です。衝突安全性能を開発するうえでもシミュレーションは繰り返し、繰り返し実施してきたのですから」
ワイヤレス通信で常に“脳”をアップデート
また、先進運転支援機能をはじめとした高度なシステムを管理し運営するためには、フレキシブルな電子制御のアーキテクチャーが必要、と清水は指摘する。日々進化し変化する環境にも対応すべく、ソフトウェアには常に更新の必要が生じる。それについて、Dr.ミハエル・ハフナーは説明する。
「もちろんOTAを採用します。我々はNVIDIAとパートナー契約を結んでいます。新型Sクラスは2021年に市場へ導入しますが、ソフトウェアに関しては次の5年、10年を見据えています」
メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス(MBUX)と呼ぶAI コクピットシステムは、新型Sクラスでコンピューティング能力を50%向上しているという。その“知能”面でメルセデスが手を組んでいるのがGPUメーカーの雄、NVIDIAである。
OTAで常に最新の状態に更新できるのはインフォテインメント系のみに限らない。むろん、走りに関連する部分もソフトウェアの更新で“チューン”が可能になるはずだが、そちらは法規に関わる部分もある。そう清水は説く。
衝突安全から数えると、メルセデスの安全技術を四半世紀もウォッチしてきた清水は「ついにこの日が来たのですね」と胸を熱くして、インタビューを終えた。
INTERVIEW/清水和夫(Kazuo SHIMIZU)
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みんなのコメント
メルセデスは毎回FMCでガラッと変えてくる
しかしここにきて他社よりになって、メルセデスらしさがかなり薄れた感じ