GM製のV8に独自のサスペンション
text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
【画像】JIAチーフテン バージョンアップされるランドローバー・モデルたち 全110枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
最近は、レストモッドされたクルマをご紹介する機会も多くなった。今回試乗したのは、クラシック・レンジローバーをベースとした、チーフテンだ。
手掛けたのは、インターセプターのアップデートなどで英国では名の通った、ジェンセン・インターナショナル・オートモーティブ(JIA)社。実は数年前にも、JIAは初代チーフテンを制作している。
それは、ランドローバー・ディスカバリー3のシャシーに、レンジローバーのボディを載せたものだったらしい。仕上がりは良さそうに見えたが、コンバージョン作業は極めて複雑で、価格は信じられないほど吊り上がってしまったという。
そこでJIAは知恵を絞り、まったく新しいチーフテンを考えた。基本的にはベースのレンジローバーの主要構造を流用しながら、フロントにはパワフルなGM社製のV8エンジンを収めている。
今回の試乗車の場合、6.2LのLS3ユニットが搭載され最高出力は436ps。トランスミッションは6速ATで、2段トランスファーとリミテッドスリップ・デフを持つ、既存の四輪駆動システムに組み合わされている。
新調されるラダーフレームには、独自のダブルウイッシュボーン式サスペンションが組まれ、トレッドは広げられた。ドラブシャフトが伸びるデフはそのままで、コイルスプリングはシャシー側に追加されたマウントから吊り下がる。
ダンパーはスパックス社製の調整式。ほかにも、現代モデルのように扱いやすく信頼性を高めるため、細かな改良が施されているという。
戦車が崖を落ちるような勢いで加速する
今のところJIAがベース車に選んでいるのは、1990年代初めに生産されていたソフト・ダッシュと呼ばれるレンジローバー。レトロとモダンのベストミックスといえる年式で、エアコンやエアバッグなど、現代的な装備も整っているのが理由とのこと。
レストモッドの例に準じて、仕様の自由度は広い。試乗したチーフテンでは5ドアボディをベースにしつつ、独自のバンパーにLEDヘッドライト、コンポモーティブ社製のホイールを装備。オリジナルよりずっと好戦的な見た目に仕上がっている。
中に乗り込んでみると、インテリアは確かに新旧が上手にバランスしている。ソフト加工されたダッシュボードも、初期のレンジローバーより人間工学的にだいぶ良好だ。
サンルーフが頭上空間を削っているものの、ステアリングコラムは角度調整でき、丁度いい運転姿勢が取りやすい。シートとステアリングホイールは、手縫いのレザーで仕立ててある。
カーペットは新品で毛足も充分。天井の内張りもきれいで、ウッドドリムも新しい。車内空間はレンジローバーに準じて広く、テールゲートは上下に分割して開く。荷室も広い。
昔ながらのキーをひねると、6.2LのV8エンジンがひと吠え。あり余るパワーとトルクで柔軟に走る。戦車が崖を落ちるような勢いで、加速していく。
6速ATの変速マナーは、ハイペースではクイックでクリーン。ゆっくり走っている時は滑らかだ。低速域で急にアクセルペダルを踏み込むと、変速に違和感がある場面もあるが、それ以外はよく制御されている。
正確なステアリングと落ち着いた乗り心地
動的性能は、現代の高性能SUVと比べれば驚くほどの水準ではない。だが、ステアリングホイールの正確な反応と、落ち着いてしなやかな乗り心地には感心する。ステアリングラックとブレーキは、ディスカバリー3からの流用だという。
通常のクラシック・レンジローバーは、路面の乱れで跳ね、ライブアスクルが振動することもあった。でもチーフテンなら、ほとんどを受け止めてくれる。やや硬さも感じるものの、傷んだアスファルトの影響はほぼ受けない。
速めのペースでコーナリングすれば、それなりにボディロールするものの、ドライバーが不安になるほどではない。狙ったラインを粘り強く走ってくれる。
驚くほどの速度で、クラシック・レンジローバーを走らせることも難しくない。知らないドライバーが見れば、その勢いに驚くだろう。
ハンドリングのまとまりは印象的に良く、高い視線のおかげで路面の状況は掴みやすい。といっても、高速でのコーナリングが得意分野とはいえない。ステアリングホイールには、繊細な感触が伝わってくるわけでもない。
基本的には25年前のレンジローバーだから、癖もある。設計は50年ほど昔にさかのぼる。長距離移動も快適にこなせるはずだが、速度が増せば風切り音は目立つし、キシミ音があちこちから聞こえてもくる。
ボディはアルミ製で、予め柔軟に作ってある。シリアスなオフロード走行には、当時必要なものだった。同時にチーフテンの独特の個性や能力、品質、存在感には、それらを許せる訴求力もある。
高いパフォーマンスとクラシックとの共存
JIAチーフテン・レンジローバーの英国での価格は、14万7500ポンド(2212万円)から。ランドローバーのクラシック・ワークス部門でレストアを受けたレンジローバー・リボーンより高い。そのかわり、現代的な能力が与えられている。
ノイズや振動など、クラシックなレンジローバーだと気付かさせる要素は残っている。だが優れたパフォーマンスとの共存は、不思議と心地イイ。筆者は程なくして気にならなくなった。
休日に楽しむだけの多くのレストモッド・マシンとは異なり、JIAチーフテン・レンジローバーなら日常的に乗れるはず。もしわたしが選ぶなら、当時のままのボディラインと塗装色を選びたい。
レンジローバーを設計したスペン・キングが意図した通りの姿は、やはり魅力的。驚くほどの動的性能も、上手に隠してくれるはずだ。
JIAチーフテン・レンジローバー(英国仕様)のスペック
英国価格:14万7500ポンド(2212万円)
全長:4470mm(標準レンジローバー)
全幅:1780mm(標準レンジローバー)
全高:1780mm(標準レンジローバー)
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:5.2秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:2000kg(予想)
パワートレイン:V型8気筒6162cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:436ps
最大トルク:58.6kg-m
ギアボックス:6速オートマティック
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