WRC世界ラリー選手権の候補イベントとして年々規模を拡大するラリー・エストニアに、WRC参戦中のワークスチームがレギュラードライバーと最新WRカーを送り込むことが決定。発表されたエントリーリストには、母国の英雄として2019年シーズンの世界タイトル獲得に挑むTOYOTA GAZOO Racing WRTのオット・タナクに加え、かつてスバル、フォードなどで活躍した同郷の大先輩、マルコ・マルティンの名もあり、新旧エストニア出身ドライバー対決が実現することになった。
ラリー・エストニアは2010年から始まったまだ歴史の浅いイベントながら、2014年シーズンからの3年間はERCヨーロッパ・ラリー選手権の1戦としてシリーズに組み込まれ、FIA格式のイベントとして経験を蓄積。2018年は異次元の高速ラリーとなるラリー・フィンランドに向けた前哨戦として、タナクがトヨタ・ヤリスWRCを持ち込みテスト参戦。フィンランド制覇につなげた実績を持っている。
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このラリーの発起人のひとりでもあるマルティンは、2010年の初代勝者としてもその歴史に名を刻んでおり、今回のイベントでは最新のフォード・フィエスタWRCをドライブする。
WRCで5勝を記録した元ワークスドライバーは、7月12~14日開催のこのイベントに復帰参戦するのは「簡単な決断だった」と意気込みを語った。
「このマシン(現行フィエスタWRC)には乗ったことがあるが、それはオット(・タナク)のコドライバーズシートでの話だ。彼はとても上手く乗りこなしていて、高速コーナーは最高のフィーリングだった。空力が本当によく効いているのが体感できたよ」と、マルティン。
14年前までWRCレギュラーとして戦ったキャリアを持つものの、当時のWRカーは現代のマシンほど空力性能への依存度が高くない時代でもあり、そのドライビングはまるで次元の異なるものだ、とも説明する。
「どうやってドライビングすればいいのか、正直わからない。どうやってエアロに慣れて使いこなすか、それもわからない。どこでラリーを終えることになるか、それも不明だ(笑)」
「でもR5カーに先を越されさえしなければ、僕はとてもハッピーだよ!」
マルティンとともに、このラリー・エストニアの創始者のひとりとして名を連ねる同郷の元WRCドライバーで、スズキ・ワールドラリーチームでスイフト・スーパー1600などをドライブしたウルモ・アーヴァの献身にも「最大級の賛辞を贈りたい」と続けたマルティン。
「このイベントの誕生から現在の成長まで、その進化の早さと成功は信じられないほどだ。ここには素晴らしいインフラがあり、ステージはまるでフィンランドのようだ。すべてのエントラントにとって良いイベントになるはずだし、これは僕のホームイベントで、参加するのは絶対だったよ」
そして、このイベント参戦が実現したのは、後輩であるタナクの強力なプッシュがあったからだ、とも明かした。
「そう、僕がこのイベントを走ることになったのは、多分に彼のせいでもあるんだ(笑)」とマルティン。
「彼はずっと僕に参戦するよう言ってきたんだが、僕は『そんな大それたこと。どれだけコストが掛かると思ってるんだ』なんて、話を交わしていたんだ。でも彼は諦めずにプッシュを続け、最終的には僕が同意することになったわけさ」
マルティンの参戦実現を受け、イベント共同創設者のアーヴァも「彼の参戦はWRCの全ファクトリーチーム、4大マニュファクチャラーがそろうことと同じくらい、イベントの成功にとって重要な要素だった」と歓迎の言葉を残した。
「我々の目標は4大メーカーの参戦実現だったが、マルティンが同じイベントで最新のフィエスタWRCをドライブするのはそれと同じくらい、ファンにとっては重要だった。彼は2010年に最初のラリー・エストニア勝者になっているし、この国のラリー界発展に重要な役割を果たしてきた。2019年大会での彼からのフィードバックも楽しみにしているよ」とアーヴァ。
エントリーリストでは最新世代WRカー7台のエントリーが確認されており、TOYOTA GAZOO Racing WRTのオット・タナクを筆頭に、M-SPORTからはエルフィン・エバンスとフィエスタWRC、シトロエン・レーシングからはエサペッカ・ラッピがC3 WRCで参戦。i20クーペWRCを2台投入するヒュンダイ・ワールドラリーチームからはアンドレアス・ミケルセンと新加入のクレイグ・ブリーンがステアリングを握ることが決まっている。
また、M-SPORTは先日発表したばかりの最新R5モデルであるフィエスタも投入し、こちらもファクトリー契約のティーム・スニネンがドライブする予定だ。
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