驚異的な動力性能を発揮するPHEV
フェラーリSF90 ストラダーレは、英国のテストコース、MIRAで輝かしい記録を残している。ハンドリングサーキットでのラップレコードを更新し、加速力の数字も塗り替えた。しかし、最高のドライビング体験だったと結論づけてはいない。
【画像】PHEVのフェラーリ SF90 スパイダーとストラダーレ カブリオレの高性能ライバルも 全111枚
V8ツインターボ・エンジンを載せたスーパーカーには、同社の量産モデルとして初めて、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)技術も搭載されていた。その結果、最高出力1000psという驚異的な動力性能を獲得。息を呑むレスポンスを実現していた。
フェラーリの技術力へ唸ると同時に、新水準といえた動力性能には心底驚かされた。しかし車重は増えており、操縦性は電子デバイスの存在感が大きいものだった。
従来のミドシップ・フェラーリが備えていた、流れるように繊細で自在に操れる甘美な特性が、今後のハイブリッド化で揺らぐのではないかと危惧した。しかし、フェラーリF8トリブートの後継モデル、296 GTBが、そんな心配を打ち消してくれた。
V6ツインターボ・エンジンにPHEV技術が組み合された296 GTBは、感嘆するほどエネルギッシュで、フィーリングの豊かなミドシップ・フェラーリだ。システム総合で830psを発揮しつつ、価格は抑えられている点もうれしい。
ハイブリッド技術でわれわれを一喜一憂させるフェラーリだが、最新のSF90 スパイダーが登場した。その名の通り、SF90 ストラダーレのコンバーチブルで、シャシーとパワートレインは基本的に変わらない。
長距離を快適にこなせる乗り心地
最大48km/hまでなら走行中でも開閉できる、リトラクタブル・ハードトップを備えているのが特徴。動作は14秒で完了するから、信号待ちでも余裕だろう。駆動用モーターでの静かな走りから、300km/hで髪をなびかせての疾走まで、幅広い楽しみ方ができる。
このリトラクタブル・ハードトップはコンパクトで、通常なら150Lから200Lほどの容積が必要なところ、100Lに納まったとフェラーリは強調する。しかし、SF90 ストラダーレと同じく、リアにラゲッジケースは存在しない。
フロントノーズの内側に、75Lの空間があるだけ。充電ケーブルと小さな旅行かばんを1つ積めば、一杯になってしまう。長距離ツーリングを楽しみたい人にとっては、頭の痛い問題かもしれない。
今回試乗したSF90 スパイダーには、サーキット走行へ主眼をおいたアセット・フィオラノ・パッケージが装備されていない。軽量化され、マルチマティックと呼ばれるレーシングダンパーが装備され、ハードコアなフェラーリに仕上がるオプションだ。
だが、標準サスペンションのSF90 スパイダーは、上級なグランドツアラーのように乗り心地が素晴らしい。想像以上に洗練された質感で、長距離移動を快適にこなすことができるだろう。
最高出力1000psと聞くと、強烈な加減速や容赦ない乗り心地を想像しがちだが、そんなことはない。パワートレインもシャシーも、とても上質に仕立てられている。路面の凹凸に惑わされることなく、ひたすらこのフェラーリが速い、という印象を味わえる。
一層のドラマチックさが加算
SF90 スパイダーのスピードやレスポンスの凄さを表現するには、何か新しい語彙が必要に思える。ギアやドライビングモードに関わらず、尋常ではない。
筆者は数年前にラスベガス・モーター・スピードウェイでドラッグレース・マシンを運転した経験があるのだが、その爆発的な勢いに近い。右足へ力を込める度に、そのゼロヨン加速の記憶が蘇ってくる。この表現が近いかもしれない。
猛烈な速さという点は、SF90 ストラダーレでも共通している。だがスパイダーなら、ルーフを開き、低速域で宇宙船のような駆動用モーターの唸りを楽しむこともできる。
あるいは、比較的すぐに目覚めるV8ツインターボ・エンジンの雄叫びも。オープンにすれば、既に圧倒されるような体験に、一層のドラマチックさが加算される。
実際のところ、PHEVであっても駆動用バッテリーの容量は7.9kWhと小さい。3基の駆動用モーターは、エンジンをアシストするという機能へ主軸があるといっていい。
また、フロント側の2基のモーターはトルクベクタリング機能も果たし、クイックなステアリングラックと相乗して、信じられないほど鋭いコーナリングを実現している。トラクションも凄まじい。ハイスピードでの走行に、確かな自信を与えてくれる。
サーキットでなければ存分に楽しめない
SF90 スパイダーは、SF90 ストラダーレより良いか。公道用のスーパーカーとしてはイエスだろう。クーペのストラダーレと比較して、動的能力に明らかな妥協は感取されない。ルーフを開けば、一層の喜びが待っている。
ただし、公道を走れば低すぎる制限速度につまずく。EVモードで走れる距離は限定的でもある。もっともそれは、クーペのストラダーレでも共通すること。SF90 スパイダーの能力は、公道では受け止めきれない。サーキットでなければ、存分には楽しめない。
技術進化に伴い、現実世界においてはドライビング体験へ制限が生まれている。この問題は、現代のスーパーカーすべてに当てはまるものではある。爽快な加速力を備えていても、パワーは高すぎ、シャシーは複雑すぎる。
296 GTBという、明るい未来を示唆する存在もある。近未来のハイブリッド・スーパーカーでも、一般道でシャシーの能力を引き出す至福の体験は許されそうだ。それでも、限界領域までには迫れないのだけれど。
フェラーリSF90 スパイダー(英国仕様)のスペック
英国価格:34万4900ポンド(約5518万円)
全長:4704mm
全幅:1973mm
全高:1191mm
最高速度:339km/h
0-97km/h加速:2.5秒
燃費:−
CO2排出量:149g/km
乾燥重量:1670kg
パワートレイン:V型8気筒3990ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:7.9kWh
最高出力:1000ps(システム総合)
最大トルク:81.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
加速を楽しむために軽く踏み込むと1秒ぐらいで制限速度に達するから、まだまだ先があるパワーの伸びが全く味わえない。
しかもべた踏みは怖いし危なくて出来ない。
日本の公道ならロードスターや86ぐらいがちょうど良い。