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WECスパ決勝:雨に雪、雹……トヨタ8号車”自然の脅威”に打ち勝つ。僚友7号車はトラブル

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WECスパ決勝:雨に雪、雹……トヨタ8号車”自然の脅威”に打ち勝つ。僚友7号車はトラブル

 世界耐久選手権(WEC)第7戦スパ6時間レースは、何度もコンディションが変わり赤旗終了。トヨタTS050 HYBRIDの8号車(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ)が優勝を飾った。

 決勝日当日の朝はまさかの降雪に見舞われたスパ・フランコルシャン。雪も解けドライコンディションではあるものの、ウエットレース宣言がなされてスタート時刻を迎えた。

■WECスパ:気まぐれ”スパウェザー”の予選、トヨタ7号車がポールポジション

 ポールポジションのトヨタ7号車はマイク・コンウェイがスタート担当。僚友8号車にはブエミが乗り込んだ。SMPレーシングは5番グリッドについた11号車のステアリングを、これがWECデビュー戦となるストフェル・バンドーンに託した。

 気温5度、路面温度9度という中、スタートではトヨタ勢が危なげなくワンツーをキープ。しかし、レースはいきなり波乱の展開。オープニングラップが終わるかどうかという頃に雨粒が落ち始め、急激に雨足が強まってしまった。これが、”スパ・ウェザー”悪夢の幕開けとなった。

 たまらずトヨタ、レベリオンはダブルピットストップを敢行しウエットタイヤに交換。ただトヨタ8号車はタイヤが用意されておらず大きくタイムロス、レベリオン3号車の後ろでコースに復帰した。コンディションはさらに悪化し、雪混じりの土砂降りに。ステイアウトしていたSMPレーシングの2台もスリックタイヤで走行を継続することはできずピットインした。

 LM-GTE Proクラスは、レース開始直後の雨にいち早くピットインした95号車アストンマーチンがリードする展開。しかしペースでは82号車BMWの方が優れており、95号車をオーバーテイクしトップに立った。

 コンディションの悪化は止まらず、気温1度まで低下。空からは大粒の雪が落ちてくる状況となり、レース開始から25分を迎えようかという頃にセーフティカー(SC)が出動した。その後、約25分ほどSC走行が続いたが、この間にサーキット上空から雪雲がいなくなり、太陽が顔を覗かせた。

 残り時間5時間10分ほどからレース再開。加速の良さを活かし、トヨタ8号車がレベリオン3号車をパスし2番手とした。GTE Proクラスは、2番手の92号車ポルシェが好スタート。オー・ルージュで82号車にクロスラインを仕掛け、オーバーテイクを成功させた。

 再開後にペースが良いのはブエミの8号車。最終シケインで止まりきれなかった7号車を逆転しトップに躍り出ると、7秒ほどまでギャップを広げていった。

 残り時間が5時間を切ろうとする頃、1コーナーで4号車バイコレスがLMP2クラスの37号車ジャッキー・チェンDCレーシングに弾き飛ばされるような形でクラッシュ。4号車はコース脇のバナーを引っ掛けながらピットに向かった。デブリが散らばったこともあり、再びSC導入となった。

 この間に、トップを走っていたトヨタ8号車がピットイン。燃料が保たずピットレーンがオープンする前だったため、規定により5秒間の給油のみでコースに復帰した。一方、その数周後にピットに入ったレベリオン勢やSMPレーシング11号車はスリックタイヤに交換。これを見て、トヨタ7号車もピットインしスリックタイヤを装着した。

 残り時間4時間36分からレースが再開されたが、トヨタ8号車はピットに戻るSCについていくように再びピットインしスリックタイヤに交換。総合17番手までポジションを落としてしまうこととなった。

 これでトップに立ったのはSMPレーシング11号車のバンドーン。しかし1周あたり4秒ほど速いペースで7号車が迫り、レース再開から10分ほどでオーバーテイク。リードを取り戻した。

 その後レベリオン、SMPレーシングの4台がピットに入りタイヤ交換をしたこともあって、猛追を続けていたトヨタ8号車が総合2番手へ。しかしトップを走る僚友7号車とのタイム差は1分近くまで広がってしまった。

 ウエットコンディションで好走を見せ、LMP2クラストップを走っていたチーム・ネーデルランドの29号車だが、95号車アストンマーチンをコース外に押し出しクラッシュさせてしまったことで2分間のペナルティストップを科され、アルピーヌ36号車が代わってトップに立った。

 一方GTE Proクラスは、タイヤ交換のタイミングでポルシェ91号車がトップに。しかし次第に97号車アストンマーチン、51号車フェラーリが追いつき、三つ巴のバトルを展開した。

 残り時間4時間を迎えようかという頃、GTE Amクラスのデンプシー・プロトンの88号車ポルシェが他車との接触でコースオフ。グラベルから抜け出せなくなり、フルコースイエロー(FCY)が宣言された。このタイミングでトヨタの2台はピット作業を消化。7号車には小林可夢偉、8号車にはアロンソが乗り込んだ。

 残り3時間57分ごろにレースが再開。しかしその12分後にデブリを理由に再びFCYが出された。その直前に、8号車のアロンソが濡れた人工芝に足元を掬われ単独スピン。SMPの17号車は右フロントタイヤの脱落、レベリオン1号車のアンドレ・ロッテラーも最終シケインでスピンを喫してしまうなど、LMP1クラスの車両が相次いでトラブルに見舞われた。8号車はチェックのためか一旦ピットインしたが、特に作業はなくコースに復帰した。

 FCYが5分ほどで解除された後、レースは若干の落ち着きを見せていたが、残り時間が3時間30分を切った頃、GTE Proクラスのトップ争いが激化。タイヤが厳しい91号車ポルシェが97号車アストンマーチン、71号車フェラーリからプレッシャーを受け、相次いでオーバーテイクを許してしまった。91号車はオー・ルージュで意地を見せ、71号車を抜き返したものの直後に挙動を乱し3番手に後退した。4番手を走る51号車フェラーリは一歩引いて後ろからバトルを見守った。

 スタートから2時間45分が経過した時点でSMPレーシング11号車がピットイン。スタートからドライブを続けたバンドーンがようやくお役御免となり、ヴィタリー・ペトロフがマシンに乗り込んだ。

 残り時間3時間9分、トップを走っていたトヨタ7号車もピットイン。しかし作業が終わってもピットから出て行かず、そのままガレージにマシンを入れてしまうと、メカニックがエンジンカウルを開け作業を開始した。

 姉妹車のストップによりトップに立ったトヨタ8号車は、レース折り返しを前にピットイン。アロンソに代わり、中嶋一貴がシートに収まった。2番手にはレベリオン3号車、3番手にSMP11号車が続いた。

 ハイブリッドシステムに関するトラブルに見舞われたトヨタ7号車は、約10分ほどの迅速な作業でコースに復帰。8号車から5周遅れで走行再開し、ホセ・マリア・ロペスが8号車と遜色ないペースで追い上げを始めた。

 しばらくは青空の下、各車が淡々と走行を続けていたが、残り時間2時間37分頃から再び一気に雨が降り出してしまう。トヨタ8号車はこのタイミングですぐさまピットインしウエットタイヤに交換。各チームも忙しなくピット作業を行った。

 雨はすぐに落ち着き、コースの一部では青空が覗くような微妙なコンディションとなり、レーシングラインは乾いていった。ただ再び雨が降る予報となっていることもあり、各車が我慢の走行。そんな中でGTE Proクラス8番手の81号車BMWはスリックタイヤに交換した。

 しかし残り1時間51分頃、予報通り再び雨が落ち始めてしまう。トヨタはすぐさま2台をピットに呼び戻すと、瞬く間に天候は悪化。雨は雹に近いほど大粒の雪に変わり、視界も一気に悪くなったことで3度目のSCが出動した。

 1号車レベリオンのブルーノ・セナがSC走行中にも関わらずスピンを喫してしまうほどのコンディションだったが、徐々に雨量が減り残り1時間15分からレース再開となった。

 ただ路面状況は悪く、コースオフやスピンする車両も見られた。GTE Amクラスのポイントリーダーであるプロジェクト1の56号車ポルシェがクラッシュを喫してしまった。

 LMP2クラスの優勝争いにも動きがあり、36号車アルピーヌ(ニコラス・ラピエール)を31号車ドラゴンスピードのパストール・マルドナードがオーバーテイク。トップに立った。

 再び空が明るくなっていったが、トヨタ8号車が最後のピットストップを行った残り時間45分ごろから、雪雲が再接近。今回も急速にコンディションが悪化したことで、4度目のSC出動となった。

 この日1番の降水量で視界はほぼゼロとなったが、それでも雪は降り止み、残り時間16分を切ったところからレースが再開された。

 LM-GTE Proクラスの97号車アストンマーチンと51号車フェラーリのトップ争いが勃発するかと思われたが、残り12分を切ったところでまたしても急速に天候が悪化。レースディレクターはレース続行が不可能と判断、赤旗を掲示しレース終了が宣言された。

 最終的にトヨタ8号車は、2位のレベリオン3号車を周回遅れにしての総合優勝。3位にはSMPレーシング11号車が入った。トヨタ7号車は総合6位でレースを終えた結果、トヨタがチームタイトルを獲得。ドライバーズタイトル争いでは、8号車のメンバーが、7号車のメンバーに対して31ポイントリードと、ほぼ王手をかけた状態で最終戦ル・マン24時間レースに臨むことになった。

 LMP2クラスは31号車ドラゴンスピードが優勝。2位は26号車Gドライブ、3位は36号車アルピーヌとなった。

 僅差のLM-GTE Proクラスは、結局97号車アストンマーチンが優勝。51号車フェラーリが2位といったオーダーとなった。3位は92号車ポルシェが獲得している。

 LM-GTE Amクラスはデンプシー・プロトンの77号車ポルシェがトップでチェッカーを受けた。

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