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鈴鹿8耐で2年ぶりに女性ライダーが躍動。海外戦を経て成長見せた平野ルナ「チェッカー後の雰囲気は特別。また挑戦したい」

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鈴鹿8耐で2年ぶりに女性ライダーが躍動。海外戦を経て成長見せた平野ルナ「チェッカー後の雰囲気は特別。また挑戦したい」

 酷暑のなか盛り上がりを見せた2025年の鈴鹿8時間耐久ロードレースは、全55チームと例年にも増して混戦状況となった。そのなか紅一点、唯一の女性ライダーとして平野ルナ(TEAM SUGAI RACING JAPAN)が2年ぶりに鈴鹿8耐の舞台に帰ってきた。FIM女子世界選手権(WorldWCR)も経てさらにレベルアップし、本戦ではあるアクシデントも乗り越えチェッカーライダーも務めた彼女がレースを振り返った。

 平野は幼少期からポケバイに乗り、全日本ロードレース選手権のST600クラスに参戦し、そして2024年はこの年に新設されたWorldWCRに参戦すべく単身で海外に赴き挑戦した。鈴鹿8耐においては2019年、2022年、2023年と3度の参戦経験があり、いずれもチェッカーライダーを務め完走を果たしている。そんな彼女が、2年ぶりに鈴鹿8耐に挑んだ。

たったひとりで世界に挑戦する平野ルナ。新設の女子世界選手権WorldWCRは6月14~16日に開幕/SBK

 今回はTEAM SUGAI RACING JAPANからと、平野にとっては新たなチームでの参戦となったが、出場が決まったのは直前だったという。平野は「今季は全日本ロードか鈴鹿8耐どちらに参戦しようかと悩んでいたところ、鈴鹿8耐に向けたテストが7月前半にあった際にチームからご連絡を頂きました。鈴鹿8耐は世界選手権ですし、個人的にも1000ccのバイクの方が好きなので、参戦を決めました。ただ、準備期間が1カ月ほどしかなかったので、桶川スポーツランドに通ってトレーニングはしましたね」と説明した。

 先ほども触れたように2024年はWorldWCRに挑戦していたため、鈴鹿8耐への参戦は断念。今回は久々の舞台かつ事前の準備期間が少ない状況、そこに加えて初めて乗り込むマシンと異なる要素が満載だった。というのも、平野は過去3度の鈴鹿8耐参戦時はスズキGSX-R1000を使用していたが、今回は平野自身初となるホンダCBR1000RR-Rをライドした。

 そんな平野は「4~5年間はずっとスズキGSX-R1000に乗っていたので、乗り方も合わせられていましたが、ホンダCBR1000RR-Rはステップの厚さやバイクもとてもコンパクトなので、乗り方も変える必要があり厳しい状況でした。やっぱりそこが一番困惑しましたし、自分の適応能力の低さにもがっかりしました」と口にしていた。

 とはいえ、さらにレベルの高さが求められる海外の舞台で揉まれさらにレベルアップした姿が印象的であった。昨年WorldWCRにおいてヤマハYZF-R7と異なる排気量のマシンを操り、さらに1年間ピレリタイヤを使用し続けていたことで、彼女自身も今回の鈴鹿8耐では収穫があったという。

「昨年はWorldWCRで初めてピレリタイヤを履いて走っていましたが、活かせたことは割とありましたね。今回は今までと同様にブリヂストンタイヤを使用しましたが、夜間走行時だけ日中に使用したものと異なるものを使用しました。いつもは走っているだけで精一杯な感じでしたが、今回はタイヤの使い方など色々なことを考えながらしっかりと走る切ることができました」

 ウイーク中は経験を活かして奮闘を見せ、平野は予選で2分14秒757をマーク。さらに決勝でも過去の経験を活かして自身のスティントをしっかりとこなし、チェッカーライダーとして無事にチームの元へマシンを運び切ったのは彼女にとっても大きな成果と言えるだろう。体力も心配していたというが、それほど急激にタイムを落とすことなく走ることもでき、自身の成長ぶりも見えた鈴鹿8耐となったようだ。しかし、レース中には彼女にとって2年連続となる思わぬハプニングがあったという。

「2回目のスティントでキャメルから水を飲むホースにトラブルが起きてしまって、途中で限界が来たので緊急ピットインをして交代してもらうということがありました。初めてPボードが出る前に帰って来てしまったので、とても申し訳なく罪悪感があります。噛んだら水が出てくるタイプのものでしたが、吸引部のパーツが取れてずっと口の中にあり、水も飲めない状況でそのまま走り切るとなると体調も心配でした。何かあったときに呼吸もできませんし、飲み込んでしまいそうになるので……口にモノを含みながら走行するのは本当に大変でした」

 実は2023年の鈴鹿8耐時も序盤のスティントでホースが折れてしまい、やや脱水症状を起こしていたということがあった。2年連続でのアクシデントとなってしまったが、やはり鈴鹿8耐に参戦できたこと、チェッカーライダーを務められたことは、彼女にとって喜びが多かった様子。

「鈴鹿サーキットはやっぱり楽しくて、ずっと走っていても飽きないほど大好きなサーキットです。600ccよりも1000ccのマシンに乗っている時の方が楽しいですね。レースの最後もライダー同士みんなでハイタッチしたり盛り上がる瞬間は、チェッカーライダーにしか体験できないことなので、特別だなと感じました。夏の鈴鹿8耐は最後という話も耳にしますが、また挑戦したいです」

 再び鈴鹿8耐という舞台でたったひとりの女性として躍動、そしてレベルアップした姿を多くのファンに誇示した平野。今後の予定については「今のところ今季の参戦予定はまだありませんが、来年に向けて活動をしていきたいなと思っています。昨年WorldWCRを戦って選択肢も増えたので、色々な可能性を探っていきたいです」と意気込みも語っていた。今後の活動も気になるところだが、再び鈴鹿8耐の舞台で平野が再び活躍することを期待したい。

[オートスポーツweb 2025年08月30日]

文:AUTOSPORT web

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みんなのコメント

7件
  • 深見聡哉
    女性で2分14秒台って凄いね、昔のマシンじゃ比べてもどうかと思うけどガードナーやドゥーハン走ってた頃ならポール争い出来ちゃうね!
  • b-b
    女性ライダー自体は増えているが女性レーサー少なくなった様に感じます
    バイク業界も例えば女性だけのレースを開催して裾野を広げて行ったら良いのにな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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