三菱自動車は6月30日、同社が技術支援を行う“チーム三菱ラリーアート”によるAXCRアジアクロスカントリーラリー2023の参戦体制を発表した。前年大会で初出場での初優勝を飾ったチーム三菱ラリーアートは、新型車両を投入するとともに新たに日本人ドライバーをメンバーに加えている。
昨年ミツビシ・トライトンが総合優勝を飾ったAXCRは、その名のとおりアジア地域を舞台に行われるクロスカントリーラリーであり、今年で28回目の開催を数える。今季2023年は8月13日から19日までの日程となり、東南アジアのタイをスタートしてラオスでフィニッシュを迎える予定だ。
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同ラリーでの総走行距離は、北海道の札幌から鹿児島は奄美大島間の直線距離に相当する約2000km。スペシャルステージ(SS)と呼ばれる競技区間も1000kmを超え、コースは山岳地帯、密林地帯、泥濘路、川渡りなど変化に富み、走破性と耐久性が問われる難コースとなることが予想される。また今年は8月“雨季”の開催となるため、11月に行われた2022年大会以上に過酷なマッドコンディションでの戦いになるはずだ。
そんな2023年のAXCRに挑戦するチーム三菱ラリーアートは、前年に引き続き総監督を務める増岡浩の下で大会2連覇を目指す。チーム運営を担うタイのタントスポーツは今年も3台の『ミツビシ・トライトン』を走らせるが、既報のとおり、そのマシンはフルモデルチェンジを受けた新型モデルベースのT1(改造クロスカントリー)仕様となる。
クルーはディフェンディングチャンピオンのチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組と、5位入賞を果たしたリファット・サンガースラ/シューポン・シャイワン組を継続起用する一方、APRCアジアパシフィックラリー王者でWRC世界ラリー選手権への出場経験も持つ日本人ラリードライバーの田口勝彦が新たに起用された。田口のコドライバーにはAXCR出場経験がありJRC全日本ラリー選手権などで活躍している保井隆宏が指名されている。
ミツビシの開発部門エンジニアが帯同し、テクニカルサポートの面で万全の体制を再構築したチームは、この発表に先んじて6月19日~23日にテストを実施。タイ中央部のカオヤイ国立公園周辺のオフロードコースにおいて、ボディフレーム、シャシー、エンジンなど全域にわたって刷新された新型トライトンT1仕様で、本番を想定した高負荷の耐久テストを行ったという。
「すべてが生まれ変わった新型『トライトン』は、ベース車の良さを活かしてさらにハンドリング性能、悪路での走行安定性、乗り心地が向上しています」と語るのは、チーム三菱ラリーアートの増岡総監督。
「また、ターボチャージャーの改良により低回転から高回転域まで全域でのエンジンレスポンスが向上。力強い走りを実現させ、どのような路面状況にも対応できる素晴らしいラリーカーに仕上がりました」
「今回の現地耐久テストでは大きな初期トラブルもなく本番よりもハードなコース設定でしたが、テストカーはそれぞれ約800kmを走破し、期待以上のパフォーマンスを確認することができ、2連覇に向けて大きな手応えを感じました」と同氏は新型マシンの出来に自信をのぞかせた。
■チーム三菱ラリーアート AXCR2023参戦体制
総監督:増岡浩(三菱自動車)
チーム代表:シャユット・ヤンピシット(タイ:タントスポーツ)
テクニカルディレクター:コーポン・アマータヤクン(タイ:タントスポーツ)
テクニカルサポート:
相羽規芳(三菱自動車:車体)、柴山隆(三菱自動車:エンジン)
ドライバー:
チャヤポン・ヨーター(タイ:35歳)、リファット・サンガー(インドネシア:44歳)、田口勝彦(日本:51歳)
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今回のラリーも、来年の日本での販売も。