1月18日に東京都新宿区の東京都庁第一本庁舎にて行われた『TOKYO ZEV ACTION×フォーミュラE東京大会 PRイベント』。会場にはフォーミュラEオペレーションリミテッドのジェフ・ドッズCEOと小池百合子東京都知事が参加し、3月の東京E-Prixに向けた最新情報を発表した。オートスポーツwebでは、PRイベント終了後にドッズCEOを個別インタビューする機会に恵まれたので、東京E-Prix開催の意義や期待、シリーズの未来について話を聞いた。
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小池百合子都知事がフォーミュラE東京コースをシミュレーターで激走「クラッシュせずゴールできて良かった」
──フォーミュラE東京E-Prix開催にあたり、東京都との交渉はいつから始まったのでしょうか?
ジェフ・ドッズCEO(以下ドッズCEO):私がCEOに就任したのは昨年6月だが、その時点ですでに交渉はほぼ終了していた。フォーミュラEは以前から日本、特に東京での開催を望んでいたし、一方で小池百合子都知事はZEVキャンペーン(排気ガスゼロキャンペーン)の目玉となるイベントを探していた。まさに完璧なタイミングで両者の利害が一致して、話がとんとん拍子に進んだということだ。
──日本の東京でフォーミュラEが開催される意義とは?
ドッズCEO:意義は非常に大きい。日本は自動車産業、そしてモータースポーツにおける先進国であり、たくさんの熱いファンがいることも世界中で有名だ。そんな国で大会を開催できるのは、本当に意義あることだ。
そして東京ではこれまで、本格的な自動車レースが開催されたことはなかった。ベイエリアの特設コースは全長2.582km、18のコーナーと3本のストレートを有し、最高時速は250~300km/hに達する。他の地域に比べても差別化ができる素晴らしいコースだし、フォーミュラEの歴史のなかでも最もエキサイティングな戦いが繰り広げられることになるだろう。
──小池都知事との共同会見で、あなたは「大都市の中心部で開催される初めてのフォーミュラE」とコメントしていましたが、過去にロンドンやローマ、ベルリンでも開催されていますよね?
ドッズCEO:確かに。ただ、ロンドンのドックランズエリアは決して中心部とは言えない。ローマやベルリンも同様だ。それに比べて東京のベイエリアは、誰もが簡単に公共交通機関を利用して会場に向かうことができる正真正銘の都心だ。レース観戦のためにクルマを運転する必要がないという点で、東京大会はこれまで例がないほど優れた立地だと言えるね。
──治安の良さも、東京の大きな強みでしょうね。
ドッズCEO:まさにそのとおり。市街地レースであるフォーミュラEの場合、その意味は特に大きい。さらに東京の場合、治安のよさに加えて、優秀なスチュワード、規律あるレース運営も非常に安心できる要素だ。
──日本とフォーミュラEの関わりでいえば、ニッサンが長く参戦し、ブリヂストンも将来的な参入を決めています。
ドッズCEO:ニッサンのフォーミュラEへの貢献は本当に大きい。そして、彼らはここで得たデータを市販車開発にも活かしている“ウイン・ウイン”の関係だ。
ブリヂストンの参入も喜ばしい限りだし、興奮を禁じ得ない。他の多くの日本企業も、大きな興味を持ってくれている。ただ、実際にレースを見たことのない企業も多い。なので、今回の開催は彼らがフォーミュラEを間近で体験できるという点でも、非常に意義深いと思っている。
■「もうひとつの日本メーカーが参加することを望んでいる」
──しかし、例えばホンダは参入を見合わせました。
ドッズCEO:それについては私のCEO就任前の話になるので、詳細は承知していない。ただ、確かなことは、ホンダはトヨタ同様にハイブリッド戦略をより重視しているからだと思っている。純粋な電気自動車への移行に、より慎重になっていることが、モータースポーツ活動にも反映されているんだろうね。一方で私たちの方針は非常に明快だ。
──具体的にはどういったものでしょうか?
ドッズCEO:フォーミュラEは、内燃機関から完全な電気自動車(EV)へ移行を積極的に進めているメーカー向けだということだ。そして私たちは、このEVレースの将来に対しても非常に楽観的だ。日本メーカーに限って言えば、ニッサンと並んでもうひとつの日本メーカーがグリッドに参加することを望んでいる。 適切な時期が来れば、それを達成できるだろうと思っているよ。
──例えばメルセデス、アウディ、BMWは一時期フォーミュラEに参戦しながら、その後撤退しています。
ドッズCEO:確かにそのとおりだ。メルセデスはホンダ同様、F1チームとフォーミュラEチームの間で選択を行い、最終的にF1に全力を注ぐことを決めたということだ。
一方でフォーミュラEには、ポルシェ、ジャガー、ニッサン、そしてDSペンスキーがいる。さらにマクラーレン、マセラティ、アンドレッティ、ABTといった著名なレーシングチームも参戦している。非常に魅力的な顔ぶれだと思うよ。
──一方でF1をはじめとする現役レーシングドライバーたちは、フォーミュラEへの参戦に必ずしも積極的ではない印象です。
ドッズCEO:その理由は明快で、EVというハード自体がまだ新興の技術で、人々に十分浸透していないからだ。何しろ現役ドライバーのほとんどは内燃機関の時代に育った世代だからね。彼らは内燃機関の音や振動、そして何よりもその運転の仕方に慣れている。
しかし 今後5~10年以内に登場する若手ドライバーの多くは、おそらく電気自動車が自宅に駐車されているはずだ。幼いときから電気自動車に触れ、運転して育つことになる。今はあくまで、純粋なEV世代が出てくるまでの過渡期ということだ。
──今回の東京大会では、電力は自前で供給するのでしょうか?
ドッズCEO:もちろんだ。走行するマシンの電力はすべて自分たちで持っていくし、その燃料は植物由来の持続可能でリサイクル可能なものだけを使用する(編注:会場でのイベント運営では開催地域の電力も使用する)。
■進化を続けるEVとフォーミュラEの将来は「明るい」
──では、EVの将来、そしてEVを用いた自動車レースの将来を、どう見ていますか?
ドッズCEO:フォーミュラEが創設された10年前、EVの生産台数は全世界で30万台に過ぎなかった。しかしそれから年間約20~25%のペースで増加し、今年の販売台数は1100万台近くになると見込まれている。そして、世界中の多くの国が2030年か2035年までに、非EV車を段階的に廃止する計画を立てている。
私には現在15歳と12歳の息子がいるが、彼らはおそらくEVしか知らない最初の世代になるだろう。もちろん価格やバッテリーなど、解決すべき問題は依然として存在する。しかし、EVの大きな流れは、もはや止めることはできない。
一方でEVレースの将来はどうか。私自身、モータースポーツの熱心なファンだが、レースの魅力は大きくふたつあると思っている。ひとつは競争力、そしてもうひとつがスピードだ。
現在、EVの潜在的な速度能力は内燃機関よりはるかに高く、加速もはるかに力強い。なのでモータースポーツファンは今後4~5年の間に、内燃機関よりはるかに速いEVレーシングカーを目にすることになるはずだ。
──競争力に関してはいかがでしょうか?
ドッズCEO:2023年のF1は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が22戦中19勝を挙げる展開だった。一方のフォーミュラEでは、昨シーズンだけでも7人の異なるレース勝者がいた。どちらの方が見ていてエキサイティングか明らかだ。
フォーミュラEはこれまでも進化を続けてきたが、第4世代マシンが導入されればクルマはますます速くなり、バッテリー容量も大きくなり、より長くレースができるようになる。フォーミュラEの未来は、EV同様に明るいと私は信じているよ。
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Profile ジェフ・ドッズ(Jeff Dodds)
1973年生まれ。ヴァージン・メディアで最高マーケティング責任者などを5年間経験した後、2017年5月にヴァージン・モバイルのマネージングディレクターとして同社に入社。2019年6月から2023年5月までヴァージン・メディアO2の最高執行責任者を務める。それ以前は通信事業者テレ2のCEOとして2年間オランダに住み4Gモバイルネットワークの構築と立ち上げを率いたほか、キャロウェイゴルフとホンダでの役員を経験。2023年6月5日からフォーミュラEの最高経営責任者(CEO)に就任し、現在でもフォーミュラEのCEOと並行して障害者平等団体『The Valuable 500(ザ・バリュアブル・ファイブハンドレッド)』の理事を務めている。
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