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優しいクルージングがベター ポルシェ911 タルガ4 GTSへ試乗 ターボのサスと480ps

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優しいクルージングがベター ポルシェ911 タルガ4 GTSへ試乗 ターボのサスと480ps

重いタルガトップにスポーティなGTS

気づけば、992型ポルシェ911のバリエーションは、すっかり増えている。ベーシックなカレラからGT3まで幅広いが、タルガ4 GTSに食指が動く人は多くないかもしれない。

【画像】ポルシェ911 タルガ4 GTSとカブリオレ 競合の上級オープンモデルと比較 全112枚

理由の1つは価格にある。後輪駆動のカレラGTS クーペが英国でぶら下げるプライスタグは、11万1380ポンド(約1860万円)。それに対し、タルガ4 GTSの場合は12万6760ポンド(約2117万円)もするためだ。

よりマイルドなタルガ4 Sなら、11万5920ポンド(約1935万円)から。ルーフが開くタルガトップにGTSという組み合わせは、安く仕上がらない。

グレードを問わず、オープンエア・ドライブをポルシェ911で楽しみたいと考えるなら、カブリオレを選ぶ人も多いはず。ボディと一体の硬いルーフがなくなっても、もはや911に明確な弱みは生じない。ソフトトップの開閉は、低速なら走行中でもできる。

タルガトップでは、開閉動作の途中でリアガラス部分が車体の後ろへはみ出してしまう。1度完全にクルマを停止させなければ、不可能だ。

さらに現行の911のなかでは、タルガ4は車重が1番重い。それをスポーティなGTSフレーバーで仕上げることにも、小さくない疑問が残る。サスペンションはハードコアなターボ譲り。意欲的な走りを前提とした足まわりといえる。

サスペンション・スプリングは非常に硬い。シャシーが浮いた時にスプリングが緩まないよう、ヘルパースプリングがリア側に追加されるほど。

魅惑的な容姿が生む特別なクルマ感

そんな疑問を抱きつつも、タルガ4 GTSの訴求力は間違いなく高い。実際に運転すれば、タルガトップにGTSという組み合わせも、悪くないとうなずける。

エンジンは、タルガ4 Sと同じ3.0L水平対向6気筒ツインターボを搭載する。だが最高出力は標準の450psから、480psへパワーアップされている。こちらは、歓迎できる変更だろう。

試乗車はセンターロックでフロントが20インチ、リアが21インチとなる、シャープでスマートなターボSアルミホイールを履いていた。ブレーキも911 ターボと同等のモノが奢られる。

低くかがむような容姿に、まず心が奪われる。リアタイヤ上部を覆う大きなドーム状のリアガラスと、弧を描くロールバーという組み合わせが魅惑的。シルバーではなくブラックに仕上げられているのもイイ。

今回のタルガ4 GTSには、GTシルバーというボディカラーと、18ウェイのスポーツシートなどがオプションとして追加されていた。英国価格は、ほぼ14万ポンド(約2338万円)に達していた。

それでも、アストン マーティン・ヴァンテージ・ロードスターやアウディR8 スパイダーに並ぶ存在感がある。筆者の感覚では、ホイールは明るいシルバーの方が似合うと思うものの、特別なクルマに見える。

7500rpmまで回したいという欲求

豊かでハードエッジなエグゾーストノートを奏でてくれる、GTSエグゾーストも素晴らしい。ルーフを閉じた状態でも、車内で聞こえてくる音色はまったくの別モノだ。

GTSとしてパワーアップしたエンジンは、レッドライン手前の1000rpm付近から吹け上がりの鋭さが違う。これまで以上に、7500rpmまで回したいという欲求を抑えることが難しい。

グリップ力は打ち破ることが困難なほど高く、トラクションは確実。ステアリングは精度が高く、GTSサスペンションが機敏な回頭性をアシストする。路面の状態が良いとはいえない英国郊外の道でも、乗り心地は落ち着いているとさえ感じる。

0-100km/h加速は3.5秒と迅速。小気味よくシフトチェンジを繰り返す、デュアルクラッチATの仕事ぶりも見事。そんな刺激的なシャシーとパワートレインでありながら、1600rpm程度の回転数で穏やかに流すのも、また一興だ。

ただし、増えた車重のデメリットがまったくないわけではない。クーペのカレラGTSの方がタルガ4 GTSより約140kgも軽いという事実を、コーナリングやサスペンションの動作に感じ取れる。

GTSのシャシーを得たことで、より優れた操縦性を味わうことを可能としている。しかし、軽くないタルガトップを動かすことにも、シャシーの能力は使われる。喜びはクーペには届かないし、ペースが高まるほどに自然さも薄まる。

適度な速度でのクルージングがベター

やはりタルガトップの911は、ルーフを開き気持ちの良い天気を味わいながら、適度なスピードでクルージングするのがベター。本来のGTSが目指すような、積極的にコーナーを縫うようなスタイルとは違う。

もし筆者なら、タルガ4 SからGTSへアップグレードするために必要な金額を、理想のボディカラーやオプションに費やすだろう。GTSの場合、装備は一層充実し、価格価値としても悪くないけれど。

これまでGTSというグレードは、ある種のオプション・パッケージのような存在だった。だが992型では、訴求力のある個性的なグレードとして完成している。カレラSとGT3との、絶妙な塩梅の存在として。

一方で911の場合、タルガとGT3とは両極端な性格付けにあるともいえる。同じDNAを宿していても、モデルとしては大きく異る。GTSとしてその間を取り持つことは、まだ少し難しいようでもある。

ポルシェ911 タルガ4 GTS(英国仕様)のスペック

英国価格:12万6760ポンド(約2117万円)
全長:4519mm
全幅:1852mm
全高:1297mm
最高速度:307km/h
0-97km/h加速:3.5秒
燃費:8.9-9.1km/L
CO2排出量:251g/km
車両重量:1685kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:480ps/6500rpm
最大トルク:57.9kg-m/2300-5000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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