キャデラックの2号車V.シリーズ.Rに乗るアレックス・パロウは、最高速の弱さがル・マン24時間レース本戦では“足かせ”になる可能性があると語った。
ル・マンでキャデラック勢は3台のうち2台がハイパーポールに進出。トップこそポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車963に譲ったものの、キャデラック勢は2台で2~3番手につける走りを見せた。
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ただ、水曜日に行なわれた最初の予選でキャデラック勢は、ストレート区間でハイパーカークラス中最遅だった。このセッションではアレックス・リンが2号車キャデラックのアタックを担当したが、Q1で記録した最高速度は332.9km/hとアルピーヌ勢のポール・ループ・シャタンとニコラ・ラピエールが記録した341.3kmを大きく下回った。
「レースにおいては、最高のBoP(性能調整)を受けられなかったと思う。僕らはストレートでは本当に遅いんだ。コーナーでは本当に速いんだけどね」とパロウは言う。
「トラフィックがあって、ストレートで実力が発揮できない場合は本当に厳しい……(マシンを)いじることができるといいんだけど、そうはならないと思う。でも、僕らにとっては厳しいレースになるだろうね」
「予選ではトラフィックがないし、100%で走ることができる。予選のBoPは完璧かもしれないけど、決勝は僕らにとって本当にトリッキーだと思う」
「僕らはポルシェ(カーブ)でとても速いけど、オーバーテイクはできないし、トラフィックに遭遇したら(アクセルを)離さないといけない。そこで多くのタイムを失うことになる。ストレートでもそうだし、レースペースを考えると、今の僕らには足らないモノが沢山あると思う」
motorsport.comがパロウに対して、セットアップ変更でマシンパフォーマンスを向上させる余地があるかと尋ねると、彼は次のように答えた。
「そうでもないよ。直線スピードのためにできることは、あまりない。できるのはダウンフォースを減らすことだけだと思うけど、それも最低限だ。でないとコーナリングがひどいことになるからね」
「だから、セットアップでできることはあまりない。もっとエンジンパワーを増やして、バランスを取るためにウエイトを増やす必要がある。そうすればストレートで少し速く、コーナリングでは少し遅くなる。それがどう変わるか見てみよう」
キャデラックV.シリーズ.Rの最大出力は、ル・マンを前に7kW引き下げられ、509kWとなった。一方で最低重量は6kgの引き上げられたが、依然としてクラス最軽量の1036kgだ。
メーカーがBoPについて明確に発言することは許されていないものの、パドックやチーム間、ドライバー間ではBoPの話題は絶えない。
6月初頭に、主催者であるFIAとACO(西フランス自動車クラブ)は、ハイパーカークラスに高速域でのパワーを調整する“パワーゲイン”という新システムを取り入れ、各マシンのトップスピードと加速力の均衡を取ろうとした。
この2段階のBoPのもと、各マシンはル・マンで250km/hを基準にパワーゲイン調整を受けた。
■リン、キャデラックのスピードに感銘受ける
前述の通り、キャデラックはハイパーポールに2台で進出した。最初の予選で2号車キャデラックのアタックを担当したリンは、V.シリーズ.Rがハイダウンフォース仕様であることを認めたが、そのおかげで高速コーナーでのパフォーマンスが大幅に向上したと考えている。
「ロングランは良いよ。マシンとして、パッケージとしてハイダウンフォース仕様になった。ポルシェ・カーブでのパフォーマンスを例に挙げると、僕たちはとても優れている。それがこのコーナーの強みだと思う」
「コーナリングスピード、ダウンフォースがあり、ドライバビリティがある。24時間レースで限界に迫ることができるという、大きな自信をドライバーたちに与えている」
「だから正直なところ、24時間を通してロングランペースが良いパッケージになると良いね」
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