■連載/阿部純子のトレンド探検隊
日本人ドライバーの3人に1人は花粉症の症状で運転中にヒヤリとした経験あり
創業30周年を記念して完全リニューアルされた「セゾンファクトリー」のドレッシング&ジャム
車の中に乗ると嫌なニオイがする。鼻がムズムズする。閉ざされた空間で空気が淀んでいる。そう感じている人は多いと思う。車社会であるアメリカでは、一生のうち車で過ごす時間は2.6年にもなり、自動車保有者の10人中9人までもが運転中の車内空気の汚れを気にしている。
日本のドライバー300人を対象に行った調査では、半数以上が花粉症の症状を持っており、全体の3分の1が運転中のくしゃみなどでひやりとした経験がある。同じく3分の1が車中の方が花粉症の症状がよりひどくなると回答。全体の65%が車の中の空気環境を改善したいと希望している。
スウェーデン発の空気清浄機「Blueair(ブルーエア)」が手掛けた初の車載用空気清浄機「Blueair Cabin(ブルーエア キャビン)」が3月15日より発売された。ヘッドレストにベルトで簡単に取り付けられる。移動中のアレルギーを軽減したい、車中の快適性を高めたい人をターゲットとしている。
車内は住宅環境よりも狭く密閉されていて、温度も上昇しやすい。前方を走る車からの排気ガス、路面のタイヤくずや砂、花粉、PM2.5、食べ物のニオイ、タバコの煙、カビ、化学物質などさまざまな汚染物質が車内に取り込まれるため、車内の空気汚染は思っている以上に深刻だ。自動車メーカーでも車内の空気改善に取り組んでいるが、ドライバー、同乗車の快適性や健康意識の高まりから、車内環境が大いに注目されている。
「自動運転の導入や、MaaS(車を所有せず、使いたいときだけ有料で利用する)というキーワードがここ数年話題になっており、2025年には自動運転、他人の車に乗せてもらうシェアードが現実として普及し、車は運転から解放された空間になると予想している。
人々の車に対する意識が変わり、チョイ乗りでの利用が増えて“車に乗ること=空間をお金で買うこと”になる。室内環境の悪い車の1シートを買うより、多少高くてもきれいな空気の1シートを買いたいという付加価値も出てくるのではないか。
2年ほど前から言われ始めたCASE(コネクテッド、自動化、シェアード&サービス、電動化)が本格的になり、モビリティも変革期になっている。今までは高速で動く車が、快適なネット環境でつながるのは難しかったが、5G が3年以内に本格化する中で車とネットがつながるコネクテッドの技術が現実味を帯びてきた。IoTのThingsに自動車が含まれるようになり、EVや自動運転などの技術とつながる時代が到来した。ある種ヒエラルキーの頂点にあった自動車が、家電と並ぶ位置にまで降りてきたといえるのでは」(自動車ジャーナリスト/環境ジャーナリスト 川端由美氏)
空清機専業メーカーならではのテクノロジーとシンプルな操作性
〇HEPASilentテクノロジー
現在発売されている車載用空気清浄機はイオン発生型が主流だが、ブルーエア キャビンはファンと大型のフィルターを搭載した本格的な車載用空気清浄機。ブルーエアの屋内用空気清浄機に使われている、粒子イオン化技術と高性能フィルター技術を融合したブルーエア社独自の空気清浄技術「HEPASilentテクノロジー」を搭載している。
さまざまな粒子サイズの汚れを強力ファンで吸引し、イオナイザーで量子をマイナスに帯電。あらかじめプラス帯電を施した多層構造のフィルターが、マイナスに帯電した有害物質を静電気の力で吸着して、車の中の有害物質を99%まで除去。側面の4方向にある排気口からきれいな空気を供給して、車内全体に循環させる。
独自開発したフィルターは花粉やホコリ、PM2.5、ペットの皮脂くず、ホルムアルデヒド、ベンジン、タイヤくずを除去することが可能。フィルターには活性炭を練り込んでおりグレーがかった色をしている。折りたたみが可能で保管中、廃棄するときは閉じた状態にできる。フィルター交換の目安は、360時間程度の使用で、1日2.5時間、週に6日運転した場合、約半年に1回。
フィルター交換も簡単で、本体は取り付けたままカバーとフィルターを外し、新しいフィルターに付け替えてリセットボタンを押し、カバーを戻せばOK。
〇わずか3分のスピード清浄
ブルーエア キャビンは車両サイズに合わせて、セダン、ハッチバックなどの中型車に最適なP2i(税抜2万9000円)と、SUV、ミニバンなどの大型車に最適なP2iD(税抜4万8000円)の2タイプ。
「日本ではドライバーの80%が1回につき2時間未満の短時間乗車で、そのうち60%が1時間未満。日本では車に乗る時間が短い分、空気環境対策にはスピードが重要と考えている。
中型車でP2iDを使用すると、最速3分で車内の空気をきれいにする」(セールス・オンデマンド社 ブルーエアグループ マネージャー 荒井加奈子氏)
〇汚れを察知する「インテリジェント清浄」&リアルタイムで空気を可視化
車の汚れを察知してスマートに清浄する「インテリジェント清浄」は、センサーが搭載されており車内の汚れを感知し自動で最適な風量で運転する。オートモードを使用すれば手動操作は不要で運転に集中できる。
本体はヘッドレストに取り付け、コントローラーを自動車のアクセサリーソケットに差し込み、コントローラーを1回右か左に回すと電源がオンになる。コントローラーを右に1階回すごとに風量を切り替える。エンジンと連動しており、エンジンを切ると自動でオン/オフに。オンの際は前回停止した時の風量で自動的にスタートする。シンプルな操作感で誰でも簡単に使える。
また、車内の空気状態をコントローラーのLEDでリアルタイムに可視化。きれいな場合は青い、汚れている場合はオレンジに点灯する。専用アプリ「Blueair Friend」に接続すれば、より詳細な空気をモニタリング、風量調整も可能。
【AJの読み】スピーディーでシンプルな操作性は評価できる
私は花粉症ではないが車特有のあのニオイ、こもった感じの空気は苦手だ。かといって、排気ガス臭や砂埃が入るので窓は長時間開けていたくない。空気清浄機は車の中こそしっかりした機器が必要だと感じていたが、エアコンと同じで乗ったら一刻も早く効果を感じないと困るものでもある。ブルーエア キャビンの車のサイズに合った機種を選べば、最長でも5~6分で車内空気をきれいにするスピーディーさは評価できるだろう。運転を邪魔しない、コントローラーをくるくると回すだけの操作性も利便性を感じる。
文/阿部 純子
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