フェラーリとステランティスの会長であるジョン・エルカーンは、グランプリの常連ではないが、昨年半ば以降はスクーデリアの陣営に定期的に姿を見せるようになった。これは、彼がフレデリック・バスール代表とチーム全体を全面的にサポートしていることの表れとみられる。
会長はサウジアラビアGPの行われたジェッダでも、チームのガレージからレースを観戦していた。レース中こそは他のレースファンと同じように緊張していたが、息子のスクーデリアでのF1デビューを見て誰よりも興奮していたオリバー・ベアマンの父親をなだめようと、コンタクトを取る場面も見られた。
緊急デビューで7位入賞。F1トップドライバーたちがベアマンを称賛「驚異的な仕事をした」とハミルトン
パドックに足を踏み入れるときはいつもそうであるように、エルカーン会長は『Sky Italia』から簡単なインタビューを受けた。イタリアのメディアは、2025年より同チームのドライバーとなるルイス・ハミルトンが、チームに今も及ぼしているかもしれない影響力に大きな関心を示しているが、エルカーン会長は彼の年齢やモチベーションに関する懸念をすぐに退けた。
「ルイス(・ハミルトン)がどれほど素晴らしいドライバーで、F1のためにどれだけ多くのことを成し遂げてきたか、私は長年にわたってつねに話してきました。彼は近い将来にフェラーリへ加わる予定ですが、これは我々が彼とともに素晴らしいことができると、どれほど強く信じているかということの印です」
さらに、現在のチーム状況に目を向けたエルカーンは、バスール代表を迎えてからのチームの分析も踏まえて過去12カ月間の迅速な進歩について指摘する。
「一年前の状況と比べると、今シーズンの我々はより良いスタートが切れたように思います。ですが、さらに重要なのはそこからの改善と進歩です」
「それこそ、フェラーリが引き継いできた原動力であり、称賛され支持されるべきものです。チームが最善を尽くすようにしてほしいという願望が、あらゆる人々から寄せられていますが、そのことを今日は容易に感じることができました」
そしてエルカーン会長は、未来を指して「2026年に、F1は新たなサイクルを迎えます(新たなパワーユニット・レギュレーションが導入される)。重要なのは、つねに競争力を保ち、この精神を刺激し続けることです」と結論付けた。
そして、エルカーン会長がグランプリを訪れたこの週末、レギュラードライバーのカルロス・サインツが虫垂炎を発症した影響で、急遽リザーブドライバーのオリバー・ベアマンが代わりにセッションに出走することとなった。グランプリデビューを飾ったベアマンのパフォーマンスを考えれば、会長に彼のデビューについての質問が寄せられたのは当然のことだった。エルマーン会長は若いベアマンの活躍を称賛するコメントを残している。
「チームの行ってきた大きな取り組みのひとつは、若手に焦点を当てることでした。今日はアカデミーのふたりのドライバーである、(シャルル・)ルクレールと(オリバー・)ベアマンのふたりが一緒にコースに出ました。これは我々にとって大きな誇りです。フェラーリにいる才能の持ち主が、自分自身を表現する場を見つけているのを目にするのはうれしく、非常に素晴らしいことでした」
「オリバーがレースをし、彼の父親が息子の戦う姿を追いかけているのは、素晴らしい光景でした。こんなに短い時間でコースに出るのは簡単なことではないですが、チーム側も彼のサポートに固く団結していました。そして(カルロス・)サインツは、手術を受けたにも関わらず我々とここにいてくれました。フェラーリの精神は非常に強いです」
そしてエルカーンは、笑顔とともに次のように締めくくった。
「誰かがオリバーを、デビュー戦にもかかわらずルイスやランド(・ノリス/マクラーレン)の前を走ることができたと評した人がいたのなら、彼はその称賛を一生忘れないことでしょう。ルイスが彼に与えたかったハグは、彼がコースの内外でどれほど素晴らしいチャンピオンであるかを示していると思います」
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