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「腕の差が出た」。小泉洋史と木村武史の予選はともに悔しい顛末に。路面が生んだ逆風と光明/WEC富士

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「腕の差が出た」。小泉洋史と木村武史の予選はともに悔しい顛末に。路面が生んだ逆風と光明/WEC富士

 9月14日、静岡県の富士スピードウェイで行われている2024年WEC世界耐久選手権の第7戦『富士6時間耐久レース』の予選が行われ、LMGT3クラスのセッションにはふたりの日本人が出走。小泉洋史が乗った82号車シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R(TFスポーツ)はハイパーポールに進出し7番手、木村武史の87号車レクサスRC F LMGT3(アコーディスASPチーム)は11番手でセッションを終えた。

 昨年のWEC富士での初参戦以来、1年ぶりの同地でのレースに臨んでいる小泉。フリープラクティス(FP)1から「僕がただ乗っているだけでも、想定よりも良い感じ」と語るほど、走り出しからマシンは好調のようだ。一方の木村も、初日から「結構いけるのでは」と今大会への自信を語っていた。

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■「“その時”のクルマをどう転がすか」

 小泉は、FP2で行った予選シミュレーションでクラス2番手タイムをマークするなど、大会初日まではクラストップも見えてくる仕上がりだった。

 日本人初のLMGT3クラスポールポジションへの期待も集まるなかで予選に挑んだ小泉は、上位10台が通過できるハイパーポールに難なく進出し、いよいよ最速が決まる第2セッションへ臨んだ。

「もちろん、日本人初のポールポジションを狙って走りました。昨日のタイムが良かったので、自信を持って走ろうという気持ちもありつつも、緊張も感じながら走りました」

「ハイパーポールについては、僕のタイムは最初の走行のときとほとんど同じだったのですが、周りが上げてきたので、自分のポジションが下がってしまいました」と予選を振り返る。

 FP2の小泉のタイムは1分40秒851で、この時の感触はかなり良かったというが、予選日迎えてからはマシンのフィーリングが若干変わったのだという。その点について小泉は、路面のグリップレベルの変化が理由ではないかと語る。

「セクター3が、後ろにエンジンがある分きつくなってしまったのか、今日は少し苦戦しましたね。昨日は、ドがつくほどのビンゴなセットだったんです」

「ですが、コースコンディションの変化が影響したのか、今日乗ってみたら『少し違うな』と感じました。周りのチームが二日目にタイムを上げてくることはいつものことなので、自分もそこに続きたかったのですが、今回のクルマ作りではそこをうまく想定できていなかったように思います」

 上位10番手をかけた予選セッションでは1分41秒267で4番手通過を果たしたが、ハイパーポールでは1分41秒432となり、0.165秒のドロップがあった小泉。一方、トップの55号車フェラーリ296 LMGT3(ビスタAFコルセ)や僚機で2番手の81号車シボレーは、1分41秒台前半から1分40秒台へとタイムを縮めてきていた。

 この点については、「ドライバーの腕じゃないですかね」と悔しさをこぼす。

「同じチームの81号車が2番手ですから、僕たちのマシンにポテンシャルがあることは分かっているんです」

「また自分のドライビングは、ノーミスでベストを尽くせたと感じています。ですが今回の結果には、“その時”のクルマをどう転がすかというドライバーの腕の差が出た部分もあるなと感じます」

「とくにハイパーポールで周りがタイムを上げてきたことに関しては、その部分が大きいんだと思いますね」

 明日の決勝については、予選の挽回を期して次のように意気込んだ。

「トップの3台は離れたタイムになってますが、そこから僕のところまではコンマ1くらいの差しかありません。今までのFPを見ても勝負できると思うので、可能な限りオーバーテイクして、チームメイトにバトンを渡したいなと思います」

■“あと一歩”を逃した木村。ロングランには向上の望みも

 一方、87号車レクサスRC Fに乗った木村は11番手でセッションを終え、惜しくもハイパーポールに進むことは叶わなかった。木村のタイムは1分41秒850となったが、10番手の59号車マクラーレン720S LMGT3エボのジェームス・コッティンガムは1分41.619。その差は0.231秒だった。

 アタックについて木村は「セクター3で77号車のフォード(・マスタングLMGT3)に引っかかってしまいました」と振り返る。

「そこまではベストで来ていたのですが、引っかかった分で0.3~0.4秒をロスしてしまいました。(77号車の)ライアン・ハードウィックはラインを譲ってくれたのですが、その時にはスピードを緩めてしまっていたので。」

「なので、それがなければ(1分)41秒5か6くらいは出せていたと思います」

 あと一歩でハイパーポールへの進出も見えただけに、「ちょっと、残念でしたね……」とこぼした木村だが、その一方では決勝に向けての収穫もあったという。

「ただ、セッションを重ねて路面ができ上がってきたのか、昨日よりもクルマの限界値が高まった気がします。ロングランについては自信があります」

「僕たちのクルマはインフィールドがかなり辛いのですが、グリップが上がってきた分、結構いけるようになっています。決勝中も、さらに路面にラバーが乗ってくればリヤが滑りづらくなると思うので、デグラデーションが減る分、後半のペースも保つのではないでしょうか」

 最後には、「(23時間目まで上位を競った)ル・マンに次いで可能性があると感じている」と口にした木村。予選日に現れたグリップレベルの向上が、木村には希望となり、一方の小泉には逆風となった。しかし大会はまだ、予選を終えて折り返し地点を過ぎたばかり。本番とも言える明日の決勝レースでは、ふたりの日本人が上位を走る活躍はもちろん、ともに火花を散らすような展開にも期待したいところだ。

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