巨大グループの元会長
インドの財閥タタ・グループの元会長である実業家ラタン・タタ氏が10月9日、86歳で死去した。
【画像】格安の小型乗用車から高級スポーツカーまで【タタ・ナノ、レンジローバー・イヴォーク、ジャガーFタイプを写真で見る】 全19枚
タタ・グループは公式声明で同氏の死去を認め、次のように述べた。「2024年10月9日に逝去された、我々の時代の伝説であり、最愛の会長であるラタン・N・タタの逝去を、深い悲しみとともに、謹んでお知らせいたします」
「彼の肉体的な存在を失うことは寂しい限りですが、彼はわたし達の心の中に生き続けるでしょう。わたし達は、インドの文明的価値観に根ざし、すべての人々の幸福を目指す彼の遺産を継承することを誓います」
ラタン・タタ氏は1990年から2012年までタタ・グループを率い、業界の「巨人」や「類まれなリーダー」と称される。グローバル化を進める中で、英国のジャガー・ランドローバー(現:JLR)を11.5億ポンドで買収したことでも知られている。
買収が正式に決定する直前の2008年、ラタン・タタ氏はAUTOCARとのインタビューで、ジャガー・ランドローバーへの情熱を語った。
「我々を惹きつけたのは、この2つの象徴的なブランドがグローバルな性質を持ち、製品が高く評価されているという事実でした」
「我々は、そのイメージを育み、手触りや感触を保ち、手を加えないことが、ブランドを所有する者の義務だと信じています。彼らは英国のブランドであり、英国のままであるべきです。実際に誰が所有しているかは、その運営においてあまり重要ではありません」
タタ氏は、ジャガーとランドローバーの両ブランドを引き続き区別し、それぞれの製品戦略や拡大計画を支援することを約束した。ジャガー・ランドローバーは16年経った現在もタタ・グループの所有下にあり、長引く財務不安を脱して、ここ数年で最高益を達成し、すべての製品ラインナップとブランドのポジショニングの抜本的な見直しに着手しようとしている。
ジャガー・ランドローバーの現CEOであるエイドリアン・マーデル氏は、公式声明の中でラタン・タタ氏に敬意を表し、次のように述べた。
「JLRファミリー全体がラタン・タタ氏の死に深い悲しみを抱いています。彼の個人的な業績と遺産は、社会的に比類のないものであり、当社の事業とブランドに残した足跡は他の誰よりも偉大なものです」
「2008年にタタがJLRを買収したのは、彼の独創的なビジョンによるものであり、それ以来我々がここまで発展できたのは、彼の揺るぎない支援と献身に負うところが大きい。タタ氏は我々を素晴らしい旅へと導いてくれました。彼は我々の歴史に信じられないような新しい章を刻むきっかけを与えてくれました。彼の寛大で信頼できる指導の下、我々はタタの歴史の一部であることに深い誇りを感じてきました」
「JLRの全ての従業員を代表して、彼の素晴らしいリーダーシップに心から感謝の意を表したいと思います」
インドで格安小型車を発売
タタ氏はまた、インドにおける自家用車の普及に大きく貢献したことで知られる。2008年に発売されたタタ・ナノは非常に安価な小型車であり、さらに1998年発売のタタ・インディカは20年間生産され続けたインドのベストセラー車である。
事業以外の面では、熱心な自動車愛好家であり、数週間おきにJLR英国本社を訪れ、当時のチーフテスターであったマイク・クロス氏とともにテストコースでかなりの時間を過ごした。
2012年、タタ氏はAUTOCARに対し、「マイクと一緒にサーキットで2、3時間は過ごすようにしています。ですが、自社のクルマだけでなく、ライバルのクルマにも乗るようになったので、時間が足りなくなることがよくあります」と語った。
タタ氏はJLRにおいて、より自由で柔軟な働き方を提唱し、同社の成長を支える理念として現在も受け継がれている。
「JLRの若い世代は変化にとても協力的で、全体的に文化は変わりつつあると思います。しかし、もっとオープンで柔軟であってほしいと願っています。今は、より多くの製品をできるだけ早く市場に投入したいので、柔軟性が本当に重要なのです」
タタ・グループ会長時代にJLRが発売または開発した重要なモデルとして、レンジローバー・イヴォーク、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ、ジャガーFタイプ、Fペイス、Iペイスなどが挙げられる。
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