3年ぶりにF1日本グランプリが鈴鹿サーキットに帰ってきた。3日間合計で20万人の観客が来場。新型コロナによる様々な制限もある中でのこの数字……チケットは早々に完売しており、改めて日本のファンがF1を心待ちにしていたことが窺える。
そんな日本GPの際にF1のCEOであるステファノ・ドメニカリに話を訊いた。ドメニカリは3年振りの日本グランプリを開催できることを喜び、日本はF1にとって必要不可欠な国だと語った。
■日本GPを訪れた岸田文雄首相「F1がまさに”走る実験室”と言われるに相応しい技術開発の最前線という姿を見せていただいた」
「3年ぶりに日本に帰って来ることができて喜んでいる。コロナが蔓延している環境下でも、我々はとにかく選手権を開催できるように努力してきた。なぜならF1は大きな存在だし、大きなエンターテインメントで、コロナ打破の役に立つのではないかと考えることもできたからだ。その結果、この間に新しいファンが誕生し、新しい国でレースが開催できた」
「それでも、日本のようなエンスージャズム(熱意)が根付いている国で開催できることはこの上ない喜びだ。モータースポーツは他のカテゴリーも含めて急激に成長している」
昨年も、日本GP開催に向けて鈴鹿サーキットはもちろん、行政も含めて関係各所が様々な努力をした。しかし、F1関係者の入国ビザの発給決定が期日までになされなかったことで、あえなく開催中止が決まった。今年も開催実現までは一筋縄ではなかったようだが、なんとか無事開催に漕ぎ着けた。
ドメニカリCEOは、政府も含め、関係者の協力に感謝の言葉を述べた。
「今回、日本でレースができたのは政府を始め多くの関係者が努力してくれたおかげだ。政府が理解を示してくれたことには感謝している」
「彼らが過去2年のように頑なに海外からの流入を禁じていたら、今年のレースも難しかったんじゃないか。とにかく今年は政府や地元の自治体を始め、多くの関係省庁が力を貸してくれた。おかげで今年日本グランプリが開催できたといえる」
「F1グランプリは世界規模の選手権イベントで、ひとつのルールの下で行われている。各国のレース主催者、自治体はそのルールを守ってくれることが重要で、日本はそれを我々に見せてくれた」
「もちろん各国それぞれの都合があり、主催者と自治体の関係が強いところもそうではないところもある。いまF1グランプリは非常に巨大になって、正しくコントロールを行わなければ混乱が生じる。問題なく開催するためには、各国の政府関係、自治体が理解してくれる必要がある」
今年の日本GPには、日本の現職の総理大臣として初めて岸田文雄首相が訪れ、スタートセレモニー等に出席した。ドメニカリCEOはこれについて、「非常に重要なこと」だと考えている。
「今年の日本グランプリには、岸田首相が初めて姿を見せてくれた。こうした価値ある行動は、スポーツやそのほかの文化イベントにとっても非常に重要なことだ」
「私はほんの短い時間しか彼に会えなかったけれど、来場を大変感謝している。安倍元首相のつらい事件の後なのに、岸田首相はよく来てくれたと思う」
「そんな彼に期待するのは、F1グランプリを観戦して、新しいエネルギーを感じてほしいと言うことだ。将来の日本は変わる、と我々に期待させてほしい」
また元F1ドライバーの山本左近が、国会議員になっていることにも期待を寄せる。山本議員は自民党のモータースポーツ振興議員連盟にも名を連ねているが、そんな彼にドメニカリは期待する。
「かつてF1グランプリを走った山本左近が国会議員になったと聞いて、期待するところが大きい」
「スポーツをはじめとするイベントは、先ほども言ったように政府、自治体と太いパイプを持っていなければいけない。それは、F1グランプリをはじめとするモータースポーツ団体がいかにビジネスを行い、いかに大勢の人々を楽しませているかということを、彼らに知ってもらいたいからだ」
「どこまで詳細を知ってもらうかというのは難しいところだが、F1グランプリを走るドライバーのステータスの高さを理解してもらい、そこに到達するために若者たちがどれだけの努力をしているかを見ることで、モータースポーツをより深く知ることができるはずだ」
「左近が我々の意見を政府や自治体に浸透させてほしい」
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