9月8日(日)、2024年WRC世界ラリー選手権の第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』の最終日となるデイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)からは3台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走。
デイ2終了時点で総合3番手につけていたセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)は、選手権首位のティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)との差を縮めるべく最終日もプッシュしたが、最後のスペシャルステージ(SS)にて横転を喫し、最終的に総合16位、スーパーサンデーはポイント圏外の50位での完走となった。
ギリシャの女神、ヌービルに微笑む。最終SSでオジエがまさかのクラッシュ、ヒョンデが1-2-3/最終日レポート
デイ2でのデイリタイアから再出走を果たしたエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は再出走を果たし総合18位、デイ1でのリタイアから追い上げを続けてきた勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、総合30位完走となった。
今大会では、選手権をリードするヒョンデ・シェル・モービスWRT勢に対しての挽回がキーとなっていたTGR-WRTだが、大会初日からライバルにトップ3独占を許してしまった。以降は、オジエによる追い上げの戦いとなっていた。
そんな苦境のなかでも、着実にライバルを上回るタイムをマークし続け、最後のスペシャルステージ(SS)15までに総合2番手へ挽回したオジエ。迎えたラストステージは、上位5台にボーナスポイントがかかるパワーステージでもあるため、ここで最速タイムをマークし、日曜日のみの総合順位で争われるスーパーサンデーでの首位と合わせて12ポイントをチームに持ち帰ることが最大のターゲットとなった。
しかし、1.6km地点で彼はまさかの横転を喫してしまった。その時の状況を、オジエはチームリリース内のコメントにて振り返った。
「残念ながら、最終ステージをスタートして1kmほど走ったところでパンクしてしまった」
「そのため、次のコーナーでブレーキのタイミングが遅れて横転してしまった。幸いにも、クルマを修理してサービスに戻ることができたので、チームに数ポイントをもたらすことはできた」
「とても奇妙な週末で、ほぼ完璧だったと思っているが、ラリーは最後まで走り切らなければ意味がない。今回はあまりリスクを冒したくないラリーで、そのためには運も必要だったが、今回は味方してくれなかったみたいだ」
僚友のエバンスも、デイ2で横転によってデイリタイアとなっていたため、オジエの復帰は難しいものと思われたが、大幅にタイムを失いながらも何とかステージをフィニッシュ。サービスパークがある『ラミア』の最後のタイムコントロールも無事に通過し、総合16位で完走。土曜日終了時点での総合3番手に対して与えられる13ポイントを獲得した。
チームのヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「我々にとっては困難な時だ」と苦戦を強いられた今大会を振り返る。
「物事が一度悪い方向に進み始めると、それが続いてしまうことがあるが、今はまさにそのような状況となってしまっている」
「厳しい週末になってしまったが、セブ(セバスチャン・オジエの愛称)はファイターで、金曜日にあのような事が起こった以上(ターボトラブルで2分半のロス)、彼はプッシュするしかなかったのだ」
「パワーステージとスーパーサンデーで勝利することができたら、我々は選手権で挽回できる可能性があったので、セブはそれを狙っていた。最終ステージで起こってしまったことは残念で、大きな代償を払うことになったが、少なくとも彼とヴァンサン(・ランデ/コドライバー)はクルマをフィニッシュまで運ぶことができた」
「私たちはこれからも戦い続けるので、そのスピリットを失うことなく各ラリーを戦い、結果を待ちたいと思う」
オジエが土曜日時点での13ポイントを獲得し、エバンスと勝田は日曜日にそれぞれ8ポイントと4ポイントを手にしたTGR-WRT。マニュファクチャラー選手権は、ヒョンデが35点のリードを築いているが、残る3ラウンドでその差をどこまで埋めることができるだろうか。
2024年WRCの次戦『ラリー・チリ・ビオビオ』は、南アメリカ大陸の西側に位置し、太平洋に面する国チリの大自然を舞台に行われるグラベルラリーだ。2019年に初めてWRCが開催され、今回が3度目のWRC開催となる。2024年シーズン最後のグラベルラウンドとなる第11戦は、9月26日(木)から29日(日)にかけて開催される予定だ。
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