アルピナが与えた鋭い操縦性と荒々しさ
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
アルピナのラインナップの中で、最新のB3 ツーリングはイチオシ。アルピナのこれまでを知っていれば、突飛な主張には聞こえないだろう。
B3 ツーリングは、すでに白眉のBMW M340iへ、アルピナ流の徹底的なアップデートが施されている。実際は、それ以上の仕上がりでもある。
アルピナが目指すところは、現実世界でM3に並ぶ俊足モデルを生み出すこと。一般道でのマナーやドライバビリティは向上させつつ、ルックスには大きな手は加えられていない。
アルピナB3には、ステーションワゴンのツーリングと、サルーンが用意される。ニュルブルクリンクでABSなどの微調整も受けているが、一般道重視のセットアップだ。
もちろん一般道とは、ドイツ郊外の道。区間によっては速度制限のないアウトバーンなら、300km/hでも走れる。
新しいB3の特長の1つが、サーキットに対する親和性。Mモデルが備えても良い、鋭い操縦性とワイルドさ。ステーションワゴンをサーキットで走らせるなど、あまり耳にしないかもしれないけれど。
高速域での自然なステアリングフィールと安定性を高めるため、サスペンションは全面的に見直しが加えられている。ブレーキもアップグレードされ、アルピナ定番といえるスポークホイールを装備する。
空力を向上させるボディキットも忘れない。リアのLSDや、前後タイヤ間のトルク分配の制御にも、アルピナ独自のチューニングが施されている。
最高出力462ps、最大トルク71.2kg-m
新しいB3は、四輪駆動のみ。後輪駆動が選べず、がっかりしないで欲しい。
アルピナによれば、毎日乗れるスーパーカーといえるカテゴリーでは、後輪駆動の人気は高くないようだ。特にドイツで。安定性やトラクションで、四輪駆動は有利だからだろう。
エンジンルームに潜むのは、通常の3シリーズで選べる直列6気筒ではなく、Mディビジョンが手掛けたエンジンのアップデート版。S58型と呼ばれるユニットで、X3 Mに搭載されている。最新のM4にも採用される。
2993ccの直列6気筒ツインターボに、アルピナ独自のターボをドッキング。冷却系統も全面的に強化された。
B3の最高出力は462psで、最大トルクは71.2kg-m。太いトルクに対応するため、ZF社製の8速ATとドライブシャフトは強化されている。
ちなみにM3コンペティションの場合、510psと64.7kg-m。0-100km/hの加速時間は両車ともに3.8秒だ。
運転してみると、BMWがアルピナへ素晴らしいベースを提供していることを実感する。同時にB3は、全面的に深く煮詰められていることもわかる。
BMW 3シリーズ・ツーリングは、高速なファミリーカーとして理想的なサイズ感にある。車内空間は充分に広く、走行中は熟成された雰囲気を感じ取れる。それがB3にも反映している。
英国の郊外の街では、BMW 5シリーズ・ツーリングは、少々大きく感じる場面がある。V8エンジンを積んだB5ツーリングも同様だ。
滑らかな乗り心地と高い適応力
アルピナB3を運転してみると、路面へ追従する味わいがM340iより強い。特にコンフォート・プラスという独自の設定を選ぶと、荒れた路面を見事に均しながら、滑らかにボディを運んでくれる。
試乗車にはオプションの20インチホイールと、扁平率30という薄いタイヤを履いていた。落ち着きのない乗り心地にもなり得るだけに、見事な仕事だといわざるを得ない。
ロードノイズは予想よりも若干大きい。しかし、これだけの動的性能を実現していることを考えれば、充分に許容範囲だろう。
ノーマルのドライビング・モードでも、B3はM340i以上に充足感ある振る舞いで道を走る。アウディやメルセデスAMGの想定ライバルよりも、優れている。
さらにB3は、尋常ではないほどにクルマの適応力が高い。2500rpm以下の回転域でも、パワートレインは柔軟に、力強く反応する。前世代のB3やクーペのB4は、ブースト圧の上昇とともにトルクが突然牙を向くような性格があった。
ステアリングは、レシオも重み付けも適正。シャシー全体が、快適で馴染みやすい設定に感じられる。
オプションのメリノ・レザーで覆われたシートへ3時間ほど座って運転しても、まったく苦にはならないだろう。走り抜ける環境や条件は、問わない。
バランスが良く、落ち着きがあり、まとまりがいい
シャシーとパワートレインを、スポーツかスポーツプラス・モードに切り替えれば、B3 ツーリングの別の側面に出会える。メルセデスAMG C63エステートほどの生々しさや遊び心はないものの、表現しきれないほどに速い。
B3の前後のトルク分配率は、M340iよりもフロント側に振ってある。しかしドライビングフィールは、サラブレッド。バランスが良く、落ち着きがあり、まとまりがいい。
姿勢制御も秀抜。スピードを感じさせる最小限の自然なロールがあり、ドライバーの操る自信を引き出してくれる。
50km/hでも速すぎると感じるコーナーでも、シャシーは見事に対応。何事もなかったように加速を始める。一体感と正確さが追求されている。
アウディRS4の方が、より強い横方向のGを生成できるかもしれない。しかし多くのドライバーは、アルピナを限界領域まで攻め込む方が、より爽快に感じられると思う。
B3 ツーリングは美しいと感じるほど、流れるように身をこなす。ハードに攻め立てても、シャシーとパワートレインは、喜んで腕利きのドライバーに答えてくれる。B3が手に負えなくなる場面はあるのかと、疑問に感じるほどだ。
燃費や満タンでの航続距離は、日常的に乗るクルマとして重要な要素。別の機会に確かめたい。
アルピナB3 ツーリング。筆者も購入したいと思う。お金があれば。
クラスのトップモデル最有力
B3 ツーリングは極めて才能に優れ、高性能エステート・クラスの中で、トップの座に君臨する可能性は高い。ホッドロッドなメルセデスAMG C63エステートより日常的な親しさは高く、アウディRSよりドライビングの一体感や楽しさは上にある。
スピードでも、B3 ツーリングは上かもしれない。じきに比較テストをする予定だ。
英国では、アルピナは珍しい存在でもある。もしかすると、アストン マーティンDBSスーパーレッジェーラの方が、ロンドンでは出会う率が高いかもしれない。
価格は3シリーズの派生モデルとして考えれば、高い。だが、約6万8000ポンド(911万円)は、アウディやメルセデスAMGのライバルにも並ぶ水準。装備も充実している。3台を冷静に比較していくと、英国ではB3 ツーリングが一番安価だったりする。
少なくとも現時点では、アルピナB3 ツーリングは、このクラスでのトップだと筆者は考える。比較テストでの結果が楽しみだ。なんと素晴らしいクルマなのだろう。
アルピナB3 ツーリング(英国仕様)のスペック
価格:6万7950ポンド(910万円)
全長:4719mm
全幅:1827mm
全高:1438mm
最高速度:299km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:10.1km/L
CO2排出量:228g/km
乾燥重量:1865kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:462ps/5500-7000rpm
最大トルク:71.2kg-m/2500-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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