6月10日金曜、第90回ル・マン24時間レース開催中のフランス、サルト・サーキットは決勝前日を迎えた。この日はWEC世界耐久選手権の走行セッションはなく、参戦する各チームは前日深夜まで続いた予選・フリープラクティスを終え、決勝へとマシンの整備を進める時間となった。
一方、11時からはACOフランス西部自動車クラブの年次会見が行われ、後述する各種発表が相次いで行われた。
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さらに観客向けのイベントとして、新型コロナウイルスのパンデミック以降初めて、市内でのドライバーズパレードが開催され、多くのファンが詰めかけた。
同時にサーキットではピットウォーク、そして初めての試みとなる“コースウォーク”などが行われ、観客入場制限が撤廃されて初めてとなる決勝レースに向け、現場のファンの熱は高まってきている。
■2024年新設のGTクラスは『LM GT』か
FIAとACOが2024年に新設するプロ・アマ合同のGTクラスの名称は、FIA耐久委員会のリシャール・ミル委員長によると『LM GT』となるようで、GT3やGTといった名称案は除外されたという。
この名称は、2005年にGT2に改称される以前、90年代後半から2000年代初頭にかけて同名称で呼ばれていた市販車ベースのクラスを想起させるものとなっている。
■次世代LMP2、水素、バーチャル……ACOの将来像
ACOのコンペティション・ディレクターであるティエリー・ブーベによると、2025年に導入される新たなLMP2レギュレーションに関するさらなる重要な決定は、今年中に行われる予定だという。
次世代規格のタイヤとエンジンの供給に関する入札は「まだ確定していない」項目のひとつであり、今後数カ月でより明確になる予定だと述べている。
ACOの会見で、リシャール・ミルが「2025年までに」デビューさせると発表したル・マンの水素クラスだが、彼は2025年よりも前にこのクラスが実行されることはない、とSportscar365に対して語った。
「2025年というのが目標だが、同時に、クルマが性能的に馬鹿げたものにならないことを確認しなければならない」とミル。
「これは、すべてのパートナーとともに行う、大規模な開発となる」
ミッションH24のマシンは、木曜日に行われたサポートレース『ロード・トゥ・ル・マン』に参加し、ステファン・リケルミが8周を走行。サルト・サーキットを5分03秒862のベストラップで周回した。なお、昨年の同大会でローレンツ・ホアが記録したLMP3クラスのタイムは3分44秒352で、現状では80秒近いギャップがあることになる。
また、ACOの会見では2022/23年のル・マン・バーチャル・シリーズの5戦カレンダーが発表され、第3回ル・マン24時間バーチャルで締めくくられることになった。
スケジュール上のイベントは、バーレーン8時間(9月17日)、モンツァ4時間(10月8日)、スパ6時間(11月5日)、セブリング500マイル(12月3日)、ル・マン24時間バーチャル(1月14~15日)となっている。
■“GT谷間の年”へのポルシェのスタンス
ACOの会見での発表により、LMGTEプロクラスは2022年限りで終了することになった。ポルシェのモータースポーツ責任者であるトーマス・ローデンバッハは、2023年のLMGTEアマクラスのあり方について次のように語っている。
「現在(のLMGTEプロ)のようなファクトリーエントリーは行わない。もし、カスタマーがパッケージを作り、レースに参加するのであれば、(現在の)カスタマースポーツと同様の形でサポートする」
ローデンバッハはまた、ポルシェが今年のル・マンでGTEプロ車両の特別カラーリングを行うことは検討されなかった、と述べている
彼は以前、2023年にLMDhプログラムへと切り替える前の最後のファクトリーGTEプロのレースを表現するために、ポルシェが何か特別なことをすると示唆したことがある。
「そうなれば良かったが、ならなかった」とローデンバッハは金曜に述べた。「現在のところ、我々はレースに勝つことに集中している」。
■フォードLMDhの可能性は「ノー・コメント」
フォード・パフォーマンスのグローバル・モータースポーツ・ディレクターであるマーク・ラッシュブルックは、1月に発表されたフォード・マスタングGT3プロジェクトが、2024年のデビューに向けて予定どおりに進行中であると述べた。
「現時点では、とくに問題はない。すべてにおいては、サプライ・チェーンの管理に関わることだ」
なお、フォードはまだLMDhプログラムを行う可能性について検討をしているのか、という問いに対して、ラッシュブルックは「ノー・コメント」と返答している。
■“鉄人”クリステンセンが100周年大会アンバサダーに
2023年のル・マン24時間レースは、6月10~11日に開催されることが決定した。100周年記念レースとなる来年の大会では、ル・マンで9回の優勝記録を持つトム・クリステンセンがアンバサダーに任命されている。
この100周年レースに向けては、グッドウッド・リバイバルやWECの2022シーズン最終戦バーレーンなど、「オリンピック的な」ワールドツアーが行われる予定であり、8月のペブルビーチ・コンクール・デレガンスで、100周年記念の新しいトロフィーが発表される予定となっている。
* * * * *
第90回ル・マン24時間レースの決勝日は、10時30分から15分間のウォームアップ走行が行われたのち、16時(日本時間23時)に決勝レースがスタートする。
スタートドライバーはすでに公式通知で発表されており、フロントロウに並んだトヨタGAZOO Racingでは8号車GR010ハイブリッドがセバスチャン・ブエミ、7号車はマイク・コンウェイがスタートを担当する。
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