これまでホンダとルノー、フォルクスワーゲン、セアトなどが競い合ってきたドイツのニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)でのフロントエンジン・前輪駆動車(FF車)最速の座。2023年、新たにその王座が入れ替わった。
2022年7月にワールドプレミアされたホンダの新型『シビック・タイプR(FL5)』が、FF車としては最速ラップタイムとなる7分44秒881を記録したのだ。
■Honda R&D Challenge、2023年もスーパー耐久ST-2クラスへ参戦。マシンは新型シビック・タイプR
新型シビック・タイプRは、2019年からルノー『メガーヌR.S.トロフィーR』が保持してきた7分45秒389というレコードを、0.508秒更新した。
ニュルブルクリンク北コースでのタイムアタックでは2019年から公式ルールが制定され、1周20.832kmでの測定に。2019年以前に使用されていた1周20.600kmでの、メガーヌR.S.トロフィーRの7分40秒100、先代シビック・タイプR(FK8)の7分43秒800などのラップタイムから公式レコードが遅くなっているのはそのためだ。
新型シビック・タイプRは、”速さ”と”ドライビングプレジャー(運転する楽しさ)”を両立させる究極のピュアスポーツ性能を目指して開発が行なわれた一台。搭載される2.0リッター直列4気筒”VTEC”ターボエンジンは、先代モデルからの進化を経て、最高出力243kW(330ps)、最高トルク420Nmを発生させる。
そのパワーを地面に伝えるタイヤにはミシュランと共同開発した、『パイロットスポーツ・カップ2コネクト』が採用され、冷却やダウンフォース面でも改良を受けたことで、今回の最速ラップタイム樹立に繋がったと言える。
シビック・タイプRの開発責任者を務め、自らステアリングを握りスーパー耐久にも参戦する柿沼秀樹は、新たな公式レコード樹立に際して次のように語っている。
「シビック・タイプR は、“Ultimate SPORT 2.0” をコンセプトに据え、己を超えるクルマづくりでタイプRにしかない 『本質』の価値と、心に響く『官能』を磨き上げた、究極のFFスポーツを目指し開発しました」
「2022年9月の日本での発売を皮切りに、私たちの想像を遥かに超える驚きと喜びの声を、世界中の皆様から数多くいただく中で、もう一つ、私たちが果たさなければならない使命がありました。それは、“ニュルブルクリンクFF最速”を成し遂げることです」
「先代シビック・タイプRから6年の時を超え、私達がタイプRにかけた想いと進化の先に到達した新次元。ついにその称号を世界中のタイプRファンの皆様にお渡しすることが叶いました」
「既にお乗りいただいている方から、これからオーナーになられる方まで、私達とともにその誇りを胸にしながらタイプRを愛し、そして満喫していただけることを心より願っています」
ちなみに、市販車でのニュルブルクリンク北コース最速は、メルセデスがF1で培った技術が惜しみなく注ぎ込まれたハイパーカー『メルセデスAMG ONE』が2022年に記録した6分35秒183だ。
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みんなのコメント
過去にニュルアタックの噂があったが、レコードの続報は無く、ルノーに追いつけなかったかと諦めていたが、ついにやってくれた。
タイプR持ってないけど、日本メーカーがレコードを取り返してくれて、単純に嬉しい。
もっとも100%内燃機関もこのシビックで最後になると思いますが…