4月19~21日、イタリアのアウトドローモ・インテルナツィナオーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ(イモラ・サーキット)で開催されるWEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間レース』。本来は公式テストと第1戦の間にカタールで行われるはずだった全車集合写真の撮影(海上輸送遅れの影響で実施できず)が、このイモラの水曜夕方に行われるなど、通常よりも早い進行でヨーロッパラウンド初戦を迎えている。
各車が金曜の走行に向けて準備を進めた木曜のイモラのパドックから、各種トピックスをお届けする。
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■狭いコースがもたらす影響
今週末のイモラ6時間レースには合計37台がエントリーするが、シーズン開幕戦のカタール1812kmからエントリーリストにはほとんど変更がない。
カタールから変更があったのは、フルシーズンドライバーのアレックス・リンとアール・バンバーからなる2名のみのドライバーラインアップで挑むキャデラック・レーシングと、負傷したフェルディナンド・ハプスブルクの代わりにジュール・グーノンが代役出場するアルピーヌだけである。
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとハーツ・チームJOTAは、今週末のイベントに向けてイモラでテストを行ったハイパーカーチームだ。フェラーリAFコルセも499Pでこのサーキットの走行経験があるが、それは昨年11月に行われたものだ。
ポルシェのケビン・エストーレは、テスト中にGT3を含む遅い車両とコースを共有する経験を積むことができたが、トラフィックを追い抜くのは先月のカタールよりも難しいだろうと明かした。
「間違いなく、追い抜きは難しいコースになるだろうし、狭くて、実際にはトラックリミットもない状況だろう」とエストーレ。
「外側から抜こうとしてGTカーに押し出されると、芝生の上に落ちてしまい、通常はガードレールに突っ込んでしまうことになる」
エストーレのチームメイトであるマット・キャンベルは、イモラのレースではセーフティカーやフルコースイエローの導入により、さらに混乱が生じるだろうと予測している。
「1回のFCY以外には何もなかったカタールだったけど、イモラでは間違いなく何かが起きそうだと言えるだろう。壁はより近く、カタールのようなエスケープゾーンはない。そのため、より多くのイエローの可能性が予想され、状況はカタールより複雑になるだろう」
なお、TFスポーツのシボレー・コルベットZ06 GT3.Rのドライバー、チャーリー・イーストウッドは、ハイパーカーカテゴリーにとってLMGT3車両の追い越しが通常よりもさらに困難になる主な要因として、イモラの縁石の性質を強調している。
今週末のハイパーカーの性能調整(BoP)の全面的な変更は、既存の8台すべてがカタールと比較して軽量化されており、部分的にはハイパーカーとLMGT3カーとのラップタイム差をカタールより増やすことを目的としていることが示唆されている。
■イモラよりもル・マンを優先
TOYOTA GAZOO Racingのイパーカープロジェクトリーダー、ジョン・リッチェンスはSportscar365に対し、彼らがル・マン24時間レースへの準備を優先し、今週末のレースに向けたイモラでのテストの機会を断念する決断を下したと語った。
「スケジュールに関係する部分もあるが、(テストをして)どれだけ学べるかにも関係する」とリッチェンス。
「ライバルがテストのためにここに来たときの温度を見ると、現在の温度とは異なる」
「タイヤについて学ぶことはそれほど多くはなく、ここでテストするか、それともヨーロッパの約3つのサーキットでしかできないル・マンに向けた耐久テストに集中するかを選択する必要があったが、我々は後者の選択肢を取った」
■ヤコブセンのプジョー代役ドライブはあるか?
プジョーのリザーブドライバー、マルテ・ヤコブセンはSportscar365に対し、ジャン・エリック・ベルニュとストフェル・バンドーンの両選手がフォーミュラEとの日程バッティングにより欠場するスパでの第3戦に、9X8で出場するかどうかについては最終決定はしていないと語った。
しかしながら、その機会があればステップアップする「準備はできている」と感じていると語っている。
このデンマーク人ドライバーはここ数カ月間、プジョーのテストプログラムに定期的に参加しており、先週末のバルセロナでのヨーロピアン・ル・マン・シリーズ開幕戦の直前には、ポール・リカールでのテストプログラムにおいて9X8をドライブしていた。
プジョーは、WECマニュファクチャラーとして初めて、FIAから3つ星の環境認定を獲得した。これにより、フランスのブランドは「環境保護、炭素排出量の削減、自動車業界における持続可能な慣行の確立への取り組み」が評価されることになる。
■多忙な藤井誠暢に“代役”
Dステーション・レーシングのマネージングディレクターを務める藤井誠暢は、今週末セパンで開幕戦が開催されるGTワールドチャレンジ・アジアへの参戦とバッティングするため、イモラ戦を欠席する。
ドライバーコーチとして開幕戦カタールに参加していたバレンティン・ハース=クロットは、イモラおよび再びGTWCアジアとバッティングするスパ戦の両方で、藤井の代わりにその役割を事実上担うことになる。
■ブラジル籍のマクラーレン乗りのセナ・トリビュート
ユナイテッド・オートスポーツがオペレートするマクラーレンをドライブするブラジル籍のニコラス・コスタは、30年前にイモラで命を落とした祖国のF1ヒーロー、アイルトン・セナを追悼する特別なトリビュートヘルメットを被って今週末のレースに臨む。
彼がドライブする59号車マクラーレン720S GT3 Evoにも、トリビュートの一環として、スポンサーであるブラジルの石油・ガス会社PRIOのブランドロゴに変更が施されている。
■WECの元CEOも来場
WECの公式ビデオゲーム『ル・マン・アルティメット』は、今週末イモラのファンゾーンでイベントを主催する。これは次の2ラウンド、すなわちスパ・フランコルシャンとル・マンでも行われる予定だ。このゲームのエグゼクティブプロデューサーである元WEC CEOのジェラール・ヌブーが、ゲームのプロモーションのためイモラに姿を見せている。
木曜日にパドックを訪れた他の著名な訪問者には、SRO代表のステファン・ラテルや、アウトドローモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ(イモラ・サーキット)を運営するフォーミュラ・イモラの取締役会長である元F1チームオーナーのジャンカルロ・ミナルディも含まれていた。
木曜日の午後には、サイン会を含むWECドライバーの特別プレゼンテーションがイモラ市内のマッテオッティ広場で開催された。珍しく、ドライバーブリーフィングとチーム監督ブリーフィングも、同じ場所で行われた。
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