セルジオ・ペレス(レッドブル)の不振が深刻だ。モナコ、スペインと表彰台を逃したペレスは、今回のカナダも6位に終わった。
主な原因が、予選の失敗にあることは明らかだ。自らのミスで最下位スタートとなったモナコは、16位完走が精一杯。スペインでもQ2のアタックでグラベルに飛び出して予選トップ10入りを逃してしまう。レースは4位まで追い上げて、かろうじて面目を保った。
ペレス「今は選手権の順位よりもパフォーマンスの低下が心配」レッドブル/F1第9戦
そしてカナダでも、Q3に進めず。断続的に雨の降る難しいコンディションだったとはいえ、同じマシンを駆るフェルスタッペンは2番手タイムできっちりQ3に進み、ポールポジションを獲得している。両者の違いは、何なのか。
今季のRB19のマシン挙動は去年ほどピーキーでなく、ペレスにもコントロールしやすいマシンのはず。好調だったシーズン序盤、チームメイトに9ポイント差まで迫ったのを見ても、それは明らかだろう。今さらだが、純粋な運転技術に大きな差があるとも思われない。
では前半8戦を終えて、69ポイントもの大差がついてしまったのはなぜなのか。ひとことで言うなら、「自信の有無」であろう。そしてペレスの自信を打ち砕いたのが、モナコでの度重なる失敗だった。
去年のモナコを初めて制したペレスは、今年も勝つ気満々だった。フリー走行でも、ポール獲得の手応えを感じていた。ところがQ1で不必要に攻めすぎ、クラッシュ。最下位スタートの決勝レースも、最速ラップを刻みながら順位を上げていったものの、先行車と接触した。
最も得意としていたはずのモナコでの度重なる失態は、われわれ第三者の想像以上にペレスに深い傷を負わせたのかもしれない。クリスチャン・ホーナー代表は「これでプレッシャーがなくなって、本人には逆にいいくらいだ」と、擁護のコメントをしていた。
しかし見方を変えれば、それだけフェルスタッペンのチームメイトであること、そしてチャンピオンチームで常に結果を出すことの重圧は、とてつもなく大きいということだ。それでもペレスは2021年に加入以来、セカンドドライバーとしての役割を十分に果たしてきた。だからこそ早々に、2024年末までの契約延長を勝ち取ることができた。
そして今季は自身の好調を背景に、タイトル獲得の野望をはっきりと表明した。そのことがいっそう、ひとつのミスに対しての自分自身への失望を大きくさせてしまったのかもしれない。
「なぜレースペースが伸びなかったのか、わからない」と決勝後に頭を抱えていたペレス。今や選手権3位のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)との差は、わずか9ポイントしかない。
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