ラリーも、サーキットもこなす頑張り物
袖ケ浦フォレストレースウェイで開催されている「東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)」は、年間4戦で実施されている敷居の低いサーキットイベント。
【画像】63年式トヨタ・パブリカと会場の様子【旧車でサーキット】 全47枚
アルファ・ロメオやMBをはじめとする輸入車で参加するエントラントが多いが、懐かしい国産旧車でレースを愉しむドライバーも少なくない。
10年ぐらい前に購入した1963年式トヨタ・パブリカでTBCCに参戦しているKさん(73歳)もそのひとりだ。
「30年以上前に購入した1965年式のトヨタ・スポーツ800で、50歳のときからモータースポーツを堪能してきました。そのヨタハチはラリー仕様にモディファイしてあり、PC競技などがあるクラシックカーラリーではなく、未舗装路を走るほうのラリーを愉しんできました」
「昔の話になりますが、オーストラリア大陸最南端に位置するタスマニア島全域を舞台とするタスマニア・ラリーに10年間ぐらい参戦していたことがあります。そして、ヨタハチと同じエンジンを積んでいるパブリカを10年前に増車し、いまはラリー参戦とサーキット走行の両方を満喫しています」
そのように話してくれたKさんによると、奥さまをコ・ドライバーに抜擢して参戦しているラリーは、愛知県新城市で行われている全日本ラリー選手権の新城ラリーで、オープンクラスのクラシック部門で今回撮影させてもらったパブリカを走らせているのだという。
パブリカでエントリーしているサーキットレースはTBCCとJCCAとのことで、ラリーとレースの参戦率は半々なのだと話してくれた。
メンテの心配は? パブリカを選ぶメリット
「日本のモータースポーツ文化も少しずつヨーロッパやアメリカに近づいてきました」とも話してくれたKさんによると、10年前に購入したパブリカは前オーナーがモディファイした仕様のまま乗っているらしく、各部をリセットしただけで全日本ラリーのクラシック部門とサーキットレースの両方に参戦しているのだという。
「30年間眠っていたクルマを前オーナーから引き継いだので、さすがにエンジンのオーバーホール作業などが必要となりました。キャブレターはKEIHINのCRキャブレターにしています。パブリカはヨタハチと同じパワーユニットなので、補修用のパーツがまだまだあります。私もスペアの空冷水平対向2気筒エンジンを3~4基持っています」
Kさんのパブリカは、ボディこそパブリカ700のものだが、同車のエンジンは貴重なのでパブリカ800用に変更しており、よりパワフルな走りを愉しめるようになっている。パワフルといっても最高出力が36psなので、その性能のすべてを使い切ることができるのであった。
インターネットでユーズドカーの価格を調べてみたら一番高価な個体でも200万円前後だったので、初めての旧車として往年のパブリカはオススメできるといっていい。
なんといっても機関系のパーツをなんとか揃えられる点が“嬉しいポイント”で、Kさんのようにガンガン走ってもメンテナンス時に困る機会が他車よりも少ないのであった。
思い思いに参戦を 次回は12月11日開催
去る9月11日に10シーズン目の第2戦となる通算38回目が開催されたTBCCは、往年の輸入車と懐かしい国産旧車が参加しているレース形式走行会。
袖ケ浦フォレストレースウェイを本気で走るサーキットイベントながら、ドライバーの腕とクルマの性能によるラップタイムで的確なクラス分けが行われており、そこに魅力を感じ、毎回数多くのエントラントが参戦している。
そして、安全にバトルを楽しめるように配慮されており、思い思いのスタンスとスピードでレースを堪能できるのであった。
Kさんのように、70代のベテランドライバーもたくさん参戦している。
戦前車を対象としたヴィンテージ・スポーツクラス(1931年式ブガッティT51、1930年式アルファ・ロメオ・ティーポ6C、1935年式MG Lタイプ マグナ、1935年式ラゴンダ・レイピア、1928年式MG Cタイプ モンレリーミジェット、1935年式MG NAマグネットが出走)や、プレTBCC的なスポーツ走行クラスも人気だ。
第38回のレースリザルトは下記のとおり。
入門者向けのクラブマンズ・カップは1964年式ポルシェ356Cの荒木選手が1位、その上位クラスとなるクリスタル・カップは1965年式アルファ・ロメオ・ジュリア・スパイダーの堤選手が1位、さらにその上位クラスとなるスーパークリスタル・カップは1965年式ロータス・エランSr-2の薄葉選手が1位、最上位クラスのハイパークリスタル・カップ・クラスは1971年式ロータス・スーパーセブンの八田選手が1位だった。
次戦は12月11日に開催される第39回だ。
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