4月26~28日、2024年MotoGP第4戦スペインGPが行われました。スプリントでは15台の転倒があったり、ダニ・ペドロサが3位に繰り上げれらるなどありました。また、決勝ではフランセスコ・バニャイアが強さを見せたほか、マルク・マルケスが2位表彰台を獲得するなど今年の勢力図が見えてきました。
そんな2024年のMotoGPについて、1970年代からグランプリマシンや8耐マシンの開発に従事し、MotoGPの創世紀には技術規則の策定にも関わるなど多彩な経歴を持つ、“元MotoGP関係者”が語り尽くすコラム、2年目に突入して第29回目となります。
MotoGP:2027年に1000ccから850ccへマシン規則変更。空力パーツは50mm削減、車高調整デバイスは禁止
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--えっと、何から話していいか困ってしまうくらい今回の週末はいろいろありましたよね。予想外の残念な出来ごともありましたけど、レース自体は非常に見応えがありましたしね。
たしかにいろいろあったね。初日のプラクティスまでは、久々に強いフランセスコ・バニャイア選手がトップでスタートして、前回のレースで初の完全制覇を果たしたマーベリック・ビニャーレス選手が2位と、ここまではいい感じだったんだけどね。
金曜日のFP2からウエットで、公式予選結果がプラクティスとはかなり変わってしまったし、その流れがプラクティスのドタバタ劇まで続いてしまった感じだね。結局完走したのが16台でリタイアが9台だったかな。ところでなんかいつもより台数多くない?
--そうですね、今回はワイルドカードでアプリリア、ホンダ、KTMと3台のマシンが出場していますからトータル25台です。リタイアは9台ですけど、トップで転倒してレース復帰したマルク・マルケス選手のようなケースが多かったので、転倒という括りでは15台ですかね。
ビニャーレス選手が、レース後に「あれは赤旗中断にするレベル」とスチュワードに不満を訴えていたそうだけれど、彼がクラッシュする前に同じところで立て続けに3台がクラッシュしていたから、オイルとか出ている感じではあったよね。ただ、目視で異常が認められるようなレベルでは無かったから、即赤旗中断という判断は難しかったと思うけどね。
--アレックス・マルケス選手、ブラッド・ビンダー選手、エネア・バスティアニーニ選手が立て続けにクラッシュした魔の5コーナーですね。ビニャーレス選手はそのおかげで3位になった次の周に同じところでクラッシュですから憤懣(ふんまん)やるかたなしって感じでしたね。
まあ3台も突然消えたわけだから、何かあったと感じて慎重になっても良かったと思うけどね(笑) 目視レベルでは何も異常がなさそうだったから、しかたないかもしれんけど。
--目に見えないようなウエットパッチであんなに滑るものなんですかね。マルケス選手の場合は確かに小さなパッチに乗ったように見えましたが……
ライダーの間では、あそこは再舗装してからああいう奇妙な感じになったという声もあるから、舗装のクオリティという問題もあるのかもしれないね。
ま、これは仮説の域を出ないんだけど、舗装の排水性や透水性っていう機能が絡んでいるような気がするんだよね。基本的には粗目の骨材を使っているようだからかなり高グリップ指向で、それは再舗装した部分も特段変わっていないと思うけれど、路面の乾き方という点で微妙な差が生じてしまったんじゃないかな。
--なるほど、ところで路面の排水性とか透水性って具体的にはどういうことなんですか?
日本でも、最近は高機能道路とかいう、雨でも路面に水膜が出来ないように透水性を備えた舗装が増えているらしいよ。この舗装の場合、表層は水を通すけれど、その下層は水を通さずに路外に放出する溝を切って排水性をもたせているんだ。目に見えないけどアスファルトの中を水が流れているってことだね。
--このサーキットもそういう高機能な舗装だったという事ですか?
いや、そうではなくて基本的には水を通さないタイプの舗装だと思うよ、高機能舗装はコストが掛かるしね。ただし再舗装した部分に意図しない透水性が生じていたとするとこれは問題だね。下の土壌に排水性が無いといつまでも水が残ることになる。
--つまり表面的には乾いたように見えて、その部分は沁み込んだ水をじわじわと吐き出していたと……
まあそう考えると今回の一件は説明がつくんじゃないかな、あくまでも推測の域を出ないけどね。
--話は変わりますが、どうやらマルク・マルケス選手の優勝が現実的になってきましたね。
スプリントでトップに立ってあのまま優勝していたら、勢いに乗ってレースも優勝してたかも知れないと思うとぞっとするね(笑)
--おやおや、マルケス選手のことをあまり良く思っていないみたいですね。
元チャンピオンに相応しい、クリーンなレースをしてくれれば何も問題無いんだけれど、このところ彼が絡むと必ず何かアクシデントが起こるのも事実だからね。
おそらく彼が後ろから迫ってくると、ほとんどのライダーが生きた心地がしないと思うよ。
--スプリントではホルヘ・マルティン選手がその立場で、レースではバニャイア選手がそうでした。
マルティン選手の場合はペースにかなり差があったので、すぐに抜き返すことが出来なかったというのもあるけど、バニャイア選手の場合はポルトガルGPの悲劇が繰り返されるような感じがしていて、見ているこちらが生きた心地がしなかったよ(笑)
--きわどいシーンが何度かありましたけれど、今回はバニャイア選手が完全に力でねじ伏せたって感じですね。今回のレースの一番の見どころだったと言えるんじゃないでしょうか。
一回目のアタックはポルトガルGPとは逆の、右コーナーでのクロスラインになったけれど、今回も接触していたから危ないところだった。
二回目のアタックもクロスラインになったけれど、これはきれいに交わしたので勝負あったって感じだね。何れにせよ際どいところの勝負なので、毎回こんなのを見せられると心臓には良くないよ(笑)
--師匠のバレンティーノ・ロッシ選手がVR46アカデミーの選手を応援に来ていたみたいですね。「ペッコ(バニャイア選手)には一生かけても返せない位のものを貰った」と言うような意味のコメントをしたそうですが、これはどういう意味なんですかね?
シンプルに、おそらくは一生に何度も見る事はないであろう素晴らしいレースを見せてもらったって事じゃないの。イタリア語でいうところの「Che Spettacolo(What a Show)!!」ね。
--いやいや、それだけじゃないような気がしますけどね(笑)
う~ん、ぶっちゃけ現役時代のロッシとマルケス選手はかなり険悪な関係にあったからね。
そのマルケス選手を力でねじ伏せたバニャイア選手に、最高の贈り物をもらったって事なのかな。そもそもロッシは誰かを敵役に仕立てる事で、主役の自分を引き立たせていたんだけれど、マルケス選手の場合は誤解を恐れずに言えば、ホントに『ワル』の部分があるし、とてつもなく強くてワルなので敵役にはうってつけだったんだな。
--強いのはもちろんですが『ワル』と感じるのはどのあたりですか?
人間的なワルさでは無くて、他のライダーとリスクに対する感度が違うって事だよね。他のライダーが危険だと思ってやらないことを躊躇なくやってしまう。うまくいく場合もあればそうでない時もある、他のライダーにとっては危険な存在。
それを懲らすために敢然と立ちあがったのがロッシという立ち位置なんだけれど、その本人も実はかなりのワルなので、どっちもどっちという感じはするけどね(笑)
--ところで、スプリント2位と好調をキープしていたペドロ・アコスタ選手ですが、レースではやや精彩を欠いていましたね。
午前中のウォームアップ走行でかなり激しくクラッシュしていたから、精神的にも肉体的にもかなり厳しい状況だったんじゃないかな。ここまで順調すぎたので、大きな怪我をしない程度に痛い目を見るのも通過儀礼として必要なことだと思うよ。
--同じKTMでワイルドカード参戦したダニ・ペドロサ選手ですが、レースではリタイアしましたがスプリントではファビオ・クアルタラロ選手に次いで4位、そして最終的に3位に繰り上がりましたね。
例のタイヤの最低空気圧規定違反で8秒加算されて、クアルタラロ選手が3位から5位に降格したんだよね。4位に上がったのが元同僚のフランコ・モルビデリ選手ってところに何か因縁めいたものを感じるね。
最後尾スタートだから集団に揉まれる事を予想して、予めタイヤ内圧を低めにセットしたら意外にスタートが決まって良いポジションで走れてしまったという、笑えないチョンボ。
ペドロサ選手にしてもいわく付きのスプリント3位より、レースで完走できた方が良かったかもしれないね。
--最後になりますが、今回のレースで日本メーカーの復活の兆しは見えてきましたか?
大局的に見るとあまり変化はないと言えるかな。個別に観察していくと少しずつ変化している感じはする。それが何かが変わった結果なのか、単にライダーが慣れたとかのレベルなのか判断は難しいね。
いずれにせよ月曜日のオフィシャルテストで、何らかの新しいテストアイテムを持ち込んでいるという情報もあるので、吉報を待つことにしようじゃない。
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みんなのコメント
昨年のトップバトルのレベルが分かろうというものだ。
バニャには良いタイヤが…って見えたけど、バトルせず温存できて
追い上げたマルクはタイヤが消耗した、のかもと思える。
ストレートでは差があるけど、それをものともしないマルクは素晴らしい。
そこでタイヤが残るのがジジのワークスって算段か。マルク頑張れ!