ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長に、二輪ライダーの育成方針、そしてMotoGPでの苦戦からの脱却を目指す方針について訊いた。
今季Moto2でランキング首位に立ち、来季はトラックハウスからMotoGP最高峰クラスにデビューすることが決まった小椋藍。小椋はホンダ育成として階段を駆け上がってきたライダーだが、最高峰クラスにはホンダ陣営ではなく、アプリリア陣営からデビューすることになった。このことは、ホンダにとっては痛恨とも見える。
■HRC渡辺社長が語る、ホンダのドライバー育成の今後「角田裕毅をテストだとしてもレッドブルに乗せるよう、ホーナー代表に強くプッシュしている」
ホンダとしては、今後ライダーをどう育成しようと考えているのか? そう尋ねると、渡辺社長は次のように語った。
「二輪も育成を一生懸命やっています。ホンダ・レーシングスクール鈴鹿がありますし、アジア・タレントカップもあります。日本だけでなく、アジアを舞台に育成をやっているというところもあります」
「そんな中で、小椋藍とソムキアット・チャントラが、来季MotoGP最高峰クラスに昇格することになりました。小椋はチャンスを活かしてアプリリアに行きました。一方でチャントラは、Honda LCRからMotoGPに上がることになりました」
今年はホンダの育成チームであるIDEMITU Honda Team Asiaから、Moto2クラスにタイ出身のチャントラとインドネシア出身のマリオ・アジが参戦中。来季はチャントラの後任として、國井勇輝が起用されることが発表された。またMoto3には、日本出身の古里太陽とタイ出身のタットチャコーン・ブーシュリがHonda Team Asiaから参戦中。来季もこのラインアップが継続されることになった。これらのラインアップを見ても、ホンダは日本だけでなく、広くアジアにも目を向けていることがよく分かる。ちなみにチャントラは、タイ人として初めてMotoGP最高峰クラスに挑むライダーということになる。
「もちろん、日本をベースにしているホンダとしては、日本人ライダーを重視しています。しかし、アジアの誰かをチャンピオンを目指して上げていくというスタイルもあります。そういう意味では、チャントラが昇格することで、我々の目標は達成されているんです」
■二輪開発にHRC Sakuraも活用
以前HRCは二輪のレース関係業務のみを担当する会社だったが、四輪のレース部門を統合して今年で3年目……二輪部門と四輪部門の協業を実現するのは、新体制になった当初から目指されていたことだが、それは徐々に実現されてきているという。それも活かしつつ、アプリリアから新たなテクニカルディレクターであるロマーノ・アルベシアーノを獲得することで、苦戦が続くMotoGPでの復活を目指している。
「四輪部門と二輪部門が一緒にやるというのは、だいぶ進んできています。すでに四輪のエンジニアが二輪の部門に転属するということも実現しています」
「四輪だけが優れているわけではもちろんありません。でも、これまでとは違う視点で見ていくという観点で言えば、二輪部門と四輪部門が一緒にやったり、開発施設を共有したりというメリットはあります。HRC Sakura(F1用をはじめ四輪用エンジンやパワーユニット、車体の開発拠点)の施設を二輪開発に使うということも始まっています」
「その上で、即断即決ができるような体制を築き上げました。それで開発のスピード感を上げましたということです。ロマーノさんにアプリリアから来てもらってやりたいのは、もう少し現場、つまりヨーロッパ側で物事を決められるような体制を作るということです」
■空力開発なら、ニューウェイさんに頼んでみては?
ホンダのMotoGPマシンの弱点は、空力面にあるのではないかと言われることもある。しかし渡辺社長は、空力”だけ”に問題があると考えているわけではないようだ。
「課題は空力というよりも、二輪マシン1台分をちゃんと見きれていないというのが一番大きいと思います。空力だけ直せばいいということではないと思います」
「エンジンパワーの出し方と車体のあり方とか、そういう部分も含めて1台全体を見てやらないといけません。エンジンパワーがバーンと上がればいいというモノではない……我々は他社に比べて全体を見れていなかったと思います」
「色々な要素が上がってきているのは事実です。だいぶ追いついてきた。でも、ひとつブレイクスルーがあると、もう少し改善できるんじゃないかと思うんですけどね」
ホンダはF1で、2026年からアストンマーティンと組むことになっている。そのアストンマーティンには、空力の天才と言われる伝説的デザイナー、エイドリアン・ニューウェイが加入することになった。ニューウェイはこれまで、数々のF1チャンピオンマシンの開発を担当してきたが、ヨットの開発など、他分野での空力・流体力学の開発にも興味を示してきた。
MotoGPの空力面でのブレイクスルーを目指すならば、アストンマーティンとの関係を活かしてニューウェイにアドバイスを求めてはどうか? そう渡辺社長に尋ねると、「いいかもしれない!」と語った。
「彼ならばそれこそ、色々な視点が出てくると思います。面白いかもしれないですね」
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みんなのコメント
社員扱いしているところ。
アスリート扱いしていない。
ノリックが最年少で全日本チャンピオン取ってもWGPには行かせず
御覧の通り・・・・
ホンダはね・・・
そこから考え方を変えなきゃ何も変わらんよ。
本当にアスリート扱いしてると言えるなら、もっとテレビに出演させたり
スポーツニュースに取り上げてもらうなり努力をしろよ。