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【試乗】新開発の1.5Lターボ&48V電気システムを搭載! メルセデス・ベンツCクラスが大幅改良

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【試乗】新開発の1.5Lターボ&48V電気システムを搭載! メルセデス・ベンツCクラスが大幅改良

 小排気量でも心配ない力強さと低燃費を両立させている

 メルセデス・ベンツCクラスがモデルチェンジを受け進化した。といってもフルモデルチェンジではなく大幅改良を施した年次改良だが、構成部品のおよそ半分にあたる6500個所のパーツを改良あるいは変更したということでフルモデルチェンジに匹敵する中味の濃い変化を与えられているという。今回は軽井沢で試乗機会を得たのでレポートしてみたい。

なぜセダンは人気がなくなったのか?

 Cクラスには4ドアセダンをはじめ2ドアクーペ、ステーションワゴン、コンバーチブルという4つのボディバリエーションがあり、さらにそれぞれに180、200、43AMGというグレードが展開されていて幅広いラインアップが用意される。今回はシリーズの中心モデルとなるC200セダンを中心に、43AMGセダンそして180ツーリングワゴンの3モデルに試乗してみた。

 まずC200セダン。外観の意匠変更は少ない。現行CクラスとなってSクラスのような流麗なスタイリングは人気が高く、大きな変更をマーケットが求めていないというのが理由だ。それでもフロントラジエターグリルまわりやリヤコンビネーションランプ、リヤバンパー下部など小変更を加え差別化はきちんと図っている。

 しかしコクピットに乗り込むと雰囲気は大きく変化し進化していた。まず目がいくのは大きなディスプレイモニターがインパネセンター上部に備わったことだ。10.25インチのワイドディスプレイはナビゲーション情報のほかさまざまなインフォメーションを表示してくれるが、大きくて非常に見やすい。メーターナセル内も液晶化され、こちらは12.3インチの特大ディスプレイとなった。メーター表示はすべて液晶によるグラフィックであり表示メニューも多彩。これらは上級のEクラスやSクラスと相通じるもので、ステアリングホイールも同様にアップグレードされている。

 さて注目すべきはパワーユニットにある。C200に搭載されたのは新開発の1.5リッター直4ターボエンジン「M264型」だ。これに新技術のBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)を組み合わせ48Vの電気システムを採用している。簡単に言えばマイルドハイブリッドなわけだが、48V電気システムと融合させることで一層の効率性や快適性、高性能性を実現しているというのだ。48V電気システムは1kWhのリチウムイオンバッテリーにより蓄電され電動パワーステアリングなどの電装品を駆動するほか、必要に応じ14馬力、160N・mのパワーアシストをエンジンに対して行う。

 フルハイブリッド車のようなEV走行はできないが、エンジンの回転振動が抑えられていて静粛性も優れている。心配されるのは1.5リッターというダウンサイジングされた排気量のエンジンによる駆動力だが、発進時はジェネレーターが最大160N・mの駆動アシストを行うのでパワー不足感は皆無。それどころかジェネレーター特性として瞬時に最大トルクが発揮されるので、むしろパワフルに感じられるほどだ。

 ジェネレーターアシストが加わったことでエンジンのトルクピークはやや高回転に振られ、ツインスクロールのターボチャージャー特性と組み合わされ4000回転以上では非常にパワフルに感じられる。ジェネレーターとエンジンそれぞれのトルクピークが連続するので低速から高速域までパワーによどみが無く力強い。ただ単純にダウンサイジングしたわけでないことが、この走りからも伝わってきた。

 トランスミッションは9速のトルコンATが搭載され、ステップ比が細かく刻まれたことでさらに力強さの連続性を際立たせているようだ。9速で時速100km/hのクルージングをするとエンジン回転は1300rpmほどであり高速巡航ではディーゼル並みに低燃費を稼ぎ出しそうだ。

 ハンドリングは従来からアルミ構造で軽いフロントセクションが抜群のアジリティを示し、軽快でライントレース性も高い。今回よりランフラットタイヤを廃止したことで路面からの突き上げ感も減少。快適性とハンドリングが向上し走りはより上質なものとなっていた。

 4WDでもFRのように走りを楽しめるAMG43

 次にスポーティグレードのAMG43セダンを試す。AMGモデルは独特のオーラを放ち、佇まいからして普通グレードのCクラスとは全く違う存在感がある。コクピットのデザインはほかのCクラスと共通だが、本革で仕上げられ高級感とスポーツ性に溢れている。

 AMG43に搭載されるパワーユニットは3リッターV6直噴ターボエンジンだが、ターボチャージャーを大型化し従来モデルより23PSも出力を向上。最高出力は390PSにもおよぶこととなった。さらにAMG独自のAWDシステムである4マチックと組み合わされている。この4マチックはE63S 4マチック+のようなドリフトモードこそ持たされていないものの、前後のトルク配分を31:69と後輪よりに固定配分し、FRのような操縦性を実現している。

 エンジンを始動するとAMGらしい迫力ある排気音に魅了される。ドライブセレクトモードをスポーツ+に設定すればさらにエキゾーストのフラップが開き、レーシーなサウンドに切り替わる。このエンジンサウンドを聞きながら走らせるだけで非日常的な気分に浸れる。

 V6エンジンを搭載しても搭載位置はフロントミドシップ寄りであり、ノーズのアジリティは維持されている。またロールを抑えた車両姿勢からコーナーでの限界が高く、攻めこんでもアンダーやオーバーを示さない安定した4マチックハンドリングが実現されていた。後輪2輪駆動のC63はよりハイパワーなV8ツインターボエンジンを搭載され今秋以降に登場する予定だが、扱い安さ、全天候性など一般道においての総合バランスはC43がもっとも優れているといえそうだ。

 最後にC220dのステーションワゴンに試乗した。C220dには最新のEクラスやCLSから導入された2リッター直4クリーンディーゼルターボエンジン(OM654型)が搭載されている。軽量なアルミ製シリンダーブロックが採用されCクラスのアジリティを損なわないハンドリングをディーゼルモデルでも実現しているのだ。

 ステーションワゴンボディは前後重量配分がクーペやセダンより優れており、とくに動的バランスが高い。ブレーキングやコーナリング時の姿勢が安定しており、運動性能の資質の良さが伝わってくる。欧州ではディーゼルエンジンは消滅する傾向にあるが、燃料コストが抑えられる国内においてはディーゼルモデルの拡充は必須で、新エンジン投入により魅力は大きく高まったといえるだろう。

 最近大幅改良という言葉がブームとなって各社相次いで導入している。これには意味がある。それは欧州をはじめビッグマーケットである中国が、自動車の電動化に大きく舵取りしたということだ。電動化にあたって従来のモデルラインアップを見直し、ゼロからスタートしてフルモデルチェンジさせたら莫大なコストがかかる。大衆車として多くの人に受け入れてもらうためには低コストで販売できることが必要不可欠でもある。

 現時点でフルモデルチェンジすることに莫大なコストをかけていたら電動化に回すべき開発費を新たに調達しなければならない。使えるものは使い、電動化への下準備として開発すべき補器類などのパーツを現行モデルのうちに投入し、実績の構築と開発費を分散させることが狙いと言えるだろう。48VのバッテリーシステムはEV車では必須となり、48Vで駆動させる電動パワーステアリングや電動ポンプ、電動エアコン(現状SクラスのISG車のみ採用)など現行モデルに投入できるものから仕込んでいくことでEV車の開発費を抑えることも可能となる。

 そういう意味で各社の大幅改良モデルは過渡期の仕様といえるが、そこをいかに現在の魅力として引き出し意味合いを付加できるかが課題だ。新型Cクラスはそういう面でも成功しているといえるクルマだった。

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