ディヘドラル・ドアに感じる高い技術力
執筆:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
<span>【画像】新ブランドの新モデル ウェルズ・ヴェルティージ 競合のMRスポーツと比較 全75枚</span>
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ウェルズ・ヴェルティージの車内へ、筆者の小さくない身体を滑らせる。ドライバーズ・シートはタイトだ。ディヘドラル・ドアを閉めると、今までにない特別なクルマに乗ったという実感が湧く。
このクルマを製作したのは、技術者と起業家という2人の熱狂的な自動車ファン。これまでに5年半の時間が費やされおり、高い技術力を感じ取ることができる。3世代目のプロトタイプだというが、まだドアの仕立ては目指す水準には届いていないという。
2016年以来、2人は英国東部のソウザンの町でスポーツカーの開発に取り組んできた。フォードの2.0Lユニットとトランスミッションをミドシップする、オリジナルモデルの設計とデザインに。
駆動系は既存部品から吟味して選定されているが、シャシーやサスペンションなどの設計から製作、ボディのデザインまで、2人が進めている。バーティジという車名の決定も。
目標は2022年の半ばから、年間25台のペースでこの小さなクルマを製造することだという。想定している値段は、英国で4万ポンド(620万円)から5万ポンド(775万円)だ。
この手の少量生産のオリジナルモデルは、開発が不十分だったり、組み立て水準が低かったり、非現実的な価格設定だったりということが多い。だが、ウェルズは違う。スタイリングの完成度を見れば、その一端が理解できると思う。
理想的な1台がないなら自分でつくろう
ヴェルティージはあらゆる角度から見て美しい。数か月前のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでこの姿が発表され、多くの人から優れた反応を得たというが、それも納得できる。
大きなディヘドラル・ドアは、隠れたヒンジで滑らかにスイングする。きれいに閉まり、ロックされる。ドアの開閉でクルマの印象が良くなることがあるが、これも同様だ。
このようなメカニズムを設計し、実際に機能させることは、メルセデス・ベンツ級の大企業でも簡単な仕事ではない。ヴェルティージの仕上がりに、強い期待を持たせてくれる。
ステアリングコラムは上下だけでなく、前後方向にも調整できる。メーターパネルも一緒に動き、ステアリングホイールのリムでメーターが隠れる心配はない。こんな部分まで、しっかり考えられている。
ヴェルティージを作るに至ったきっかけは、起業家のロビン・ウェルズ氏が、8年前にスポーツカーを買いたいと考えたことだった。英国製モデルを検討したが、理想的な1台に出会うことができなかったという。
彼にはアイデアがあり、生み出すのに充分な資金もあった。ないなら自分でつくろうと、決めたのだ。
ウェルズは、マクラーレン12Cやロータス・エボーラなど、複数のモデルを所有した経験から、スタイリングのイメージを膨らませた。芸術的な才能も備えていることに、疑いはない。レトロなデザインを避けつつ、流麗なボディを描き出した。
ボディのデザインもシャシーの設計も自ら
実際、ウェルズはクラシック音楽への造詣も深い。古くからの明言に、建築は凍結した音楽である、というものがある。カタチは違っても、芸術という点で共通しているのだ。クルマのデザインも、同じものだと彼は考えている。
5年半ほど前にウェルズはデザインを仕上げ、作りかけのシャシーとともに、ボディを知人のロビン・ホール氏の元へ持ち込んだ。彼はBMWミニのシャシーや軍事的な車両開発など、多くの経験を有するエンジニアだ。
ボディのデザインとクルマのコンセプトは明確で、ホールも共感してくれたが、フレームの設計は充分とはいえなかった。最初から設計し直す方が簡単だったらしい。そこでCADに向かい、さらに1年半を費やした。
といっても、ウェルズは中東での事業が忙しく、ホールも別のクライアントの案件に取り組んでいた。作業はゆっくりと進み、高張力鋼板によるモノコック・シャシーと、鋼管による前後のサブフレームが練られた。
設計がまとまり、ヴェルティージが製造段階に入ったのは3年前。CADの画面だけでなく、実際にカタチにすることの難しさと重要性を、2人は良く理解していた。
ケブラーを用いた複合素材のボディは、3度も試作。このプロトタイプでは、技術力の高い地元企業へ依頼して作られている。エグゾーストはステンレス製だが、4度の試作を経ており、ホールのチームが製造を担当している。
「生産台数が少ないとしても、自動車メーカーになるには粘り強さが必要です。孤独を感じる時も珍しくありません」。とウェルズが説明する。
NA 2.0Lで最高出力210ps、車重850kg
2人はウェルズ・モーターカーズ社を設立し、ヴェルティージのサプライチェーンが構築された。例えばアルミホイールは、スピードライン社へ依頼したオリジナル品だ。まだ開発の最終段階として、苦労しそうな課題は多く残っている。
量産モデルの生産は、2022年の夏頃にソウザンにある施設で始まる予定。ホールが所有する建物のそばに、組立工場が完成するという。
これまでに、このプロジェクトの投資者へ提供される、ファウンダーズ・エディションが7台、試乗してくれた一般の顧客向けに5台が売れている。ウェルズ・モーターカーズ社の事業は、本格稼働が始まっているといえるだろう。
2人が作り上げたヴェルティージは、高剛性の小さな2シーター・クーペだ。車重は850kgと軽く、フォード由来の2.0L 4気筒ツインカムの自然吸気ユニットを、横方向でミドシップする。最高出力は標準仕様で210psだという。
パワーは大幅に引き上げることも可能だが、ウェルズにとっての優先事項ではない。現在の仕様でも、0-100km/h加速を4.6秒でこなし、最高速度は225km/hに設定される。まったく不足はない。
「本質であることが、喜びを生みます。速いクルマを目指していますが、恐ろしく速くはしません」。と考えを話すウェルズ。
ユニークなデザインのドライバーズシートに身体を収めると、小さなGTレーサーに乗ったような印象を受ける。とてもエキゾチックな車内だ。
この続きは後編にて。
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