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ランド・ノリスのF1王者挑戦、チャンスはいかほど?? 僚友ピアストリの働きぶりが大きな要素に

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ランド・ノリスのF1王者挑戦、チャンスはいかほど?? 僚友ピアストリの働きぶりが大きな要素に

 F1の夏休み明け最初のレース、オランダGPはマクラーレンのランド・ノリスによる圧勝で終わった。マクラーレンは今最も速いマシンを手にしているとも言われているが、ノリスの今シーズンのドライバーズチャンピオン獲得の可能性はどの程度あるのだろうか。

 オランダGPでノリスは2位となったランキング首位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に20秒以上の大差をつけて勝利。ファステストラップももぎ取ったため、フェルスタッペンとノリスのポイント差は70点まで縮まった。

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 今シーズンの残りレースはあと9戦ある。数字の上ではノリスにタイトル獲得の可能性があることは明らかだが、この70点という差をこの短期間で逆転させたドライバーはこれまでいない。

 もしノリスによる逆転王座獲得があれば、それはルイス・ハミルトンの来季フェラーリ移籍よりも、更に大きな衝撃を与えるドラマとなるはずだ。

 そんなノリスのタイトル獲得が現実のものとなる可能性はあるのか? 反語のような物言いとなってしまうが、その答えは『イエス』だ。ただ、そこには『しかし』という注釈がつきまとってくる。

 ノリスのレースエンジニアであるウィル・ジョセフは、ハンガリーGPの際チームメイトのオスカー・ピアストリに対して先行させるように頼んでいた。ノリスのタイトル挑戦には、チームの協力が必要であり、ひとりでは望めないことだと述べていた。

 そして、マクラーレン陣営の考えは正しい。ノリスが2024年タイトルを獲得するためには、ピアストリの協力が必要不可欠となっており、ライバルのフェルスタッペンを抑え、妨害するための動きが必要なのだ。

 現状の70ポイント差という点差は、ノリスが残る9戦、スプリント3戦の全てで優勝したとしても、フェルスタッペンが2位に入り続けた場合には、タイトルに4ポイント届かない計算(ファステストラップ除く)となる。

 もちろんファステストラップのボーナスポイントを5回得られれば計算は覆るが、これはライバルの戦略に左右される不安定な要素だ。なにより、レッドブルはもしセルジオ・ペレスのトラックポジションを犠牲にしなければならない状況で怯むだろうか? 端的に言ってそれはないだろう。レッドブルはそのような状況なら、片方のドライバーを必要としないはずだ……。

 そのため、“全勝”戦略を試みたとしても、ピアストリは両者の間に少なくとも2回割って入らなければ、戦略自体が有効なものとはならない。そしてノリスが優勝を1回逃すたび、ピアストリに求められるサポートの回数も増えていくことになる。

 なおノリスが今年残りのレースで勝てずに2位が続いた場合、フェルスタッペンは4位と5位を数回達成するだけで、今年も楽々、連覇が達成可能だ。そしてレッドブルはかつての優位性を失っているとはいえ、表彰台を逃し続けるほど衰退してはいない。

 そしてノリスにとっては、レッドブル以外の他チームもまた厄介な存在だ。メルセデス、フェラーリも競争力を上げていて、マクラーレンと競い合う存在になっており、そちらにも負けるわけにはいかないのだ。

 もちろん、メルセデスやフェラーリがフェルスタッペンに先んじれば、マクラーレンの目標は十分に叶うだろう。しかしこれもやはり運任せのようなもので、それではノリスのタイトル獲得は保証できない。マクラーレンには、速さでレッドブルを上回り、結果を持って帰ることができるドライバーが必要だ。

 ノリスはオランダGPで、レースに勝つために完璧さは必要としていないことを証明した。スタートに失敗しても、ペース差とタイヤマネジメントから追い抜きのチャンスを狙うことができたのだ。ノリスにはスタートが良くない傾向もあったが、少なくとも現時点でそのプレッシャーは軽減されつつある。後から上手くやれることがわかっていれば、スタートはさほど重要ではなくなるためだ。

 マクラーレンは今後、大きく戦闘力を上げたマシンで可能となった上位争いに、ドライバー2名がしっかりと加われるようにして、さらに必要となった場合には、難しい決断も恐れてはならない。でなければノリスのタイトル獲得の芽はなくなるからだ。

 前述のノリスのレースエンジニアであるジョセフはハンガリーGPでこう語っていた。

「チャンピオンシップを勝つためには、自分ひとりではダメだ。君にはオスカー、そしてチームが必要なんだ」

 これは予想よりも早くタイトル挑戦権を掴んだマクラーレンの“マントラ(真言)”なのだろうか? もしそうなら、ぴったりな言葉かもしれない。マクラーレンはレッドブルには実現できていないチームメイト間の均衡を示すことができているし、肝心なタイミングでそれが違いを生み出す可能性がある。『しかし』、ピアストリのサポートが必要不可欠だ。

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