83歳の現役ドライバー 相棒は70歳
世界ラリー選手権で活躍するエルフィン・エバンスとコ・ドライバーのスコット・マーティン、そしてトヨタ・ヤリスWRCの年齢を足すと、やっと70歳を超えるくらいになる。一方、ベテランドライバーのボブ・ビーン、コ・ドライバーのコリン・トンプソンとフォード・ロータス・コルティナを同じように考えてみると、答えは212歳になる。
ボブ・ビーンは英国ラリー界の伝説的存在であり、83年のうち62年間ラリーを続けているが、衰える気配はない。最近の彼の武器は1963年製の由緒あるフォード・コルティナ・ロータスで、1968年以前のクルマが参加するカテゴリー1のヒストリカルレースで活躍している。
彼のコ・ドライバーであるトンプソンは70歳と“若く”、ヨークシャー人民民主共和国(80年代のシェフィールドを揶揄する言葉)を代表する強力なコンビだ。正確には、クレックヒートンという、そこから1kmほど離れた場所に住んでいる。
ビーンの情熱は英国ラリー界でも際立っており、ヨークシャー出身らしいユーモアのセンスが光っている。彼はトンプソンとともに、5日間、計515kmに及ぶロジャー・アルバート・クラーク・ラリーに参戦したばかりだ。
たくましいビーンは、RAC(王立自動車クラブ)ラリーやロジャー・アルバート・クラーク・ラリーに40回以上出場した経験をもとに、すべてを楽々とやってのけている。
衰えを知らない視力と情熱
数年前のロジャー・アルバート・クラーク・ラリーで、ビーンらしいエピソードがある。
サービス・ストップに到着したビーンは、笑い転げながら、ヨークシャー人ならではの出来事を告白した。スペシャルステージの序盤、隣に座るトンプソンのペースノートがほとんど聞こえず、インターコムに問題があるに違いないと訴えたのだ。しかし、ステージ終了後にヘルメットを脱いでみると、トレードマークのフラットキャップをかぶっていたため耳が塞がれ、コ・ドライバーからの情報が届かないという事態に陥っていた。
「コ・ドライバーというだけでなく、介護者でもあるんです」とトンプソンは自分の役割について冗談交じりに語る。
1980年代初頭、愛するヨークシャーの森で初めて一緒にラリーをした2人は、その後40年にわたり頻繁に競技を続けてきた。
「もうやめたいとは思わないよ」とビーン。「どのイベントも楽しかったですから」
経験したイベントの中には、RACラリーへの挑戦のほか、これまでに14回開催されたロジャー・アルバート・クラーク・ラリーの第1回目を除くすべてのラリーもある。
「これは生き方であり、今でも好きなんだ」
驚くべきことに、ビーンは眼鏡をかける必要がなく、霧が降りたステージも好んでいるという。60歳以上のドライバーの多くが霧や暗闇のステージを嫌う中、彼は視界が悪いときに本領を発揮する。
ラリーのトップエンドは若者のスポーツかもしれないが、それ以下になると、年齢は障壁にならないのだ。
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