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スーパーGTのシーズンオフテストは何をしていて、どんな種類があるの? をおさらい

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スーパーGTのシーズンオフテストは何をしていて、どんな種類があるの? をおさらい

 2023年のスーパーGTもシーズンがすっかり終わり、2024年に向けて体制発表もスタートしている。今後2024年になれば、さらに体制発表も行われることが予想されており、1月下旬にはマレーシアのセパンサーキットでGT500のテストも始まっていくはずだ。ところで、スーパーGTにおいてはテストの種類が非常に多く、かつ制限も多い。オートスポーツwebでテスト情報を掲載することも多いが、そんなテストの種類を把握しておけば、より理解を深めることができるはずだ。2023~2024年のオフに向け、テストの種類を説明しておこう。

 スーパーGTにおけるテストは、スポーティングレギュレーションの付則事項として記載されている。2024年のスポーティングレギュレーションはまだ発表されていないが、ここでは2023年のレギュレーションを参考にお届けしよう。

スーパーGT、2024年も開幕前に岡山と富士で公式テストを実施。日程が発表

 まず、多くのファンが訪れることからご存知の方も多いと思うが、シーズン開幕前に2回開催されるのが公式テスト。例年は岡山国際サーキット、富士スピードウェイで開催されており、それぞれ4時間×2日=8時間のテストが行われる。

 公式テストはGT500クラスの車両はセンサー類の装着が可能になっていたり、チーム間でのドライバーの乗り換えが認められていないといった事項も記載されているが、シーズン開幕を前に初めてGT500とGT300が混走するセッションであり、GT300ではルーキーテストも行われる。

 また公式テストの名が示すとおり、GTアソシエイションが実施するテストであり、いずれもサーキットとの協力でファンを集めてのイベントとして開催される。場内実況もあり、誘導スタッフも配置。期間中はピットビューイングなども行われる。ファンにとっては、レースではいけないコーナーに行ってみたりとゆったりと楽しむことができるイベントだ。

 ちなみに、このスタイルのテストは日本独特。その年にスーパーGTに参戦を開始した外国人ドライバーが「テストなのにこんなに人が来ている!」と驚くのは毎年恒例の光景だ。

■タイヤメーカーテストで若手がマイレージを伸ばすことも可能
 一方、この公式テストの1回目(2024年は岡山)から最終戦までは“シーズン中”であり、テストが制限される。その中でも実施可能なのが『タイヤメーカーテスト』、『GT300車両のスポーツ走行』、『シェイクダウンテスト』、『GT3メーカーのテスト』となる。

 しばしばドライバーのコメントからも聞かれるタイヤメーカーテストについては、最大16時間を限度とし各タイヤメーカーがテストを行うことができる。GT500で前年未勝利のメーカーは、これに加えて最大16時間行うことができ、合計32時間のタイヤメーカーテストを行うことができる。GT500の経験が少ないドライバーがチームに所属していた場合は、走行時間を大きく増やすことも可能だ。

 ただタイヤメーカーテストは、GTアソシエイションに事前に申告を行わなければならず、シリーズ戦の開催コース以外は禁止。レースの3週間前からテストは禁止されるなど、細かく制限が設けられている。なおこちらはGT300も参加が可能だ。

 また、ドライバーポイントが10ポイント以下のGT300のドライバーは、走行予定日の2週間前までに申請し、事前の許可を得ることで、スーパーGT開催コースで行われるスポーツ走行に参加が認められる。また新型車、新造車のシェイクダウンテストについては、事前申告を受けGTアソシエイションが個別にテスト可否を判断する。しばしばGT300の新車のシェイクダウンにスポーツ走行が使われるのもお馴染みだ。また、FIA GT3供給メーカーのテストも認められる。

■近年始まったGT300向けの『GTEテスト』
 ここまでがオンシーズンのテストに関する規定だが、シーズンオフテストについては規定が少ない。参加車両はスーパーGTに参戦しているGT500クラス車両15台と、参戦自動車メーカーの開発車両(各メーカーにつき1台。TGRの90号車、ニッサンの230号車、ホンダの99号車がこれにあたる)に限られると定められる。またウエットタイヤのメーカーテストも可能だ。規定についてはこの程度で、細かく定められているわけではない。

 ちなみにGT500のシーズンオフテストは、かつてはGT300クラスチームの“相乗り”での参加も認められていたが、一時GT300車両のトラブル等による赤旗中断が多かった時期があり、以来GT300の参加ができなくなってしまった。新車導入時等であればGT300はスポーツ走行に参加することも可能だったが、オフにテストを行う機会がかなり減少してしまっていた。そこで、スーパーGT参戦チームで構成されるGTエントラント協会が主催し開催されるようになったのが『GTエントラント協会テスト(GTEテスト)』だ。2022年には富士で初めて開催される予定だったが、降雪のため中止に。2023年が実質の初開催となった。

 その後もGTEテストは、カーボンニュートラルフューエル導入に向けたテストとして2023年は二度開催されている。ちなみにこのGTEテストは特にスケジュールが公開されているわけではないが、これまで観覧制限等は聞いたことはない。ピット裏等も比較的オープンな雰囲気だ。

■GT500のシーズンオフテストは原則非公開
 そして、オフに頻繁に行われるのがGT500のシーズンオフテスト。参戦する3メーカーのいずれか、もしくはタイヤメーカーが“幹事”となり、サーキットを専有するかたちで行われる。公式テストと異なり、その日程は関係者外秘で公開されない。

 なぜ公開されないのかというと、基本的にGT500のシーズンオフテストは、メーカーにとって「できれば知られたくない&見られたくない」メニューをこなしていることに加え、理由がある。筆者も取材時、メーカーのスタッフの方と「公開にすれば良いのでは」と話したことがあるが、やはりファンを入れるとなると、“見せる側”にも準備が求められる。スタッフの増員や、サーキット側も受け容れるためのスタッフが必要。GT500のシーズンオフテストは必要なスタッフのみで行われており、それ以外に人数が割けないのが実情だと教えてもらった。

 ただし、決して観られないのかというとそういう訳でもない。幹事のメーカーが当初予定した時間を専有してテストが行われるのだが、それ以外の時間、場所はサーキットとしても営業しておきたい。スポーツ走行が行われていたり、例えば鈴鹿サーキットであれば遊園地は営業したい……等がある。サーキットを完全クローズにすることもできるのだが、費用が大幅に上がり現実的ではない。そのため、偶然たまたまサーキットを訪れたときにテストを行っていたら、観ることは可能だ(ただし今季から復活する1月のセパンでのテストはサーキットに入れない)。

 とはいえ、サーキットに「GT500のテストはありますか?」と問い合わせても答えてはもらえない。前述のように「できれば知られたくない&見られたくない」テストであり、“借主”であるメーカーが公開しないテストの内容をサーキットが伝えるわけにはいかないからだ。

 なお2023~24年については、新車が投入されることもあり新車両の開発テストも行われてきた。各メーカーの開発車は、各メーカーが“エース”と認めるドライバーがテストを担当した。彼らがテスト時に着るメーカーワークススーツ姿はもう少し見たいところではあるが。

■おまけ:GT500のオフテストは他競技の“非公開練習”と同様
 ちなみに、そんな秘匿性があるのがGT500のシーズンオフテストなのだが、オートスポーツwebでは例年参加台数が多い場所ではテスト情報をお届けしている。ただ、通常のレースの取材とはかなり勝手が異なる。3メーカーとサーキットに事前にテスト取材を伝え、注意事項を相談の上で取材している。3メーカーにオフのスーパーGTの話題をファンの皆さんに提供することをご理解いただき、専有されているサーキットに入れていただいている。

 撮影にもかなり制約が多いのだが、例を挙げれば「ピット内は立入禁止」「ピットボックス内は撮影禁止」「パーツの接写不可」などがある。基本的にコースサイドから撮影した走りの写真しかお届けできないのが通常だ。以前一度「走行写真でもドライバーのヘルメットが分からない写真のみ使用可」という条件が課されたことすらある。制約が多いことや、ふだんよりも取材できる量も少なく、なかなか経費と労力の関係から取材はしづらいので、現地で取材を行っているのは我々、J SPORTS、メーカーのオフィシャルフォトグラファーくらいだろうか。

「メーカーに迎合しているのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、GT500のシーズンオフテストはあくまでメーカーが専有しているサーキットで行われているものだ。そこに押しかけての取材に制約があることをご理解いただければ幸いだ。

 例えて言うなら、GT500のシーズンオフテストはプロ野球やサッカーにおける“非公開練習”だろうか。チームが非公開と言ったら、テレビだろうが新聞だろうが、特殊な場合以外はチームの練習場は入れないし、取材はできない。ファンも非公開練習は練習見学はできないし、練習見学ができているときでも、その内容をSNSで発信することを禁ずる制約を伝えられた経験をしたことがある方も多いのでは。GT500のシーズンオフテストはそんな性格のテストと考えていただければ分かりやすいのではないだろうか。

 今オフもオートスポーツwebでは可能な限りメーカーテストの様子を現地からお届けしていく予定だ。

文:AUTOSPORT web

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