4月14日、2023年のWEC世界耐久選手権はポルトガル南部のアルガルベ国際サーキットで第2戦の走行が開始され、初日のふたつのプラクティスではトヨタGAZOO Racingの2台のGR010ハイブリッドが速さを見せた。
ヨーロッパラウンドの幕開けを迎えた金曜日のパドックから、各種トピックスをお届けする。
トヨタ初日ワン・ツーも「ライバルとの差はさらに接近している」と小林可夢偉/WECポルティマオ
■ヴァンウォール、ル・マン前に『集中テスト』へ
フロイド・ヴァンウォール・レーシング・チームは、セブリングの後、「構造改革」を行ったとチームオーナーのコリン・コレスは語り、「ひどい週末だった」と振り返った。
「明らかにテストが制限され、明らかにオペレーションの面では思うようにいかず、ヒューマンエラーが多発し、結果的に可能な限り悪い結果を招いてしまった」とコレス。
コレスは、ル・マンの前にヴァンウォール・バンダーベル680の集中的なテストを行うことを仄めかした。
「いま、クルマはヨーロッパにあるので、当然テストには行く予定だし、可能な限りテストするつもりだ。マシンのベースは非常に強固なもので、あとはセットアップと性能の向上が課題だ」
「だが、マシンのパフォーマンスを向上させるためには、チーム内でミスを最小限に抑えなければならない。これが最大の目標であり、課題だ」
■次週、ポルシェ963カスタマー車両がシェイクダウン
ポルシェのファクトリーLMDhディレクターであるウルス・クラトレは、セブリングよりもポルティマオの方がポルシェ963の性能を最大限に引き出すのが簡単だと考えている。
「まず第一に、サーキットの特性。第二の理由は、(ポルティマオ前に行ったスパでの)テストとマシンに関するすべての分析を手にしているからだ」とクラトレ。
「フリープラクティス1が終わった時点で言えることは少ないが、ドライバーのコメントは希望を与えてくれるものだった」
なお、クラトレによれば、ハーツ・チーム・JOTA(WEC)とJDCミラー・モータースポーツ(IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権)のカスタマーポルシェ963は、来週バイザッハでシェイクダウンされ、それぞれのチームに引き渡される予定だという。
残るプロトン・コンペティション(WEC/IMSA)については、彼らのレースデビューに向けたスケジュールが緩いため、若干遅れる見込みだ。
■GTE時代の“悪夢”を懸念
ポルシェ963のドライバーであるミカエル・クリステンセンは、2年前のポルティマオ8時間レースにおいてGTEプロクラスで遭遇したことがある、レース中のタイヤのブリスターの可能性について懸念を表した。
「ブリスターが多くて、石のようにドロップしてしまうんだ」とクリステンセン。
「(LMDhでは)まだ、そんなことは起きていない。ここでは、まだそのようなことはには見舞われていないんだ。僕らはブリスターを作らないように全力を尽くすけど、これは僕らの脅威となりうる」
彼は、ポルシェがプラクティスでその特徴をシミュレートすることは、おそらく不可能だろうと付け加えた。
「僕らはセットアップやベースライン、パフォーマンスを向上させたいので、難しい状況だと感じている。1セットのタイヤで(プラクティス中に)ダブルスティントするのは難しいんだ。それをやると、セットアップが変えられないからね。答えは『ノー』だと思うよ」
■ダニール・クビアトの今後のプログラム
今年プレマからLMP2クラスに参戦し、先日ランボルギーニのファクトリーラインアップ入りが発表されたダニール・クビアトは、今年の初めにセブリングでアイアン・リンクスのランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2をテストしていたという。
ポルティマオにいるランボルギーニのモータースポーツ責任者ジョルジオ・サンナは、元F1ドライバーが将来的にGT3レースに登場する可能性があるかという質問に、次のように答えた。
「優先順位は高くないが、チャンスがあるのなら、そうしない手はないだろう」
サンナはまた、ランボルギーニが来年のWECとIMSAミシュラン・エンデュランス・カップで異なるドライバーラインアップを組むことに前向きであることを明らかにした。
クビアトの契約発表の中で、ランボルギーニは、クビアトが「両シリーズに出場する」車両の開発に協力すると記されている。現在までランボルギーニは、ミルコ・ボルトロッティ、アンドレア・カルダレッリ、ロマン・グロージャン含めた4名のドライバーを発表しており、来季はWECとIMSAにそれぞれ1台を送り込む予定としている。
「現時点では、我々はWECでの明確なドライバーと、IMSAの専任ドライバーを持つことを検討している」とサンナは述べている。
■サポートレースの大事故でスタンド閉鎖
ポルティマオでのイベントでは、唯一ポルシェ・スプリント・チャレンジ・イベリカがサポートレースとして組み込まれている。その練習走行中、ポルシェ991 GT3 Cupがターン1でクラッシュし、バリアを乗り越えて観客席に落下する事故が発生した。
Sportscar365に提供された声明の中で、FIAは「現在、情報収集中」とし、「FIAサーキット委員会によるレビューが行われる」としている。声明では、FIAがサーキットスタッフやイベント主催者と分析を行うため、車両が着地しスタンドは追って通知があるまで閉鎖されることも確認されている。
当該ドライバーのアレックス・アレイアは、メインストレートの終わりで車が「ブレーキが終わった」として、バリアを破ったときスタンドには「幸運にも」観客がいなかったと、後にソーシャルメディアに投稿している。
なお、WECのGTEアマで勝利経験のあるディラン・ペレイラも、このサポートレースでポルシェ991 GT3 Cupをドライブしている。
■IMSAとのバッティングで起きた変化
ベン・ハンリーがIMSAに出場するフィリペ・アルバカーキに代わって22号車オレカ07・ギブソンに乗ることで、ユナイテッド・オートスポーツは、2021年のポルティマオ大会以来WECで初めて、イギリス人だけのラインアップを組むことになった。
2021年のイベントでは、アレックス・リンが23号車をポール・ディ・レスタ、ウェイン・ボイドとシェアした。今年ハンリーは、フレデリック・ルビン、フィル・ハンソンと、英国人トリオを完成させている。
また、ユナイテッド23号車でトム・ブロンクビストの代役を務めるギド・バン・デル・ガルデは、WECでの永続的な復帰を積極的に模索しているわけではない、という。彼は過去2シーズンをIMSAで過ごしていた。
「もし彼らが僕を呼び戻すなら、僕は彼らと会話をし、それがどんなチャンスなのかを確認したい」とバン・デル・ガルデ。
「しかし一方で、本当に戦えるような良いパッケージ、良い契約、良いドライバーである必要がある。もしそうでなければ、僕はIMSAに留まることを好む」
今週末のポルティマオでバン・デル・ガルデは、IMSAにおけるコ・ドライバーであるジョシュ・ピアソンと連携している。
「セブリングでの彼のレースぶりは、本当に、本当によかったと思う。彼とともに(WECに)戻れたのはよかった。また、チームだけでなく、ジョシュや彼の周りの人たちのことを考えても、僕を車に乗せるというのは、とても賢い選択だったと思うね」
■低温が予想されるスパでの『コールド・タイヤ問題』
グッドイヤーは、スパ・フランコルシャンで行った複数のLMP2チームとのテストにおいて、複数のオレカ07・ギブソンが、低温コンディションになりがちなスパでタイヤウォーマーなしで走行した結果に勇気づけられたという。
LMP2タイヤサプライヤーの耐久レースプログラムマネージャーであるマイク・マクレガーは、「ドライバーが賢明で、正しい方法でタイヤを管理する限り、リスクはないと考えている」と語る。
「ドライバーがどのようにピットを離れるか、そして最初のアウトラップについては、一部のドライバーが他のドライバーとは異なる方法でタイヤに熱を入れる様が見られるかもしれない」
■ダラ・ラナさん、大忙し
ノースウエストAMRのポール・ダラ・ラナは、ポルティマオからスパまでの2週間弱の間に、忙しいスケジュールをこなしている。
98号車アストンマーティン・バンテージAMRをドライブするジェントルマンは、「来週初めにはロンドンで仕事があり、その後カナダで日曜日まで過ごし、またシンガポールに行く予定だ」と語った。
「そして、その後、ヨーロッパへと戻ってくるんだ」
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フェラーリのハイパーカー・チームは、持続可能なイベントの設計と管理のための国際規格である『ISO20121』の認証を取得した。
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プジョーは、ル・マン・ハイパーカーのレゴテクニックバージョンを発表した。1/10スケールの組み立て式で、1700以上のパーツから構成され、組み立て時間は9~10時間とされている。
プジョーのドライバーはこの製品の発表会に出席、自身のレゴの肖像画が贈られた。April 14, 2023
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走行2日目となる15日土曜日はフリープラクティス3のセッションが現地時間11時15分から60分行われたあと、15時30分(日本時間23時30分)からクラス別の予選セッションが行われる予定となっている。
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