アリア登場の流れ リーフに影響は?
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】リーフの隠れた兄弟 e-NV200とリーフ【比べる】 全52枚
日本車でEVの代名詞と言えば「リーフ」だが、新型EV「アリア」が登場することでリーフにはどのような影響が出るのか?
日産は今年(2020年)夏から秋を目途にアリアを発売する。これまでの日産幹部らの発言から、海外市場に先駆けて日本市場からの導入となる見込みだ。
車格で考えると、アリアとリーフは別のセグメントであり、アリアはリーフより上位車種になるイメージ。
第46回東京モーターショー(一般公開:2019年10月24日~11月4日)で公開された、「アリア・コンセプト」とリーフを比べると、全長は120mm長く、全幅で130mm広く、全高で70mm高いSUVである。
他のSVUと比べると、トヨタRAV4と全長は同じ、全幅は65mm狭く、全高で55mm低い。
RAV4の兄弟車で今年発売予定の「ハリアー」は、RAV4より長く低いフォルムになっているが、アリア・コンセプトはハリアーよりさらに30mm低い。
また、インテリア造形やデザインの雰囲気、目指す質感など、アリア・コンセプトには先進性に加えてプレミアム感が強い。
気になる価格だが、リーフより上位で搭載バッテリー量も大きく、また欧米や中国のEV市場の動向を踏まえ、さらに日本での実売を考慮すれば、ベースグレードで500万円台が妥当ではないだろうか。
こうした上位EVが登場することで、リーフは今後、どう変わるのか?
直近で世界で3番目に売れているEV
リーフの今後を考える上で、まずはEV市場の現状をおさえておきたい。
世界各国のEV販売事情を定期的に公開している、英文ブログ「ev-sales」によると、世界全体での2019年(1~12月)モデル別EV販売台数は次の通りだ。
第1位は、テスラ「モデル3」(30万75台)。2016年の発表以来の大量のバックオーダーをさばいている状況であり、当面はトップ独走態勢が続くかもしれない。
次いで、中国の北京汽車「EUシリーズ」(11万1047台)、日産リーフ(6万9873台)、中国BYD「Yuan/S2」(6万7839台)、中国上海汽車「Eシリーズ」(6万50台)、仏ルノー「ゾエ」(4万6839台)、韓国ヒュンダイ「Kona」(4万4386台)、BMW「i3」(4万1837台)、
テスラ「モデルX」(3万9497台)と続く。
中国勢が上位を占めているのは、2019年から本格的に始まった中国政府によるEV普及施策・新エネルギー車(NEV)への対応だ。
こうした世界市場でのEVシフトの中、リーフは善戦している、という印象だ。
とはいえ、今後はフォルクスワーゲン・グループのEVシフト戦略によるモデル拡充が確実な情勢で、日産としてリーフという商品の立ち位置を考え直さなければならないかもしれない。
そもそも、リーフの商品戦略は当初計画が何度か変更されてきた……。
日産リーフ、本来は4~5兄弟だった
筆者(桃田健史)が初めてリーフの実態に触れたのは2009年5月15日。場所は、北欧ノルウェーのスタバンゲル市だった。
世界的なEV関連の技術学会であるEVS24が開催され、欧州日産幹部が行った発表の中で突然、リーフの情報が登場した。
5ドアハッチバック、床下に駆動用バッテリー、車体前部にモーターや制御システムを搭載というイラストだった。
その幹部は「これまでEVというと航続距離が短く、都市内で移動するシティコミューターのイメージがある。日産はこうした常識を改め、ファミリーカーとしてのEVを2010年から量産する」と言い切ったのだ。
その後、日米で「ティーダ」をベースとしたEV実験車両がメディアで公開され、筆者は北米日産本部(米テネシー州ナッシュビル)敷地内でじっくりと試乗した。
2010年に初代リーフとして登場する前後になると、日産幹部らにリーフの将来構想について取材した。
その際に出てきたのは「リーフを軸足として、商用車やスポーツカーなど少なくとも4~5タイプのEVを段階的に市場導入する」という言葉だった。
ところが、社内外の様々な事情によって、実際に量産できたリーフ派生車は、2014年発売の商用車「e-NV200」のみ。2019年に生産は中止されている。
2017年、2代目リーフに入ってから、初代のような兄弟車計画は日産側から聞こえてこない……。
リーフの在り方、大幅な構想転換も?
初代リーフは兄弟車計画や、世界各国での充電インフラベンチャー事業など、様々な「寄り道」をしたが、結果的には自動車メーカーによる世界初の量産型EVとして自動車産業に大きな功績を残した。
そうした経緯を各地の現場で見てきた身として、正直にそう思う。
その上で登場した2代目の使命は、EV技術の熟成のみならず、コネクティビティや高度運転支援技術も備えた、日産がインテリジェントモビリティと呼ぶマーケティング戦略を支えることだ。
ただ、収益上、日本における日産の電動化事業の柱はリーフではなく、ノートやセレナに搭載するeパワーだ。
当然、リーフで培った電動化技術が活用されているとはいえ、リーフという商品が多モデル化するようなイメージではない。
さらには、新型コロナウイルス感染拡大により世界市場で多大なる影響を受け、極めて厳しい経営状況にある中、リーフを生んだゴーン体制を根本から見直して新生・日産への大転換を図る際、リーフの在り方を再定義する必要があるかもしれない。
日産はいま、2022年以降の事業計画を練っているが、引き続き日産の主力事業であるはずのEVについて、2020年アリア投入をきっかけに大幅な構想転換がなされても不思議ではないと思う。
リーフの動向について、これからもしっかりと見守っていきたい。
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みんなのコメント
シャシーはNV200だし、電池はリーフとは違って水冷式ユニットだし、モーターと制御くらいしか共通点がないような。
一連の計画で出てくるはずだったものを兄弟車って考えてるんだろうけど、自動車メディアで使う「兄弟車」は別の意味じゃないの?