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亡き父の遺志を継いで。ケン・ブロックの愛娘リアが1400PSの“フーニピガサス”でパイクスピークへ

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亡き父の遺志を継いで。ケン・ブロックの愛娘リアが1400PSの“フーニピガサス”でパイクスピークへ

 アメリカが誇る伝統の1戦、通称“Race to the Clouds(雲に向かうレース)”ことPPIHCパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムの2023年大会にて、故ケン・ブロックの愛娘であるリアが父の遺作でもある1400PSのモンスター4WD『Hoonipigasus(フーニピガサス)』をドライブし、将来的には選手として出場する可能性があることも示唆した。

 全長12.42マイル(約20km)、スタートラインの9300フィート(海抜約2830m)からフィニッシュ地点の14100フィート(同4300m)まで駆け上がり、156のコーナー制覇に挑む伝統の1戦は、今季もアメリカ・コロラド州で恒例の6月開催が予定されている。

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 その前年度、記念すべきPPIHC第100回大会となった2022年に、ブロック本人と自身の率いるフーニガン・レーシング・ディビジョン名義で発表された『フーニピガサス』プロジェクトは、この地で歴代ポルシェを走らせてきたスペシャリストでもあるBBiオートスポーツとの協業で、往年のル・マン参戦車である1971年型ポルシェ917/20、通称“ピンク・ピッグ”にオマージュを捧げるペイントスキームを採用した1400PSの怪物を走らせる計画となっていた。

 ただ残念なことに本大会を前にしたプラクティスから、当のポルシェは度重なるエンジン不調に見舞われると、バルブ破損からのエンジンブローを引き起こし敢えなく出走見合わせの憂き目に遭っていた。

 そして2023年の新春1月2日に、スノーモービルでの撮影中に不慮の事故に遭遇し、ブロック自身が還らぬ人となってしまったことも受け、このモンスター・ポルシェが『競争力のあるスピードで日の目を見ることはないだろう』と、世界中の多くのファンも考えていた。

 しかし、彼の3人の子供の中で最年長でもある16歳のリア・ブロックは、この6月のイベント会期中に非競技登録の“トリビュート・ラン”の名目でこのポルシェをPPIHCに持ち込み、将来は世界的に有名なこのヒルクライムにドライバーとしてエントリーする意思があることを明かした。

■母娘でラリーに参戦

 プロジェクトを担当するフーニガンのリリースには「リアは世界でもっとも恐ろしいヒルクライムレースのひとつにて、その類稀な性能を秘めたレースカーを操縦するには『かなりの量のトレーニングが必要である』ことを認めています。そのため、このトリビュート・ランのタイムは計測されません。ただしこれは、彼女が将来の達成を目指して挑戦する取り組みの一環でもあります」と記された。

「今年のリアの目標は、父の『フーニピガサス』をパイクスピークの頂上に連れて行くこと。そして彼女の父ケン・ブロックのビジョンを称えることです。究極のポルシェ911レースカーとして製造されたマシンの勇姿とサウンドを、多くのファンに提供することになるでしょう」

 かつてPPIHC制覇の経験を持つBBiと、世界的オイルブランドのモービル1が参画した同プロジェクトでは、モービル1のF1エンジニアチームが協力し、専用開発の燃料と潤滑油を供給するのに加え、公式パートナーシップの一環としてブランドを象徴する“モービル1・ハイ・フライング・ペガサス”の商標ロゴも掲げられた。

 そしてブロックのドライビングスタイルに合わせて特別に設計されたという“チョリゾ・トンネル”と呼ばれるトランスミッションハウジングは、ショルダーハイトからフロントアクスルに向け傾斜させることで低重心化にも貢献。車両総重量わずか1000kg以下に収められた『フーニピガサス』は、前年度大会のテレメトリーデータに基づいて作動する、リアルタイムGPS連動の車高&減衰調整機能付きサスペンションも備える。

 一方のリアも、偉大な父親の遺産を受け継いでモータースポーツに傾倒し、盟友トラビス・パストラーナが主催するNitroRXナイトロ・ラリークロスの4輪バギー“S×S(サイド・バイ・サイド)”クラスへの参戦や、北米ARAアメリカン・ラリー・アソシエーションではステージラリーにも挑戦中。

 母親であるルーシーもラリーに出場し続けており、先週末のオリンパス・ラリーでは父のトリビュート・カラーを採用したスバルBRZをドライブしたリアが、オープン2輪駆動クラス優勝、総合7位フィニッシュを記録し、フォード・フィエスタ・ラリー3で挑んだ母ルーシーはリミテッド4輪駆動クラスで4位、総合10位に入っている。

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