ホンダF1の黄金期である第2期F1活動に携わり、第4期活動では2018年からF1パワーユニット(PU)開発を率いたホンダの浅木泰昭は、強いF1チームには組織を率いる”親分”的存在がいると考えている。
フェラーリにおけるエンツォ・フェラーリ、ロータスにおけるコーリン・チャップマン、そしてウイリアムズにおけるフランク・ウイリアムズのように、かつてのF1チームでは創設者が代表として強いリーダーシップを発揮していた。
■ホンダが2026年にF1正式復帰するなら、もっとも理想的なパートナーはアストンマーチン……アストンマーチン・ホンダは実現するか?
しかし、時代と共にF1チームの形態にも変化が現れ、肥大化した組織を率いるチーム代表は”雇われの身”として、株主や役員が全体的なイニシアチブを握ることが当たり前となっている。
しかしF1チーム経営者の中には、未だに”異端児”もいる。そしてその存在が、F1においては特異的な強さに繋がると浅木は考えているという。
2022年シーズンに続いて、2023年シーズンも独走を続けるレッドブル・レーシングを”最強足らしめる要素”は何かと尋ねると、浅木は本田技研工業の創設者である本田宗一郎を引き合いに出し、レッドブル・グループの共同創業者であるディートリッヒ・マテシッツのF1プロジェクトにおける情熱が関係していると語った。
「レッドブルの強さはマテシッツさんの存在が大きかったと思います。本田宗一郎さんみたいに、創業者やそれに準ずる方がやると言ったらプロジェクトは続いていきますし、お金の使い方も違います」
「マテシッツさんがいたレッドブルもそうだったと思いますが、お亡くなりになられて、今後どうなるか分かりません。株式会社らしく株主の話などを聞く必要になるといったことになると、勝っている時は問題ありませんが、負けている状況だと『何しているんだ?』ということになりますからね」
「今までのレッドブルには無かったことです。みんなが安心して開発できるというのが強みだったと思います」
そして強いリーダーシップという点では、今季トップチームの仲間入りを果たしたアストンマーチンにも言えると浅木は続ける。
アストンマーチンは、オーナーのローレンス・ストロールの下、巨額の資金を投じてファクトリーを新設。レッドブルを含め多くのチームから技術者をヘッドハンティングしている他、今季からドライバーにはフェルナンド・アロンソを起用している。また先にF1チームを買い、のちにアストンマーチンという”ブランド”まで買って、両者をまとめ上げたところも、他のチームとは異なる存在だ。
「そういう意味で言うと、ストロールさんがいるアストンマーチンのようなチームは安定して成長しますよね」
「今は予算制限がありますが、それがない時代は”親分”がどれくらい資金を投入して良いと言うかで、できる作業量も決まってきた訳です。そういう影響も非常に大きかったと思います」
現在はメルセデス製カスタマーPUを使用するアストンマーチン。現状についてテクニカルディレクターのダン・ファロウズは「足を引っ張っている訳ではない」と語る一方で、ストロールがPUの自社開発を示唆するなど、フルワークス化も今後の選択肢となってくる。
一方で、2025年シーズン末で現在のパートナーであるレッドブル・グループへのPU供給が終了するホンダ・レーシング(HRC)は、新PUレギュレーションが導入される2026年に向けてPU製造者登録を完了。具体的な再参戦という結論には至っていないとするものの、HRCの渡辺康治社長は「複数のF1チームからコンタクトを頂いています」と明かしていた。
2026年シーズン以降への動きについて様々な憶測が飛び交う中、アストンマーチンとHRCのタッグ結成という可能性もあり得る。
2026年からHRCがパートナーとして組むべき相手は、長期的な成長が見込めるアストンマーチンなのではないか、と浅木に尋ねると、彼は次のように答えた。
「レッドブルと組むのが1番安定したんでしょうが、ホンダの撤退の影響で彼らはレッドブル・パワートレインズ(RBPT)を作らざるを得ないところに追い込まれてしまったので、(決別は)やむなしだったんだと思います」
「RBPTが上手くいかなかったら、やはりホンダということもあるかもしれませんが、少なくとも資金を大量に投じて、人材も雇っているのでそう単純ではありません。普通に考えるとレッドブルと組むのは困難で、そうなると勝てそうなチームはそんなに残っていません」
「レッドブルとホンダが組んだ時は、”世界一にして頂いた”という部分がありますが、もしレッドブルと別れても世界一になったら、ホンダが”世界一にした”と言えなくもないんじゃないかと思います」
「上手くいかなければ目的が果たせないことになりますが、上手く運べば(技術者の)さらなる自信に繋がると思います。勝負事というのはそういうモノですよね」
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