世界最大級の「カスタム」ショー
『SEMAショー(SEMA Show)』は、欧米の自動車業界において1年を締めくくるような一大イベントである。非常に大規模な自動車部品見本市であり、米国で毎年開催されている。
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今年の会場はラスベガスのコンベンションセンターで、1週間(11月5日火曜日~8日金曜日)の開催期間中に約16万人が訪れると予想されていた(本稿執筆時点では実数は未確認)。SEMAは、自動車のアフターマーケット、チューナー、カスタムカービルダーにとって世界最大のショーであることは間違いない。
展示されている品はどれもドラマチックなデザインで、見る者を圧倒する。特に目を引いた展示車両をピックアップして紹介しよう。会場の雰囲気が伝われば幸いだ。
ビュイック・グランドナショナル(1987年)
リングブラザーズ社は5000時間を費やしてグランドナショナルを「INVADR」というカスタムカーに変身させた。バンパーをステンレス製にし、ロッカーパネルを延長し、ボンネットにカーボンファイバー製のスクープを追加した。その下には、ダットワイラー・パフォーマンス製の3.8L V6エンジンが搭載され、2基のプレシジョン製62mmターボチャージャーによって、最高出力は1246psまで引き上げられている。
ジムコ1600クラス・バギー(2024年)
ジムコ・レーシング社は、50周年を記念して「1-2/1600デザートバギー」を発表した。カスタムされた2シーターのシャシーには、ヒメネス・レーシング・エンジン製の1600ccフォルクスワーゲン空冷エンジンが搭載され、カリフォルニア・パフォーマンス・トランスミッション製の改良型フォルクスワーゲン・トランスミッションが組み合わされている。このバギーは、創業125周年を迎える照明部品サプライヤー、ヘラー社のブースに展示された。
メルセデス・ベンツSLRマクラーレン(2006年)
SEMAの常連であるジョン・サーキシャン氏のショップ、Sクラブは、SLRをベースとするスピードレーサー・スタイルのロードスター「La SLR」をはじめ、複数のメルセデスを出展した。3Dプリントで製作されたワンオフのワイドボディキット、F1にインスパイアされたヘイロー、HRE S107ホイール、トーヨーのプロクセス・スポーツ・タイヤなどが目を引く。
トヨタ・セリカ(1972年)
この1972年型セリカは、フォーミュラDRIFTチームの代表で元輸入ドラッグレーサーのステファン・パパダキス氏によって発見されるまで、20年以上も放置されていた個体だ。骨格むき出しの状態まで解体されてリビルドされ、石油会社ENEOSのSEMAブースに到着するまでの様子がソーシャルメディアに投稿されている。18R-G型4気筒8バルブツインカムエンジンは2.2Lにボアアップされ、44ミクニPHHサイドドラフトキャブレターを装備し、モータースポーツ仕様のワイヤーハーネス付きリンクECUを搭載している。
プリムスGTXエレクトロモッド・コンセプト(1967年)
ステランティスは、全米自動車労働組合(UAW)のストライキを受けて2023年のSEMAショーから身を引いたが、今年はモパーのコンセプトカーを携えて戻ってきた。このフロストバイト・ブルーのレストモッド車両は、次世代のパワートレイン「e-Crate」を紹介するものだ。近日発売予定のダッジ・チャージャーEVの主要コンポーネントを採用し、カーボンファイバー製ボンネットの下に最高出力335psのモーターを搭載、3:1の減速ギアを介して後輪を駆動する。73KWhのバッテリーはエンジンルームとトランクに分割配置されている。
ホンダ・パイロットHRCプロトタイプ(2024年)
ホンダ・レーシング・コーポレーションUSA(HRC、旧HPD)は、オンロードおよびオフロード用のカスタムパーツを一般消費者向けに販売する新しいビジネスを立ち上げている。SEMAでは、SUVのオフロード性能を高めるためにHRCが設計した実験的製品を装着したパイロットのプロトタイプを展示。このほか、ホンダブースには9台のレーシングカーとスペシャルプロジェクト車両が並んでいた。
シボレー・ベルエア(1957年)
このチェリーレッドのベルエアには、GMの元エンジニアで、アリントン・パフォーマンス社のCEOであるマイク・コープランド氏が製作した水素パワートレイン「エーデルブロック・スーパーチャージドGen3ヘミ」エンジンが搭載されている。持続可能な燃料と伝統的なエンジンのフィーリング&サウンドを、ホットロッドでも両立できることを証明するために設計されたマシンだ。コープランド氏とドラッグレーサーのクレイ・ミリカン氏とジェフ・ルッツ氏によって組み立てられた。
キアPV5 WKNDRコンセプト(2024年)
キア・デザインセンター・アメリカ(KDCA)は、今年のSEMAで2つのコンセプトを発表した。週末のアウトドア旅行用にデザインされたこのバンは、今年初めのCESでデビューしたEV PBVバンをベースにしている。リフトアップされ、オフロードタイヤが装着され、フレキシブルなモジュール式インテリアを備えている。停車時にアウトドア・ギアを収納するための車外収納庫「ギアヘッド」を搭載し、車内スペースを最大限に確保できる。
フィアット500(1965年)
英国のサウスポートからやってきた「プロジェクト・ブルーノ」。ドゥカティ996のエンジン、トランスミッション、ワイヤーハーネス、ECUを組み込んだワイルドなホットロッドだ。製作者のペトロヘドニズム社とザ・ディップ・モンキー・ガレージ社は、カーボン製ボンネットおよびルーフ、EBCレーシングブレーキ、巨大なリアウイングを追加し、会場でもひときわ目立つカスタムカーに仕上げた。このワンオフマシンは6万5000ドル(約1000万円)で販売されている。
日産キックス・ビーチパトロール(2024年)
2025年モデルの新型キックスが今年初めに発売されたが、SEMAでは日産が2台のカスタムカーを披露した。AUTOCARのお気に入りは、このキックス・ビーチパトロールだ。レスキュートラックにインスパイアされたもので、地上高を50mmアップし、18インチのNISMOホイールとヨコハマのオールテレーンタイヤを装着している。カスタムのアンダーボディプロテクション、追加ライト、トラクションボードとサーフレスキューボード用のカスタム・ラックマウントが外観を完成させている。
フォード・ロードスター(1932年)
フォードのマークが描かれたバルブカバーに惑わされてはいけない。このロードスターはシボレーのLS3エンジンにBorlaインジェクションを搭載している。フロリダ州のオーナー、スコット&ステファニー・モヴィック夫妻のために、ミズーリ州のエース・ファブリケーション社が製作したもので、ロングホイールベース、オープントップ、エアコン付きのシートが装備されている。ポルシェ・エトナ・ブルーのペイントはショー・ミー・ロッド&カスタム社が施した。本稿執筆時点では、エース・ファブリケーション社のクリス・クラーク氏が、SEMAの毎年恒例の大会「バトル・オブ・ザ・ビルダーズ」のトップ12ファイナリストに選ばれている。
ACエース・クラシック・エレクトリック(2024年)
コブラの前身であるACエースをカーボンボディの電動モデルに仕上げた車両が、SEMAショーで発表された。トレメック・エレクトリックGT eGT413モジュラーEVプラットフォームが推進力となっている。2500ポンド(1136kg)を下回る車体重量と300psの出力により優れたパフォーマンスを発揮するはずで、72kWhのバッテリーで約320kmの航続距離を実現する。手作業で組み立てられ、納車開始は2025年を予定。価格は27万5000ドル(約4200万円)+地方税。
ジープFJ6Aポスタル・ビークル(1965年)
ネブラスカ州リンカーンのFTPスピードショップ社の作品は、今年のSEMAで唯一のポスタル・ビークル(郵便車)だ。「ツインスネイルメール」と名付けられたこの最高出力517psのショートホイールベースのバンなら、速達も問題なく行えるだろう。ツインターボの4.8L LSエンジン、エアサスペンション、マスタングIIのサスペンションとブレーキコンポーネントが自慢だ。
CamHoStangドラッグスター(2024年)
今年のSEMAで最も予想外だったドラッグカーは、サウスカロライナ州ロックヒルにあるアプライド・テクノロジー・センターの高校生が製作したものだ。自動車の専門家であるギル・ヴァルク氏とマーク・デリンジャー氏が設立したカリフォルニア州STEAMパンクスという組織の指導のもと、生徒たちはSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)教育の一環として、カマロのフロントエンド、ホンダCRXのミドルボディ、68年型マスタングのリアという、ギャッサースタイルのCamHoStangを製作した。Quake LEDがスポンサーを務める同車は、カスタムシャシーに高出力の5.0L Z28エンジンを搭載している。
ダッジ・マキシバン・トレーズマン200(1974年)
ブレット&ダリンダ・サットン夫妻のダッジ・バンには、ゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『マジック・ザ・ギャザリング』にも登場するファンタジー・アートワークを手がけるエド・ビアード・ジュニア氏による素晴らしいエアブラシが施されている。このアートは1300時間以上かけて描かれ、オーナー夫妻と愛犬バンディットを海賊に見立てたほか、80以上の隠しオブジェクトが組み込まれている。
トヨタ4ランナーTRDサーフ・コンセプト(2024年)
トヨタのコンセプトカーはSEMAの常連だ。新型の2025年モデルをベースにした4ランナーTRD サーフ・コンセプトは、その中でも最高傑作の1つだ。マーティ・シュワーター氏とトヨタ・モータースポーツ・テクニカル・センターのチームは、1980年代の南カリフォルニアを走っていた4ランナーにインスパイアされ、2ドア・トラックに改造し、簡単に取り外し可能な幌、特注のサスペンション、車幅を50mm拡大した。ボンネットの下には、標準の2.4L 4気筒ターボエンジン(最高出力278ps)が搭載され、カスタムエグゾーストが備わっている。
シボレー・コルベットC2スタジオ・コンセプト(2024年)
SEMAで発表されたこのC2コルベットのレストモッドは、ピーター・ブロック氏が1957年11月にGMで描いたオリジナルのコンセプトに合わせて改良されたもので、最終的に63年型スプリット・ウィンドウのコルベット・スティングレイとなった。市販車からの変更点としては、ワイドなリアウインドウ、ボディラインの曲線に沿ったダクト、シングルピースのサイドウインドウなどが挙げられる。生産予定の20台のうち最初の1台は、2025年1月にスコッツデールで開催されるバレット・ジャクソンのオークションに出品される。
フォード・マスタングGT500(1968年)
“マスタング・ブラザーズ” のコディ&プレストン・イングラシア兄弟は、ショーで初の「アウトロー」ファストバック・マスタングGT500を公開した。このレストモッドは全7台からなるシリーズの第1弾で、それぞれボディカラーとインテリアが異なり、パノラミックルーフ、ガラス製エンジンカバー、タイトなパネルギャップ、隠されたアンダーボディの機械部品など、際立った特徴が盛り込まれている。フォードの5.8LスーパーチャージドV8エンジン「トリニティ」とトレメック製6速トランスミッションが組み合わされる。
ダッジ・チャージャー(1970年)
ブレイジン・ロッズは、最新のカスタムカー、1970年型ダッジ・チャージャー「サングリア」をデビューさせた。DSR(ドン・シューマッハ・レーシング)パフォーマンス初のダイレクト・コネクション1500ヘミ・クレート・エンジンを搭載し、最高出力1500psを発生する。ボディはオールカーボンファイバー製だ。
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テスラの車を見ると、なんだか嬉しい気持ちになるな。私たちのお父様であらせられるイーロンマスク元帥様の御尊顔が、私の心の中でやさしく微笑む様な気がするから。