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【4ドアクーペGT頂上対決】メルセデスAMG GT 63 S アルピナB8 グランクーペ 前編

掲載 更新 5
【4ドアクーペGT頂上対決】メルセデスAMG GT 63 S アルピナB8 グランクーペ 前編

実用性も備える理想のクルマとは

執筆:Richard Lane(リチャード・レーン)

【画像】AMG GT 63 4ドアクーペとアルピナB8 グランクーペ 4ドアクーペのグランドツアラー 全59枚

撮影:Max Edleston(マックス・エドレストン)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


筆者が、すこぶる速くてエレガントで、ドライバーの充足感が高いモデルを探しているとしよう。特別なクルマを。予算は、どこからか湧いてきた15万ポンド(2280万円)だ。

一括で支払うのも悪くはないが、頭金に1万ポンド(152万円)、毎月2000ポンド(30万円)の分割で契約すると思う。新車でなくても構わない。プレミアムブランドの中古車を検索すれば、ベントレーやフェラーリも選択肢に入ってくる。

しかし1つ条件がある。家族持ちだから、4ドアのボディで充分な大きさの荷室が欲しい。これだけの資金があれば、条件をカバーできる1台と、理想の1台を選ぶことも可能ではある。

でも、本当に息を呑むような体験を望むなら、手持ちの資金をすべて投じて1台に絞った方が良いことは間違いない。それを叶えてくれるのが、ハイパーサルーンと呼ばれるクルマになるだろう。

例えば最新のBMW M5 CS。14万ポンド(2128万円)の英国価格を正当化する内容を持つ。背の高いサルーン過ぎると感じるなら、アウディRS7がある。エキゾチックな雰囲気がお好みなら、マセラティ・クアトロポルテ・トロフェオも悪くない。

どれも能力は高いが、筆者には今ひとつしっくりこない。気がつけば、すこぶる速くて、エレガントな見た目で、ドライバーの充足感の高いモデルという理想は、速くて豪華で、実用的なクルマ、という現実にスライドしている。

本当に欲しかったのはアストン マーティンDB11だったけれど、結局はSUVへサインしていた、ということにもなり得るのが現実だ。

伝説を残してきたアルピナの最新モデル

ところが、グランドツアラーという魂や至福のドライビング体験を、実用性を諦めずに得る方法が現れた。ハイパフォーマンスな4ドアクーペという、新しいチョイスだ。最近になって、新モデルが追加されている。

その実力は、どこまで高いのだろう。今回は英国北部、北ペニン国立公園で直接確かめてみたいと思う。

1台目は最新のアルピナ。1970年代の美しいB7ターボ・クーペや、V12エンジンのBMW 7シリーズ・サルーンをベースとしたB12など、多くの伝説をアルピナは残してきた。そのノウハウが存分に発揮さたのが、新しいB8 グランクーペだ。

ミュンヘンの西、ブーフローを拠点とする小さなブランドは、最新の3シリーズで驚異的な成果を挙げている。BMWのSUVをベースに大きな成功も掴んでいるが、ハイパワーなサルーンに最高のハンドリングを両立させる手法こそ、真骨頂だろう。

最新のB8 グランクーペは、色っぽいルーフラインが特徴。B6 グランクーペに置き換わるモデルとなり、高剛性の構造に後輪操舵やアクティブ・アンチロールバーなどを備え、より甘美な操縦性を期待させる。

アルピナの新しいフラッグシップともいえる。北米が主な市場となるが、英国や日本へも入ってくる。

トランスミッション・トンネルの上には、ブルーのレザーとアルミニウム、カーボンファイバーで構成されるセンターコンソール。そこへ、シリアルナンバーが記されたプレートがあしらわれる。他に類を見ない特別なモデルで、佇まいからして違う。

4.4L V8から621psと81.4kg-mを獲得

B8 グランクーペのベースは、M8 グランクーペではなく、1つ穏やかなM850i グランクーペ。M8の特長といえる、膨らんだフェンダーラインはまとわない。

立体的な専用のフロントスカートとサイドスカート、リアバンパーでボディが包まれ、紛うことなきアルピナに仕上がっている。最高速度は、許される環境なら323km/h。アウトバーンでは、ボディキットが活きてくる。

エンジンはN63型と呼ばれる4.4L V型8気筒の改良版。BMWの大型サルーンやSUVにも重宝されているユニットだ。アルピナはこれに新しいピストンと点火プラグ、大径タービンを備えるツインスクロール・ツインターボを与えた。

最高出力は、通常のM850i比で91ps増しの、621psを獲得。高速走行に対応するべく、冷却系の容量も50%増し。エンジンルームには、そのコンポーネントと配管がぎっしりと詰め込まれている。

そんなB8 グランクーペを、高速道路の侵入レーンで加速させる。真っ先に体感させられたのは、2000rpmから発揮される81.4kg-mという怒涛のトルクだった。

クランクスピードが遅い段階から、B8 グランクーペは怒涛の勢いで速度を高める。強化されたZF社製の8速ATが搭載されているが、4速でも加速は鋭い。

スポークが美しい21インチホイールを履き、路上でのプレゼンスもB8は群を抜く。トランスミッション・フルード用のアルミサンプを追加した都合で、最低地上高が僅かに高められたことも理由だろう。誰が見ても、エレガントだと表現できるはず。

0-100km/h加速は3.4秒。B8 グランクーペの車重は2100kgもあるのに、法外に速い。

4.0L V8から639psと91.6kg-mを獲得

もう一方の4ドアクーペは驚異的なベンチマーク、メルセデスAMG GT 4ドアだ。発表は2017年。AMG GT クーペの痛快なパーソナリティを、4ドアサルーンに落とし込もうと試みたことは、その名前からも明らかだろう。

だが実は、手が加えられたEクラス用プラットフォームがベース。エンジンは、E 63と同じもの。果たしてGT クーペの4ドア版と呼べるのか、当初はその能力に疑問を持たなくもなかった。

ところが、その疑いは大きな間違いだった。GT 4ドアは本物のグランドツアラーとして、最高の選択肢に仕上がっていた。素晴らしいグランドツアラーに、ドアを4枚付けたようなクルマだ。

アルピナB8 グランクーペの隣に並ぶと、ボディはより曲線的で少し小ぶり。それでも、威嚇感ではAMG GT 4ドアの方が上だ。フロントグリルは主張が大きく、テールまわりのボリュームもある。

ドライバーを包み込むような車内に身をおき、エンジンのスタートボタンを押す。639psと91.6kg-mの4.0L V8ツインターボに火が入ると、いかにもAMGらしいグズ付いたエグゾーストノートが、ボディ全体に響き始める。

ステアリングホイールを少し切ると、ドライバーは魔法にかかる。クルマに強く惹き込まれる。

スペック表を見ると、こんなにも、と思うほど技術が満載。後輪操舵にブレーキ制御のトルクベクタリング、エアサスペンション、多彩なESCモード、リアタイヤの電子制御デフなどが、お互いにリンクして搭載されている。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

5件
  • AMG GTびっくりするくらい故障が多い、新車から3年間のうち8ヶ月くらいはヤナセに入院してた、値段1/3の代車Cクラスの優秀さが理解できたカーライフだった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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