第46回 国際福祉機器展 H.C.R.2019
2019年9月25日(水)~9月27日(金) 東京ビッグサイト
国際福祉機器展に行ってきた。
福祉車両って、もしかして究極のカスタムカーなんじゃない!?
こんなプロボックスあり!? 今どきなフラップエアロに超深リムが履ける過激なオバフェン!
9月25(水)~27日(金)までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「国際福祉機器展」を取材してきた。どんな展示会かというと、身体に障害があったり介護が必要な人をサポートする様々な機器の展示会。
今回で46回を数えるが、日本開催の同展示会は今やアジアで最大規模だそう。今年は日本を含め14か国1地域から438社(国内379社、海外59社)の出展社がブースを構え、自治体や公益団体などのブース内に参加している企業・団体も含めると、その数は500を超えたそう。
来場者は平日にも関わらず、3日間で10万5000人越え。いかに関心が高いか分かるというものだ。
とまあ、固い紹介は置いておいて、今年 小生 齢63歳になって感じるのは、とにかく疲れやすい、疲れがとれない、トイレが近いと、体がかなりポンコツになってきているってことだ。
特にクルマに乗っているときや、映画を観に行っているときなど、途中でトイレに行きたくなったらどうしようってのが最近のいちばんの悩みなんである。そう考えると、福祉とか介護って人ごとだと思ってきたことが、急に「今のうちから備えてなくちゃ」となってくるのである。
これからますます進む日本の高齢化は、実は我が身のこと。こうしたことに対応した福祉や介護はどうなっているんだろうという個人的関心も含めて、非常に興味がわいてきたので、取材してきた。
私的には、自分の個人的興味とやっている仕事の接点で考えると、まずは福祉車両からかなと、そのゾーンに向かった。というよりそこだけで取材びっちり一日かかってしまって、結果他のところには行けなかった、というのがホントのところ。なのでまずはどんなジャンルが出展されていたのかというところから。
車いすやストレッチャー、杖、歩行補助車といった移動機器・移動補助製品、介護用のベッド用品、入浴用品、トイレ・おむつ用品、靴や帽子も含めた衣類、補聴器や緊急通報、障害者用OA機器といったコミュニケーション・見守り機器、スロープや手すりといった建築・住宅設備、歩行訓練機器をはじめとしたリハビリ・介護予防機器、義肢や装具、自助具・障害者用スポーツ・レクリエーション用品といった日常生活支援用品、介護食品や調理器具、福祉施設環境設備・用品、空気清浄機や加湿器をはじめとする感染症等予防用品、在宅・施設サービス経営情報システム、出版、福祉機器情報、そして福祉車両とその関連機器。
福祉車両だけでも相当充実している内容だ。
ところで展示会の来場者は、介護・福祉業界関係者はもちろんのこと、こうした機器を必要としている人やその家族、介護や福祉施設で仕事している人、そして介護や福祉に関連した学校に通っている学生さん等々。これまでの私の勝手な思い込みで言うと、ハンディがある人をアシストする機器の展示会なので、かなりお固くてまじめな雰囲気の展示会なんじゃないかと、特に私みたいに全然門外漢で基礎的知識がないのにPRESSって触れ込みで行っちゃっていいものかという迷いがあった。
でもこれって、完全に杞憂に終わった。というのも、この展示会、車いすの人も、杖ついて歩いている人も、健常者も、なんの違和感もなくその場に馴染んでいるなあというのが素直な感想。
展示も、私の見たのが福祉車両のゾーンだけだったので全体を通しての感想ではないのだが、学術的というかまじめな固いイメージでの説明かと思いきや、むしろショー的というかエンタテインメントしてのプレゼンテーション。たとえるなら福祉車両版オートサロンとでもいう感じ。学生さんをはじめとして若い人も多く、会場全体がなんかすごく明るかった。
福祉や介護を、自分の今後の人生になぞらえて考えると、一番良いのは一生自分の足で自立歩行できて、介護で人のお世話にならないことなんだけれど、仮に体に不具合が生じて介護器具のお世話になる時が来るとしても、けっして人生後ろ向きにならずに済みそうだと思わせてくれる展示会だった。
まあ、もっとも現在、家族に要介護の人がいて、毎日大変な思いをしている人からしたら、私が言っていることは、「なんて実情を知らなくて脳天気なことを」って事かもしれない。そう考えると介護はなかなか明るく語るのは難しそうだが、2年後には65歳以上の高齢者がいる世帯が50%くらいになるんだそう、そして高齢者の比率は以後もどんどん増えるわけで、そう考えると深刻な問題なんだけれど、こればかりは避けてとおれないし、深刻になればなるほどツラくなる。だからこそというわけではないが「明るい介護・福祉」が必要なんじゃないかと、あらためて思った。
取材させていただいたメーカーさんの中には、「福祉車両と言っても、ハンディを乗り越えて好きなクルマに乗りたいって人もたくさんいるんだから、これも大きな意味でカスタムです。できたらカッコよく仕上げた福祉車両で東京オートサロンにも出展してみたい」なんて声もあった。これからは多様性の時代だって事も考えると、いろんな条件や嗜好の人の要望に応えるモビリティというのも、実は「Mobility as a Service」の概念で捉えると、なんか見えてくるものがあるんじゃあないかと、思った次第。まずは「心のバリアフリー化」からなのかも。
初日から平日にもかかわらず、たくさんの人が訪れた国際福祉機器展。どうしてもその題材からお堅いイメージを連想してしまうが、来場者は思ったよりも若い人が多く、しかもかなりイベント的な明るく楽しい雰囲気で盛り上がっていた。
介護・福祉車両のウェルキャブシリーズを展開するトヨタ。ダイハツとの合同ブースにはミニバンやコンパクトカーを中心に、豊富な車種と多様な機能が展示されていた。
ルーフにクルマいすを収納するボックスを備えたプリウス。クルマいすを利用する障害者が自ら運転するのをサポートする。電動でつり上げボックスに収納するのを、実際にはじめて見たが、なかなかにメカニカルな動きに感動。
ノアのウェルジョイン助手席リフトアップシート車。助手席が回転し、しかもスライドダウンして室外に降りてくる。福祉車両は大体消費税免除なんだけれど、シートに関して言うと、たんに回転するだけでは免除の対象外で、リフトアップ機構がついて対象になるそうだ。また、クルマいすやストレッチャーのまま乗降するスロープのついたクルマや、クルマいすを収納する機能がついたクルマも消費税の免税対象だそうだ。ところでこのノアは、3列目シートへの乗り降りがしやすいような専用セカンドシートを採用するとともに、乗降しやすいようにセカンドシートに手すりなどが装着されている。
ヴェルファイアのサイドリフトアップチルトシート装着車。セカンドシートが回転して、スライドダウン。クルマいすからの乗降等を考慮しての設定だ。車室外への出幅は550mm。こうした数値は使用者からするととても大事なポイントになるのだろう。
ジャパンタクシーは、クルマいすのまま乗車できるタクシー。今回は当初の仕様から改良が加えられてのお披露目だそうだ。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーの隊列車両にTOYOTA Concept-愛iが起用されて話題を呼んでいるが、福祉機器展のトヨタブースには、聖火リレーに使用されるトーチが飾られていた。
レポート第2弾からは動画レポートもたっぷり紹介します
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