6月10日、11日に開催される第100回ル・マン24時間レース。そのLM-GTE Amクラスでは、ケイ・コッツォリーノ、横溝直輝、辻子依旦の3人がケッセル・レーシングの2台目として、フェラーリ488 GTEをドライブする。自身にとって3年ぶりのル・マンとなるコッツォリーノが、レースに向けた意気込みを語った。
コッツォリーノは2019年にCARGUYレーシングから、2020年MRレーシングからル・マンに出場。2019年はクラス5位を獲得した。一方、スーパーGTやGTワールドチャレンジ・アジア(GTWCアジア)などでの活躍で知られる横溝や、ジェントルマンドライバーの辻子にとっては初のル・マンとなる。
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今回の参戦経緯についてコッツォリーノは、今季ケッセル・レーシングからWEC(世界耐久選手権)にフル参戦し、共にル・マンにも出場するなど付き合いも深い木村武史からの手助けが大きかったと説明する。
木村は昨年、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)のGTEクラスにミケル・イェンセン、フレデリック・シャンドルフと共に参戦し、総合2位を獲得。これによりル・マン24時間での追加エントリー枠を確保したのだ。
コッツォリーノらがドライブするケッセル・レーシングの74号車は、辻子が代表取締役社長を務めるポノス株式会社のカラーリングに塗られる。ポノスは『にゃんこ大戦争』らのゲーム事業を手がけており、スーパーGT、スーパーフォーミュラなどへのスポンサードも展開。辻子自身も様々なレースにドライバーとして参戦し、GTWCアジアでは優勝、フォーミュラ・リージョナルではクラス優勝を経験している。
「辻子さんが初めてのル・マンを戦う上での指南役として、僕のことを信頼してくれていることに感謝したいです」
コッツォリーノはmotorsport.comに対してそう語った。
「彼はレースを始めて間もないですが、かなり上達しています」
「彼はいわゆる絵に描いたようなジェントルマンドライバーではありません。まだ30代と若いですし、すぐに適応できます。シミュレータでもとても速いです」
「もちろん簡単ではないと思います。僕にとってもル・マンは3年ぶりですし、横溝選手にとっては初めてになります」
「ただ僕たちはシミュレータでたくさんトレーニングしていますし、その質も年々進歩していますから、準備は整っていると思います」
「僕たちがどこまでいけるかは楽しみですが、一番はレースを完走することです。大きなミスをすることなく、自分たちにプレッシャーをかけ過ぎないことが重要です。運が良ければ良い結果を残せるかもしれませんが、僕たちはもっと長い目で物事を見ています」
ケッセル・レーシングからは、木村、スコット・ハファカー、そしてフェラーリのファクトリードライバーであるダニエル・セラがドライブする57号車がWECにフル参戦している。コッツォリーノは自らが乗る74号車と57号車を比較できる点はメリットだとした一方で、57号車に挑戦する立場にあるとは考えていないようだ。
「ケッセルで2台体制を敷いていることで、良いセットアップのベースやデータを得られると思います。2台を比較して多くのことを学べますし、そこはポジティブです」
「ただもちろん、僕たちはWECやELMSに参戦する人たちと比べるとマイレージが不足しています。スローゾーンのように、僕のチームメイトにとっては慣れないルールもあり、適応は簡単でないと思います。また、ハイパーカーにラップダウンにされることにも慣れないといけません」
「他のマシンのことはあまり気にせず、自分たちの仕事に集中して、一歩一歩進んでいくだけですね」
コッツォリーノはル・マンのレース期間中、サポートイベントであるミシュラン・ル・マン・カップにも出場することになる。彼はこのシリーズにフル参戦中であり、AFコルセで小泉洋史とフェラーリ296 GT3を走らせている。
「電動スクーターがあるので移動は楽ではあるのですが、ル・マン・カップのパドックはポルシェカーブの方なんです。WECのパドックと行き来するのはドライビングよりも大変ですよ!」とジョークを飛ばすコッツォリーノ。ただサポートカテゴリーを走ることで、コースコンディションについて素早く把握できる点はメリットになりそうだ。
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