11月10日に鈴鹿サーキットで行われた2024年最終戦で2位に入った坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)は、初となるスーパーフォーミュラのドライバーズチャンピオンに輝いた。
2019年にスーパーフォーミュラデビューを果たした坪井は昨年までCERUMO・INGINGの一員として戦い、今年からトムスに移籍。開幕戦ではノーポイントに終わるも、第2戦以降はコンスタントにポイントを稼ぎ、富士スピードウェイで行われた第4戦・第6戦・第7戦で優勝。最終鈴鹿2連戦でもランキング首位を守り切り、初戴冠を果たした。
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同じくトムスから参戦するスーパーGTでも、シーズン2勝を挙げる活躍で2年連続のGT500チャンピオンに王手をかけているという状態だ。
全日本F3時代から彼を知るトムスの山田淳テクニカルディレクターは、坪井の“止まらない進化”に驚いている様子だった。
「FCJ(フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン)からF4に上がってチャンピオンを獲って、ウチにきました。来た当初は、速いんだけどなかなか勝てなくて。勝つまでになかなか時間がかかりましたね」と山田テクニカルディレクター。
2015年にFIA F4でチャンピオンに輝いて翌年に名門トムスで全日本F3デビューを果たすも、初優勝を飾ったのは2シーズン目の第10戦(全19戦)だった。それでも、日々進化していく坪井の速さと強さには目を見張るものがあったという。
「坪井選手は割と地味なところがあるので、何か頑張っていることを表にあまり出さないのですけど、陰ではすごく努力していると思います。なので、気がつくとすごく速くなっている。その速さが薄まらなくて、常に進化している感じです」
「実際に今日も野尻選手を1コーナーでアウトから抜いていくところを見て『すごいな』と思いました。もともと速さがあって、強さがどんどん身について、それが止まらなくて上に向かっていっているのが、彼の凄さかなと思いますね。正直、こんなドライバーになるとは思っていなかったです」
■ひとつのきっかけは宮田莉朋と組んでGT戴冠の2023年か
速さと強さが身についただけではなく、それらを活かして結果を掴み取ってくる。そこが山田テクニカルディレクターも感心している点だった。
「速さがあるので、ある程度のところまでいくと思っていましたけど……スーパーGTで3度目のチャンピオンに王手をかけていて、スーパーフォーミュラではウチに移籍してきて、『このカテゴリーはけっこうシビアだから難しいだろうな』と思いましたけど……こうしてチャンピオンを獲得して、本当にすごいですね。特にそれを感じたのは、(宮田)莉朋と組んだ昨年のGTあたりから。速さと強さの進化が止まらない感じがありましたね」
「とはいえ、うまくいかない時は悩みますし、自信がなさそうな発言になります。でも、最後は必ず良い方向に向かっていくと。それが全部良い方向に行ったのが今年のスーパーフォーミュラだったと思います」
今では坪井に対しての信頼度も高い山田テクニカルディレクターだが、2019年と2020年はスーパーフォーミュラ、スーパーGTともに別のチームに所属した。再びトムスに帰ってきた2021年には“あること”を注意したという。
「ウチに帰ってきた時は、どこか荒っぽくなったなという印象でした。無線での喋り方とかコメントの仕方も、何かカッとなって発信するところが気になって『こんなこと言うドライバーではなかったんだけどなぁ』と。さすがに酷かったので、そこは注意しました」と山田テクニカルディレクター。
「今はそういうことがないので、自然とそうなったのか分からないですけど、あれは坪井らしくない一面を見たなと思いました」と、そこも坪井の進化を成長を感じている様子だった。
そして、これからも坪井の速さと強さが進化していくと予感している山田テクニカルディレクター。「これからも楽しみですね。『どこまで行くんだ? 坪井翔!』という感じですね」と期待を寄せていた。
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