2016年5月ヴァンキッシュ ザガートコンセプトがイタリアの「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」で発表され、その後英国ゲイドンのアストンマーティン・ファクトリーにおいて、99台限定で生産され、2016年8月2日、国内初披露をした。
今回のヴァンキッシュ ザガートは、アストンマーティンとイタリアのカロッツエリアであるザガートのコラボレーションによって誕生した5代目のモデルであり、ザガート特有のデザイン・ランゲージを巧みに融合させた、ビスポーク・ラグジュアリーの究極の形を示したモデルだ。
ザガートとのコラボレーションの歴史は、1960年、美しいシルエットが特徴のDB4 GT ザガートレーシングカーにまで遡ることができ、このクルマは現在1,000万ポンド以上の価値があるとされている。その後、1986年にはV8 ヴァンテージ ザガート、2002年にはDB7 ヴァンテージ ザガート、2011年にはV12ヴァンテージ ザガートが発表されている。
このようにヴァンキッシュ ザガートは、アストンマーティンの中でもパワフルなモデルで、6.0L V12気筒のパワートレーンは、最高出力が600PSに引き上げられ、0~60mph(約97km/h)をわずか3.5秒で加速する。パフォーマンス向上に伴って、サスペンションのセットアップも見直されている。
このヴァンキッシュ ザガートは、すべてがカーボンファイバーで製作され、大きな1ピースパネルを使うことによって、ボディパネルの継ぎ目に現れるスプリット・ラインを大幅に削減している。
その他のデザインの特徴としては、伝統的なザガートのリヤビューを彷彿とさせる円形のテールライト・リフレクターや彫刻的なリヤエンドは、DB11のエアロダイナミックな造形を思い起こさせる。さらに、リトラクタブル・スポイラーやラゲッジ・コンパートメントへのアクセスを容易にするリヤハッチなども装備。リヤエンドには4本のエキゾースト・パイプが装着されている。
ルーフには、アイコン的な“ダブル・バブル”が施され、なだらかなルーフラインの曲線がそのままリヤ・ウインドウへと繋がり、特徴的なシルエットを創出している。“ダブル・バブル”は、1950年代初頭からザガート・デザインのシンボルとされているが、本来は空力への影響を最小限に抑えつつ、ヘルメットを着用したレーシングドライバーのヘッドクリアランスを確保するために採用されたデザインだった。
室内に目を向けると、アストンマーティン一流のクラフツマンシップの伝統が表現されている。ダッシュボードには、ヘリンボーン・カーボンファイバーとアルマイト処理された暗色ブロンズの組み合わせが採用され、オプションでアニリン・レザーを設定。シートやドアセクションには、ユニークな“Z”パターン・キルトがあしらわれ、Zagatoのイニシャルである“Z”が、ヘッドレストにはエンボス加工で、センターコンソールにはステッチで、それぞれ施されている。
限定99台のうち国内割り当ては2台だが、すでに受注済みということだ。価格は8510万円
■サーキット走行を想定したヴァンテージGT8
この日、アストンマーティン ジャパンは、もう一台のスーパースポーツカーを発表した。アストンマーティンのロードカーには、モータースポーツのDNAが継承され、その中でも、もっとも究極なモデルである新型ヴァンテージ GT8だ。
スペシャルプロジェクトおよびモータースポーツ担当ディレクター、デイビッド・キングは、「私たちは、ル・マンをはじめとするモータースポーツ活動を完全に反映するロードカーを製作したい、という情熱を抱き続けてきました。ヴァンテージGT8で、ついにその願いが叶いました。軽量化とエアロダイナミクスの向上を主眼に置き、V8 ヴァンテージの俊敏性とダイナミズムを新たなレベルへと引き上げました。このクルマは、限界まで磨きがかけられたエキサイティングな1台だと自負しています。」と語っている。
2016年モデルのアストンマーティンV8 Vantage GTEレーシングカーをインスピレーションさせるヴァンテージ GT8は、V8ヴァンテージ史上最軽量、レース直系の空力テクノロジーを応用している。
サーキット走行を想定してチューンされたシャーシは極めてシャープな俊敏性を実現。アストンマーティン製(リカルド社)4.7L V8エンジンは446PSの最高出力を発揮。これと組み合わされるトランスミッションは、6速マニュアル、またはパドル操作のできるSportshift IIだ。
アストンマーティン・レーシングのWECマシンとの繋がりが明白なワイドボディと空力処理が施されたヴァンテージ GT8には、フロント・スプリッター、フロント/リヤ・バンパー、フェンダー、サイドシル、リヤ・ディフューザーに軽量なカーボンファイバーが使われている。
外観でもっとも目を引くのは、GTEマシンを彷彿とさせるフロント・ホイールアーチのカットアウェイ処理だ。さらにエアロダイナミクスを追求したい場合に備えて、大型リヤウィングとフロント・スプリッター・コーナーエレメントで構成されるエアロパックをオプション設定している。
軽量化によるパフォーマンスの向上が、ヴァンテージ GT8最大のテーマだ。カーボンファイバー・ルーフ、ポリカーボネート・リヤ・ウィンドスクリーン/リヤ・サイド・ウインドウ、センター出しチタン・エキゾースト・システムなどの軽量化オプション設定されている。
標準装備のカーボンファイバー・スポーツシート(マニュアル調整式。軽量化に貢献)やカーボンファイバー・ドアパネルと相まって、最大で100kgの軽量化が実現されると、ヴァンテージ GT8は、ヴァンテージ史上最軽量モデルとなる。
新型ヴァンテージ GT8の発表に関し、アストンマーティン最高経営責任者(CEO)のDr. アンディ・パーマーは、次のように述べている。「ロードカーの製作は弊社のビジネスですが、モータースポーツは弊社の血統です。ヴァンテージ GT8は、このふたつの要素を巧みに融合させている。ル・マンのレーシング・プログラム直系のエクストリーム・ロードカーであり、純粋なスポーツカーとしてのヴァンテージ固有のダイナミズムをさらに発展させています。入念に仕上げられ、美しくセットアップされたヴァンテージGT8は、ストリートからサーキットまで、世界中のありとあらゆるシーンにフィットする真のドライバーズカーです。」
Vantage GT8は、150台のみが限定製作される。納車開始は2016年の第4四半期の予定だ。なお、このモデルの北米での販売は予定されていない。価格MT:2770万円スポーツシフト:2827万2400円
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