現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 宮田莉朋、FIA F2第12戦バクー市街地は予想以上の苦戦。初クラッシュでスーツが破けるも大事には至らず

ここから本文です

宮田莉朋、FIA F2第12戦バクー市街地は予想以上の苦戦。初クラッシュでスーツが破けるも大事には至らず

掲載
宮田莉朋、FIA F2第12戦バクー市街地は予想以上の苦戦。初クラッシュでスーツが破けるも大事には至らず

 9月13日~15日にアゼルバイジャンのバクー市街地サーキットで行われた2024年FIA F2第12戦。モナコ・モンテカルロ以来となる公道コースに挑んだ宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は「トラックコンディションも悪く、事前に乗ったシミュレーターとはぜんぜん違いました」と、レースウイーク終了後に行われた取材会で話した。

「難しいレイアウトと言いますか。ストップ・アンド・ゴーに見えて結構ブレーキの仕方でクルマのバランスも変わってくるサーキットで、その部分はモンテカルロとは大きく違う印象を受けました。また、ローダウンフォースで走っていたこともあり、ダウンフォースとメカニカルセットアップをどう両立させるかという難しさもありました」

【ポイントランキング】2024年FIA F2第12戦バクー終了時点/マクラーレン育成ボルトレートが首位浮上

 バクーの週末はF1とFIA F2の2カテゴリーのみの走行となり、FIA F2のフリー走行がコースの走り始めとなった。45分と短いフリー走行だが、他車のアクシデントによる2度の赤旗に加え、小雨が降る時間帯もあり、宮田の周回数は12周、順位は20番手に留まった。週末の行く末を大きく左右するフリー走行が消化不良に終わったことで、続く予選で宮田はトップから1.839秒差の16番手に終わった。

「予選は思い通りには走れませんでした。事前のフリー走行では5ラップほどしかプッシュができず、路面にラバーが乗っていない、路面コンディションがかなり悪い状況だったこともあり、予選で路面とタイヤグリップ(編注:フリー走行ではプライムタイヤ、予選ではオプションタイヤと、装着するコンパウンドが異なる)がどこまで改善するのかが見えていませんでした」と、宮田。

「やはり、ピレリタイヤの経験が(ヨーロッパのFIA F4、フォーミュラ・リージョナル、FIA F3等を戦ってきたライバル勢と比較して)圧倒的に足りず、感覚が掴めていません」

 ただ、土曜日に行われた21周のスプリントレースでは、クルマのバランスに対し臨機応変にタイヤを使い、レース後半は安定したペースを刻んでいた。スタートから3つポジションを上げ13番手を走る宮田は、入賞圏内の8位以上にポジションを上げるべく15周目のターン3でデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)のインに飛び込んだ。しかし、宮田は止まりきれずバリアにクラッシュし、ここでレースを終えることに。宮田にとっては、これがFIA F2のレースにおける初めてのクラッシュリタイアとなった。

「スプリントレースはクルマのパフォーマンスも悪くはなく、ポイント争いの集団も見えていたので、クラッシュするまではいいペースを刻めていました。ハウガー選手とのポジション争いでは僕の方がパフォーマンス面で優位だと感じ、テクニカルセクションでなるべく背後について、DRS区間でオーバーテイクする状況にしたいと考えていました」と、宮田はハウガーに仕掛けた際の状況を振り返った。

「ポイントを獲得するには1周につき1台は抜かなければいけませんでしたが、残り周回数は7周と少ない状況でした。ターン1でオーバーテイクすることが一番リスクが少なく、チャンスが大きいです。ただ、ターン3でハウガー選手をかわせば、その次のメインストレートでさらにもう1台かわすことができます。それが順位を上げるには一番のプランだと切り替えて行きました」

「ただ、ターン3はオーバーテイクも少ないコーナーで、イン側の路面がかなり汚れていました。映像ではそこまで見えなかったと思いますが、実際には枯れ葉も舞っているくらい埃が多くて、日本でのオフテストの1周目のような状況でした。そのため、ハウガー選手のインに入った僕は止まりきれず、まっすぐクラッシュとなり、チームには申し訳ないことしてしまいました」

 なお、国際映像では宮田のマシンのフロントブレーキから火が出る様子も映し出されたが、マシントラブル等はなかったという。ただ、このクラッシュで宮田自身もダメージを負ってしまった。

「なんとかブレーキングで止め切って、曲がろうと耐えていたところでのクラッシュだったので、ステアリングと腕がぶつかりました。レーシングスーツが破けてしまうほどで、翌日もかなり痛みはありましたが骨折ではありません。市街地コースであのようにポジション争いをすることも多くはなく……諦めるべきところは諦めるべきだったのかなとは思います」

 ただ、スプリントレースで見せた好ペースは宮田にとってポジティブだった。マシンの修復、そしてスプリントレースからさらにセットアップに改善を施してフィーチャーレースに臨むことになったが、スプリントレースで見せた好ペースは影を潜めてしまった。

「フィーチャーレースは厳しかったです。スプリントレースで足りなかった部分を補おうと、序盤からプッシュできるクルマにしたかったのですが、それがうまくいきませんでした。むしろ、厳しい方向になってしまい、本来は一番経験を積んだ状況で迎えるフィーチャーレースですが、週末で一番厳しいセッションになってしまったという感じです」と、宮田。

 フィーチャーレースはスタート直後に宮田の後方で発生した多重クラッシュにより長時間の赤旗が導入され、当初29周を予定していたが17周に短縮されてチェッカーとなった。周回数短縮に加え、セットアップで苦しんだ宮田だったが、アムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)、ファン・マヌエル・コレア(ダムス・ルーカスオイル)らをコース上でかわし13位でチェッカーを受けた。

 次戦となる第13戦は2カ月以上のインターバルの後、11月29日~12月1日にFIA F2初開催となるカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで開催される。

「ロサイルまでは2カ月以上期間が開きます。この期間中には終盤2戦の準備だけではなく、来シーズンへ向けた準備もしたいと考えています。特に最終戦の舞台となるアブダビは昨年のポスト・シーズンテストで走行経験があります。今季もバーレーンやバルセロナでといった知っているコースでは予選からトップ10以内に入ることができていますし、コースを知っていれば戦えることは間違いないと考えています」

「だからこそ、しっかりと準備をして、チームと一緒にいいかたちでシーズンを終えられるように、この2カ月近いインターバルを過ごしたいと思います」

 2024年のFIA F2も残るは2戦4レースとなる。2025年シーズンに向けても、今季残るレースでの宮田の好走に期待したい。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ワンチャンスを仕留めたピアストリの芯の強さ。新人がバクーで輝いた背景と育成システム【中野信治のF1分析/第17戦】
ワンチャンスを仕留めたピアストリの芯の強さ。新人がバクーで輝いた背景と育成システム【中野信治のF1分析/第17戦】
AUTOSPORT web
ついにトヨタのエースが覚醒。カローラGRS TCRの開発担当ロッシが連勝達成/TCR南米第7戦
ついにトヨタのエースが覚醒。カローラGRS TCRの開発担当ロッシが連勝達成/TCR南米第7戦
AUTOSPORT web
F1シンガポールGP FP1:ルクレールが首位発進。RBは角田5番手、リカルド7番手と2台揃ってトップ10入り
F1シンガポールGP FP1:ルクレールが首位発進。RBは角田5番手、リカルド7番手と2台揃ってトップ10入り
AUTOSPORT web
【F1第17戦無線レビュー(2)】「まさかSCを出さないとは。 言葉がない」最終盤の混乱で順位を落としたヒュルケンベルグ
【F1第17戦無線レビュー(2)】「まさかSCを出さないとは。 言葉がない」最終盤の混乱で順位を落としたヒュルケンベルグ
AUTOSPORT web
前回優勝の8号車ARTA、新加入した松下信治のマインドの変化とチームとのケミストリー。SUGO戦でも注目の1台に
前回優勝の8号車ARTA、新加入した松下信治のマインドの変化とチームとのケミストリー。SUGO戦でも注目の1台に
AUTOSPORT web
予選キャンセルで、公式練習の最速チームがポール発進に。38号車KeePer CERUMO大湯都史樹「僕らに風が吹いている」
予選キャンセルで、公式練習の最速チームがポール発進に。38号車KeePer CERUMO大湯都史樹「僕らに風が吹いている」
motorsport.com 日本版
F1シンガポールGP、4つ目のDRSゾーンが追加。新たなオーバーテイクポイントが誕生か
F1シンガポールGP、4つ目のDRSゾーンが追加。新たなオーバーテイクポイントが誕生か
AUTOSPORT web
6位も見えていたアルボン。ピットストップを終えた上位勢との戦いを避けるもタイムロス「青旗が出たようなものだった」
6位も見えていたアルボン。ピットストップを終えた上位勢との戦いを避けるもタイムロス「青旗が出たようなものだった」
AUTOSPORT web
2024年F1第17戦アゼルバイジャンGP決勝トップ10ドライバーコメントまとめ(1)
2024年F1第17戦アゼルバイジャンGP決勝トップ10ドライバーコメントまとめ(1)
AUTOSPORT web
F1第18戦木曜会見:前戦以上にバンピーなシンガポール。レッドブルは改善点を見つけるも「最強の週末になるとは思わない」
F1第18戦木曜会見:前戦以上にバンピーなシンガポール。レッドブルは改善点を見つけるも「最強の週末になるとは思わない」
AUTOSPORT web
優勝ポルシェに戒告/7号車を出すのは「危険すぎた」/第二の故郷で初勝利 etc.【WEC富士決勝Topics】
優勝ポルシェに戒告/7号車を出すのは「危険すぎた」/第二の故郷で初勝利 etc.【WEC富士決勝Topics】
AUTOSPORT web
【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第17戦】完璧なピアストリ。クラッシュを回避すべきだったサインツとペレス
【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第17戦】完璧なピアストリ。クラッシュを回避すべきだったサインツとペレス
AUTOSPORT web
ポール獲得のウィル・ブラウン&スコット・パイ組が今季最初の耐久カップ戦を制覇/RSC第9戦
ポール獲得のウィル・ブラウン&スコット・パイ組が今季最初の耐久カップ戦を制覇/RSC第9戦
AUTOSPORT web
太田格之進が『あの少年』を招待へ。改めて語るもてぎの悲運と心境の変化「次に勝つのがより楽しみになった」
太田格之進が『あの少年』を招待へ。改めて語るもてぎの悲運と心境の変化「次に勝つのがより楽しみになった」
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第17戦分析】接触により空力性能は周回ごとに悪化「予選でもっと上の順位を獲得してリスクを減らすしかない」
【角田裕毅F1第17戦分析】接触により空力性能は周回ごとに悪化「予選でもっと上の順位を獲得してリスクを減らすしかない」
AUTOSPORT web
佐藤万璃音のサプライズ/走行初日にBoP変更/来年はビジネスホテル!? etc.【WEC富士金曜Topics】
佐藤万璃音のサプライズ/走行初日にBoP変更/来年はビジネスホテル!? etc.【WEC富士金曜Topics】
AUTOSPORT web
ローソンとシートを争うリカルド、バクーで輝きを示せず、意気消沈。発表が近づいているとレッドブル首脳
ローソンとシートを争うリカルド、バクーで輝きを示せず、意気消沈。発表が近づいているとレッドブル首脳
AUTOSPORT web
【F1第17戦無線レビュー(1)】「わかった。どれくらいやればいい?」ノリスのチームプレーでマクラーレンが先頭キープ
【F1第17戦無線レビュー(1)】「わかった。どれくらいやればいい?」ノリスのチームプレーでマクラーレンが先頭キープ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村