サーキットでのトラブル対応は重要
サーキットでは運転のミスによるクラッシュを始め、クルマに思わぬ負担がかかってのトラブルも多く発生する。そんなときドライバーはどう対処するのが適切なのだろうか。実際に見かけた代表的な例を挙げながら、正しい行動と避けるべきことを解説してみたい。
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自分がコースアウトしてしまった場合
まずは経験したくないけれど必ず知っておきたい、コースアウトしてしまったときの正しい対処法。そのパターンや場所はいくつかに分かれるが、もっとも多いと思われるのがコース外のグラベルやクラッシュパッドに当たって停止するケースだろう。 車体も下まわりもヒットしておらずコース外にはみ出しただけなら、後続車に注意しながらしばらく芝生の上を走って砂利を落とし、ピットに戻りダメージの再確認とバンパーの裏などに残った砂利を取り除く。すぐコースに復帰して全開するとコースに砂利や砂をばら撒く可能性が高いし、タイヤのエア漏れやアームの曲がりがあっては後で大ごとになってしまう。感覚的に問題ないと思っても、必ずピットでチェックするのがマナーだ。
続いて完全にエスケープゾーンにハマって身動きが取れないときや、バリアなどにぶつかって自走できないときはどうするか。正解は、まずドライバーは速やかにクルマを降りてガードレールの向こう側やポスト、要は他のクルマが突っ込んで来ないような場所へ移動することである。 たまに愛車が心配なのか下まわりを覗き込んだり、所在なさげにウロウロする人を見かけるが、これは百害あって一利なしの危険としかいえない行動だ。二次災害を引き起こさないよう安全なエリアに退避し、サーキット側のレッカー車やオフィシャルの到着を待とう。
他の出走車と接触してしまった場合
次はコース内で他のクルマと接触したものの、両者ともに大きなダメージはなく自走できる場合。知っての通りサーキットは何もかもが「自己責任」で、自分にまったく非がなくても修理代は請求しないのが常識だ。 そのまま走行しても問題なければ横に並んだときやミラー越しに片手を上げて「ゴメンね」と意思表示し、ピットに戻ったら改めて話をして自分に非があれば謝ることである。後ろめたかったり自分は悪くないと思ってコミュニケーションを取らないでいると、後でもっと互いに気まずい思いをすることは確実なので気を付けるべし。
「オイル漏れ」が発生した場合
クラッシュまではいかないにせよ、車両のトラブルも十分に考えられる。よく見かけるのと同時に事故に繋がりやすいのはオイル漏れだ。エンジンブローによるものかオイルフィラーキャップやドレンボルトの緩みなのか、その原因は数え切れないほどあるし経験者も多いだろう。 オイル漏れでイチバン恐ろしいのは、それを踏んだ他のクルマが事故ってしまうこと。コースオフィシャルは「赤の縦縞のある黄旗」でコース上にオイルが漏れていることを知らせてくれる。自分のクルマからのオイル漏れに気付いたら一刻も早くクルマをコース外に出し、車両火災の恐れもあるためクラッシュしたときと同じく、ガードレールの向こうやポストに避難してレスキューを待つこと。
いつまでも気付かずレコードライン全周に渡ってオイルを撒いてしまった日には、コース清掃で残りの走行時間がムダになることが確定しているようなモノだ。他の参加者から冷たい視線を浴びるのも心境を考えれば当然でしかない。
車両にトラブルの「予兆」が出た場合
タイヤの空気が少しずつ漏れていたり、ブレーキペダルのタッチが怪しいような、すぐ止まらなくても大丈夫なケースであれば、スローダウンしてレコードラインを外すべきである。 スピードを大きく落としてピットに戻るのであればハザードランプを点灯してもいいが、単なるスロー走行で回復を待っているときはウインカーのほうが他の走行車に誤解させることがないだろう。いずれにせよクルマに乗ったまま判断するのはハードルが高いので、怪しいと感じたらピットに戻って確認するのが確実だ。 では液体の漏れではなくパーツが脱落したときは、どうすれば自分もまわりも安全なのだろうか。車速を考えれば「何か落ちた」と自覚したとき、車両はかなり先へ進んでいるはず。そこに停めて拾いに戻るなどとはもっての他だし、次のラップで回収するのも絶対にやるべきではない。
オフィシャルが発見して危険と判断すれば赤旗(走行中止)を出すし、もし気付いていないようであればピットインしてその旨を報告するのが正解。
他車にトラブルが発生した場合
ラストは自分のクルマではなく、他車にトラブルが起きたときについて考えよう。基本的には自分もコースを走っている以上、オフィシャルにすべて任せるのがセオリーだ。黄旗や赤旗が出たらそれに従った行動をし、二次災害の発生に留意するしかない。 車両火災のような大きな事故を見かければ、平常心を保てないのも十分に理解できる。火が見て分かる程度に小さかったり煙が出ている程度で、自分が頭からつま先まで耐火性の装備に身を包んでおり、さらに十分な容量の消火器を搭載し使い方も熟知していて、まだレスキューが現場に到着していない、こういった限られた状況での判断が必要な時もあるかもしれない。
だがそのような事態を除いては、非情なようだが素人にできることは何もなく逆に危険なのだと認識しておこう。サーキットで自分や他人に起きたトラブル対処法としての最適解は、被害の拡大を防ぎながらオフィシャルの仕事をジャマしないことに尽きるだろう。
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みんなのコメント
サーキット保険とかあるみたいだけど、基本設備を壊したら弁償、自車の破損は自己責任ですよ。