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トヨタ・ランドクルーザー・プラド17年型 ディーゼルを味わう 2度目のマイナーチェンジの成果は?

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トヨタ・ランドクルーザー・プラド17年型 ディーゼルを味わう 2度目のマイナーチェンジの成果は?

もくじ

どんなクルマ?
ー 17年秋 プラド、2度目のマイチェン果たす
ー セーフティセンスPは標準 「ならでは」の装備も

『ランドクルーザー・プラドTZ-G』すべての画像を見る

どんな感じ?
ー 主張しない「超高性能」 一線級のSUV
ー 2.8ℓディーゼルの印象は? 燃費も注視

「買い」か?
ー 輸入車にはない柔らかさ タフネスも両立

スペック
ー トヨタ・ランドクルーザー・プラドTZ-Gのスペック

どんなクルマ?

17年秋 プラド、2度目のマイチェン果たす

この秋ランドクルーザー・プラドが新しく生まれ変わった。と言っても実際にはマイナーチェンジが施された格好になる。ランドクルーザー・プラドの現行モデルは4代目にあたり、2009年にデビュー。2013年と今年、2度のマイナーチェンジを経たことになる。

歴代のランドクルーザー・プラドは本格オフローダーとして高い耐久性を誇るラダーフレームが与えられているので、あとは定期的に最新技術を組み込むことでいつでも新鮮なロングライフモデルが完成するのである。

前回、2013年のマイナーチェンジではクリーン・ディーゼルの搭載がトピックだったわけだが、今回はエクステリアのお化粧直しと先進安全機能が全車に標準装備されたことが変更の中心となっている。

外観ではLEDヘッドランプが標準装着となり、大型のグリルとの一体感によって精悍な表情を獲得している。また運転席からだと視認しやすいふたつの盛り上がりを持ったボンネットも斬新だ。

リアビューを引き締めるランプのデザインにも小変更が施されている。一方インテリアはセンターコンソールやステアリング等のデザインを刷新し、見た目のみならず使い勝手の良さも追求されている。

新型ランドクルーザー・プラドのラインナップはベーシックなTXとミドルグレードのTX「Lパッケージ」、そして最上級のTZ-Gの3モデルで構成されている。

今回の撮影車両はTZ-Gで、しかもナビ連動の電子制御エアサス(リアのみ)や5パターンのオフロードモードに切り替え可能なマルチテレインセレクト+クロールコントロールといった最上級のTZ-Gをさらにアップグレードさせるセットオプションが組み込まれていたこともあり、センターコンソールのスイッチの配置もより凝ったものになっていた。

セーフティセンスPは標準 「ならでは」の装備も

全車標準装備となったトヨタ・セーフティセンスPはミリ波レーダーと単眼カメラから得た情報を統合的に判断/制御し、安全を確保するシステムで、衝突を防止するプリクラッシュセーフティシステム、車線逸脱を警告するレーンディパーチャーアラート、オートマティックハイビーム、レーダークルーズコントロールという4つの機能が中心となる。

ランドクルーザー・プラドの本懐とも言うべきオフロード性能を引き上げるマルチテレインセレクト+クロールコントロールのオプションはリアにエアサスやトルセンLSDが標準装備されていることが条件となっており、都合TZ-Gにしか設定されていない。

オフロード用の走行モードはマッド&サンド、ルーズロック、モーグル、ロック&ダート、ロックという5モードで、路面の状況によってAVS(可変ダンパー)の設定と、標準車高から上は+40mm、下は-20mmまで調整可能なリアサスの車高、そしてTZ-Gに標準装備されている可変スタビライザー、KDSSによって最適なセッティングを作り出す。

オプションに含まれるクロールコントロールはオフロードにおける低速のクルーズコントロール機能であり、滑りやすい急こう配の坂道や、凹凸の激しい路面、スタックからの脱出といったスロットル操作の難しいシーンにおいて車速を調整してくれる。

オンロード走行に関してもTZ-Gにはドライブモードセレクトが備わっており、シフトレバー後ろの3つのボタンによってコンフォート、エコ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+という5つのモードに切り替わる。

パワーユニットは2.7ℓ自然吸気のガソリンと2.8ℓのディーゼル・ターボが用意され、どちらも直列4気筒となる。組み合わされるトランスミッションは6速ATで、ハイとローのモードを切り替えられる副変速機が全車に装備されている。

どんな感じ?

主張しない「超高性能」 一線級のSUV

今回の撮影車両であるランドクルーザー・プラドTZ-Gは車両価格5,363,280円にオプション総計929,340円を組み込んだハイエンド仕様となっている。

とはいえ外観から察知できる刷新された箇所はフロントフェイスやボンネットとだけであまり派手な印象はない。

室内空間はボディの見た目通りに広く、特にリアシートの足元空間は特筆モノである。またTZ-Gに標準装備される3列目のシートは電動でさらにとサードシートはスイッチ操作によって左右別々に収納、展開ができるようになっており、一見窮屈そうな足元スペースに関してもセカンドシートが前方に135mmスライドするので心配はいらない。

リアゲートは向かって右側にヒンジが付いた横開き式となっているが、ガラスだけの上方開閉も可能になっており使い勝手に優れている。

表面的にはわかりにくい「超高性能」を無視して考えても、ランドクルーザー・プラドは一線級のSUVとして成立するのである。

さっそくコクピットに座ってみると、革張りのシートや、ステアリングと助手席前のダッシュパネルに配された木目調のパーツがしっとりとした大人びた空気を作り出している。

2.8ℓのディーゼル・ユニットはかけ始めこそディーゼルノックが聞こえるが、走りはじめればほとんど気にならない。車体の遮音も相当なもので、あらゆる速度域でパッセンジャーとの会話に困るようなことはなかった。

2.8ℓディーゼルの印象は? 燃費も注視

走り出してまず感心させられたのはボディの見切りの良さだった。特にふたつの盛り上がりが特徴的なボンネットは、走っている間中、自分がプラドに乗っていることを認識させてくれるし、フロントバンパーの角を容易に予感させてくれる。リアカメラとパーキングセンサーも有効なので、あまりボディサイズを気にせずに取り回すことができた。

高速道路ではさっそくレーダークルーズコントロールを試してみた。操作レバーはステアリングコラムの右下あたりに小さく突き出しており、最初はわかりにくいのだが、慣れればステアリングを握りながら中指一本で操作できるようになる。

自動追尾式のクルーズコントロールは、近年では多くのメーカーの上級モデルに備わっているが、その性能はまちまちで、前が開けた時の加速や前走車が減速した際のブレーキングのうまさにはモデルごとに結構な差がある。

今回も加減速を注視していたのだが、ランドクルーザー・プラドの味付けはさすがで、加速が筆者の好みからすると少しゆったりとし過ぎているぐらいで、安心してスピード調節を任せることができた。

2.8ℓのディーゼルエンジンの印象は「ディーゼル」というイメージから想像されるほどスロットルの踏みはじめにガツンとトルクが出る性格ではなく、全域で滑らか。存在感は希薄だが、走っていて特に不満はない。

ちなみに今回、高速道路中心ではあったが400kmほどの距離を走行し、JC08モード燃費(11.2km/ℓ)とほぼ同じ数値が出たことには驚かされた。普通はJC08モードの2割落ちが当たり前なので、これは優秀な燃費といえるだろう。

「買い」か?

輸入車にはない柔らかさ タフネスも両立

上記の優秀なSUVとしての機能はもちろんだが、今回の試乗車、TZ-Gのオプション盛りの真価はやはり電子制御でアクティブに統括された走行性能の部分である。

5段階に切り替わるドライブセレクトは、モード毎の差がはっきりとしていて、機能的にも優秀といえた。特に感心させられたのはコンフォート・モードのダンピングで、流体の上にいるような実に快適な乗り心地をもたらしてくれる。高速道路や山道だと少しボディが振られるのでノーマルモードに戻す必要があるのだが、この柔らかさは輸入車ではまず選べないほどである。

一方ノーマルも硬すぎず、しかしきちんと車体の制御が効いている感じで腰高感がない。この乗り心地にはAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)のセッティングだけでなく、エアボリュームのある55扁平のタイヤとアクティブに走りを制御するKDSS(可変スタビライザー)が貢献していると思われる。

前後スタビの基部に油圧シリンダーを配し、アキュームレーターの油圧で前後のスタビの効きをコントロールするシステムは、重心の高いSUVでは特に有効で、やさしい乗り心地とふらつき防止を走行モードに合わせて両立させてくれる。

KDSSの効きがはっきりとわかるのはマルチテレインセレクトを作動させた時で、一気にサスペンションストロークの規制がなくなりロールが大きくなることがわかった。

今回はオフロード走行を試すことができなかったのだが、ランドクルーザー・プラドTZ-Gが快適なファミリーユースから、過酷なオフロードモードまで幅広くカバーしていることは確かに理解できた。

高性能であるだけでなく、それらが有効に走りに現れている様を体感すると、先に記した車両の総価格がリーズナブルだと感じられるはず。普通のSUV以上のタフネスや走破性を必要とするユーザーにとっては買いの1台である。

トヨタ・ランドクルーザー・プラドTZ-Gのスペック

文:AUTOCAR JAPAN 吉田拓生
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